一応出汁はとれている様子。はたしてお味は?

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 最近、「シュールさがツボにハマる」「独特なギャグセンスが大好き」「クッソ面白い」「1話から突っ込みどころしかない」など、Twitter界隈を密かに賑わせているウェブ漫画『おとぎのファルス』(九目/徳間書店)をご存じでしょうか? オリジナル新作マンガが無料で読めるアプリ「GANMA!」にて大人気連載中の同作は、“ちょっと笑えるゆるめのフシギな物語”として話題になり、読者たちをシュールな世界へと誘っているらしいのです。

 『おとぎのファルス』の“フシギ”を担っているのは、奇想天外多種多様なキャラクターたち。主人公のアメリアは、困っている人を放っておけず他人を助けつづけて無一文になった、極端なお人好し。そして、彼女に「最低」と罵られたことをキッカケに、アメリアに恋をしてしまうヘンタ……殺し屋で変態のヒズベルトや、疲れがピークに達すると周囲の人々の肉を捌こうとする肉屋のゼベット。極めつけは、妻を亡くしたゼベットが、その悲しみから立ち直るために生み出した巨大な動くソーセージ、ブルストです。

 ブルストさんはただ動くだけでなく、スーツを着こなし冷静なツッコミを繰り出す紳士。奇人だらけの登場人物のなかで、「ソーセージが一番常識がある感じがwwwwwww」と読者から言われるほど、とても希少な常識あるキャラクターといえます。また、従業員のまかないを作る際には、その身を溶かして真剣に取り組む一面も。

 同作は料理漫画でもなんでもないのに「スープがのみたくなる」「ソーセージ」など、謎の感想をつぶやく人が多いのも彼の料理シーンが原因でしょう。じつは、このインパクトある一コマを見て思ったことがあります。

「ソーセージって出汁がとれるの???」

 漫画の設定にとやかくいうのは野暮ってもんですが、作中でゼベットさんが「美味しい」と語るところをみると、単純に味が気になる……。というわけで、我々は「ソーセージで出汁がとれるのか否か」を検証してみることに。

 フードコーディネーターのしらいしやすこ先生にご協力をあおぎ、巨大ソーセージの作成とともに、ソーセージの出汁でポトフを作ってみました。

 まずは、「身長83cm、足は20cmないくらい」という公式設定をもとに、ソーセージ作り……そもそも、こんな大きさのソーセージ作れるんですか?

 しらいし先生「身長から推測すると、ブルストさんの体重は20kgぐらいだと思います。20kgのお肉は用意できるかもしれないけど、ソーセージはお肉を動物の腸に詰めなければならないので、あの太さの腸を持つ動物はいないんじゃないかな。一般の家庭では作れないと思うけど、ゼベットさんなら、きっと作れますよ」

 さっそく先生を困らせてしまいましたが、家庭でブルストさんを作るのはムリとのこと。そうですよね。

 まず、ハンバーグを作る要領で豚肉とハーブソルトを混ぜあわせます。練っていくうちに手の体温で形が崩れないように、氷水でお肉を冷やしながら成形していきます。そして、ホームメイド用の腸にお肉を詰めます。ソーセージに使う羊腸や豚腸はネットなどで購入可能みたいです。

 そして、形成した肉をラップに包み、家庭版ブルストが完成。生の状態でブルストソーセージを水で煮ること約20分。(その後ラップをとって焼きます)

なにやら茶色くなった出汁が出来上がりました! もはやスープですが、味の感想は、満場一致で「優しい味」。うっすらとソーセージの風味が香る心あたたまる味、それこそが、ブルスト出汁だったのです。※スープに浮いた油はソーセージのものです。

 検証の結果、ソーセージで出汁がとれることが判明! 野菜を煮込めば、肉汁たっぷりな美味しいポトフになります。気になる方はレッツクッキング。

そんな魅惑のブルストさん出汁も登場する本作『おとぎのファルス』第1巻は、9月10日に発売されました。ブルストさんの出汁はうす味でしたが、アメリアを中心にエッジの効いたキャラクターたちが過ごすフシギな日常が詰まった濃いめの一冊となっております。秋の夜長に、おとぎの世界に迷い込んでみては?

文=谷口京子(清談社)、写真=内海裕之