(写真提供=SPORTS KOREA)韓国で唯一のノーベル賞受賞者となった金大中大統領の葬儀は国葬だった。

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「今年こそ韓国人はノーベル賞を受賞できるのか」。これは毎年、9月中旬過ぎから韓国で話題になるテーマだ。

毎回のようにノーベル賞受賞者の発表に沸く日本とは対照的に、韓国はいつも意気消沈する結果に終わっている。これまで韓国人でノーベル賞を受賞したのは、2000年の金大中大統領の平和賞が唯一。近隣諸国の受賞ニュースを目の当たりにして、“ノーベル賞コンプレックス”に苦しんでいる状態だ。

文学界はノーベル賞どころか醜態が明らかに

今年もすでにノーベル賞に関連する記事が上がっているが、不安ばかりが先行している印象。「春樹ノーベル文学賞有力…浮かれる日本、沈鬱な韓国」という記事を掲載した『文化日報』では、村上春樹が有力であることを論じながら、こう展開している。

「韓国文学界は消極的なムードだ。昨年はコ・ウン詩人の受賞について盛り上がったが、それが霧散した後遺症と見られる」

どうやら今年は文学賞の有力な候補はいないようだ。それどころか韓国の文学界は醜悪な実態が明らかになったばかりだ。

それは、キム・ヒョンという36歳の詩人が季刊誌『21世紀文学』に寄稿したコラムがきっかけだった。

キム氏はそこで、韓国文学界に蔓延する“女性嫌悪”について赤裸々に述べている。最近の韓国社会で女性嫌悪が蔓延していることは以前に本欄でも紹介したが、韓国文学界も状況は近いのかもしれない。

科学誌『Nature』の厳しい指摘

とはいえ、韓国文学界の問題は、何も女性嫌悪ばかりではない。

昨年には、代表作が日本をはじめ22カ国で翻訳出版されているほどの大物作家・申京淑(シン・ギョンスク)が“盗作疑惑”にさらされた。彼女の短編小説『伝説』のなかに、三島由紀夫の『憂国』の文章と酷似した部分があったのだ。

「そういったこともあり現状の韓国文学界からノーベル賞受賞者が出てくるのは難しいのではないか」というのが、私が過去に取引したことがある韓国出版社関係者の意見だが、それでも物理学や生理学・医学といった科学分野に比べれば可能性があるかもしれない。

というのも、科学分野では、「韓国の誇り」と称され、ノーベル賞間違いなしとまでいわれたファン・ウソクの捏造事件が有名だが、それから10年以上が過ぎた現在も、これといった候補者がいない。さらに、韓国屈指の名門・ソウル大学の世界大学ランキングが急落している状態だ。

昨年、日本ばかりか中国までも科学分野でノーベル賞を受賞したことで、さらなる焦りが見えるが、研究開発費を大幅に投入している韓国に対して、世界的権威を持つ科学誌『Nature』は厳しい指摘をしている。

天才待望論まで出ている韓国の“ノーベル賞”コンプレックス

それは、「韓国が世界で最も多くの金をR&D(研究開発)に使う理由」という記事だ。

同記事によると、韓国は国内総生産(GDP)比のR&D投資が4.29%(2014年)で、断然の世界1位だという。日本は3%半ば、アメリカ3%以下、中国は2%強、ヨーロッパは2%以下だ。

しかし、「2014年に韓国が国際学術誌に発表した論文数は、GDP比R&D投資が1.22%のスペインと似た水準」で、日本やドイツの半分、中国と比較すると7分の1ほどだという。『Nature』は結論として「お金ではノーベル賞を得られないことも悟らなければならない」と忠告している。

そんな『Nature』の忠告に反するように、9月1日には、韓国最大の化粧品メーカー「アモーレパシフィック」の会長が3000億ウォン(約300億円)の私財を投げ打って「ソ・ギョンベ科学財団」を設立。生命科学分野の基礎研究を支援する財団だという。

そこでもノーベル賞の話題が持ち上がり、ソ会長は記者会見で「ノーベル賞を期待しないといえば嘘になる。今後は韓国も受賞者を輩出ことになると思うが、栄光の瞬間に同じ場所にいたい」などと話していた。

あまりに“ノーベル賞コンプレックス”が強いためか、天才待望論も少なくない。昨年も “天才少女”騒動が起こっている。
(参考記事:ハーバードとザッカーバーグが惚れ込んだ頭脳!? 韓国の“天才少女”騒動

いずれにしても、文学分野にも科学分野にもこれといった候補者がいないと言われている韓国。今年のノーベル賞も受賞者ゼロで終わってしまうのだろうか。

(文=慎 武宏)