『「他人の目」が気になる人へ 自分らしくのびのび生きるヒント』(水島広子/光文社)

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 『「他人の目」が気になる人へ 自分らしくのびのび生きるヒント』(水島広子/光文社)は「他人の目」に縛られて自分らしく振る舞えない人が自信をもって生きるための、精神科医による処方箋だ。

 何かをするときに「親がなんて言うだろう」「誰かに嗤われないだろうか…」とつい不安になってしまう。「体型に自信がなく、いつも誰かに嘲笑されている感じがする」「単独行動が好きだけど、寂しい人と同情されたくない」「世間体が気になって離婚できない」などケースも様々。日常的な悩みから摂食障害や社交不安障害、身体醜形障害、うつ病、思春期特有の悩みへの対処にも触れている。

 まずは、そもそもなぜ「他人の目」が気になるのか、その仕組みから学んでいこう。

プチ・トラウマ克服! 「評価の対象」から「感じる主体」になろう

 私達はこどもの頃から「いい子」「悪い子」「勉強ができる」「スポーツが得意」など様々な評価を受け、それがネガティブな評価だと傷つけられる(厳密に言えばポジティブな評価で傷つくこともある)。本書ではそれを「プチ・トラウマ」と呼ぶが、人によっては「プチ・トラウマ」に満ちた環境で育ったり、また「プチ・トラウマ」を与える人に囲まれていたりする。本人の事情はお構いなく断定的に評価された苦い経験は、多くの人に覚えがあるはずだ。もう傷つけられたくない、そのためには他者からよい評価をされなくては…その思いから他人の目を気にする生活がはじまる。

 評価を上げるための努力は一見よいことに思える。しかし、たとえば容姿を揶揄されてダイエットを頑張ったとしても、誰からも賞賛される体型などありえない。スリムになったとしても仕事ぶりや経済状況、性格や家庭環境など評価の対象は無数にあり、「他人の目」を気にする限り終わりのない不毛な戦いを余儀なくされる。

 ではどうすればそこから抜け出せるのか?

 まずは他者の評価が気になるのは相応の理由(傷ついた過去)があると認めよう。「他人の目を気にする私は未熟者だ」と自分を責めるのをやめる。自分のありのままを認める、これだけでも大きな癒しになる。その上で、「他人の目」という他者の評価は「真実」ではない。誰もがいろいろと問題を抱えた不完全な人間であり、自分と同じように複雑な生き物であると知ることが大事だ。誰かのよい評価を得ようと考えるよりも(他人軸。おおむね過去のもの)、現在の自分が心地よい ことをしてみよう(自分軸。今を生きる)ではないか。

 本書には、他にもたくさんのアドバイスがある。読んでいるうち、どこか怖い「他人の目」が少しずつ温かく感じられ、やがてすべての人間の持つかわいらしさに気付かされた。いろいろあっても「私は大丈夫」と思える、勇気をもらえる一冊だ。

※本書は『見た目が気になる! 症候群』(主婦と生活社)を加筆修正し文庫化ものです

文=青柳寧子