“ニート・引きこもり”とは違う「SNEP(スネップ)」

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執筆:Mocosuku編集部


引きこもりの社会復帰に関連して近年では、「大人の引きこもり」と言われる事象が社会問題になっているようです。

「大人の引きこもり」とは、「家から一歩も出られない」「家族とも顔を合わせない」というこれまでの引きこもりとは違い、「外に出る」こと自体はできているケースも多いとのこと。また、家族とは普通に交流している人が多いのも特徴だそうです。

こうした人々を定義する言葉として登場したのが、東京大学社会科学研究所の玄田有史教授が提唱する「SNEP(スネップ・solitary non-employed personsの頭文字をとった和製英語)」という概念です。

今回はこの「SNEP」について、詳しく調べてみました。

未婚・無職・家族以外に人間関係がない

SNEPとニート・引きこもりの違いは、年齢と「人間関係」によるものとされています。

ニートとは35歳以下で仕事がなく、就労の意志もない人のことを定義する言葉です。一方のSNEPは20歳〜59歳の「仕事をしておらず、家族以外と交流がない」人をカテゴライズする言葉のようです。

SNEPには家族とは交流のある「家族型」と、家族と交流のない「1人型」に分類されるそうです。そして家族型SNEPには、実家暮らしの人が多いという特徴もあるようです。


また、「家から出られない」大人の完全な引きこもりもSNEPのカテゴリに入りますが、冒頭にも記したように、SNEPと呼ばれる人のなかには用事があれば普通に外出できる人も多いようなのです。

「働くこと」以外はできる?

SNEPになる人のなかには、過酷な勤務を続けたために心身ともに疲弊してしまっていたり、本人の意に沿わない配置転換や転勤、心の病気などの理由で会社に行けなくなってしまったり、というケースも多く見られます。

このような理由から仕事を辞めてしまった人々の場合、就業時のイヤな記憶やツラい体験が足かせとなり、再就職活動が難しくなってしまうこともあるようです。「就職活動」や「働くこと」以外なら普通にできる、というSNEPの人は意外と多いのかもしれません。

しかし、自分が「働いていない」ことを気にしている人の場合、人間関係を築くうえでそれが負い目になってしまう場合もあります。

そうしたコンプレックスが原因で友人と疎遠になったり、仕事以外の人間関係にも消極的になる、という悪循環に陥ってしまう例もあるようです。

批判するための「SNEP」という言葉ではない


特に実家暮らしの家族型SNEPに対しては、周囲の視線は「親に甘えている」というような批判的なものになりがちです。しかし、ニートや引きこもりに対する批判が本人にとってなんの進展も生まないのと同様に、「SNEP」という新しいカテゴリをつくって批判をするだけでは問題の解決にはなりません。

しかし実際は、引きこもりのサポート・相談窓口などに当事者が出かけていくのは困難なことも多く、そうした窓口には当事者の家族が相談に訪れるケースも多いようです。

現在、SNEPを含む「ニート・引きこもり」の支援対策としては、ボランティアや農作業などを通じて仲間とコミュニケーションをすることで、社会復帰への意欲を高める活動をおこなっている民間の団体も各地に存在しています。また、同じ境遇の人が集まって、お互いの体験や悩みを批判を交えずに話し合う「ピア・カウンセリングの会」なども行われているようです。

意欲が出てきたときに「受け入れてもらえる場所」があるか

燃えつきてしまった「働くこと」への意欲を復活させるには、なによりも本人の意志が不可欠です。

「社会復帰」のきっかけやタイミングは、本人にしか決められないものなのかもしれません。

SNEPといわれる人々にとって必要なのは、適度な距離を置いて見守ってもらえることであり、すこしでも「なにかしたい」という意欲が出てきたときに、受け入れてもらえる場所があることだと言えるでしょう。こうした「意欲の芽」を見逃さないことが、周囲の人には求められているのかもしれません。