アラブの金持ち十代が熱狂する「SUVでドリフトしまくる」キケンな遊戯

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サウジアラビアでブームとなっている危険なドリフト走行は死者を出すほど過激化した結果、今度は「スポーツ」として広がり始めているという。写真家ピーター・ガリタノが現場で目の当たりにした、恐ろしくも刺激的なシーンの数々。

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2/10ふたりの男がタイヤの滑った跡を通り抜ける。PHOTOGRAPHS BY PETER GARRITANO

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3/10夕日の中、観客は競技が始まるのを待っている。PHOTOGRAPHS BY PETER GARRITANO

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4/10ドライヴァーは3分間、競技場でドリフトを披露する。PHOTOGRAPHS BY PETER GARRITANO

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5/10ハジュワラのドライヴァーたちがマシンの故障を直すためにボンネットを開けて中をじっと見ている。PHOTOGRAPHS BY PETER GARRITANO

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6/103分間の走行の間に、タイヤからは火花が飛び散る。PHOTOGRAPHS BY PETER GARRITANO

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7/10ハジュワラのドライヴァーたちは自分のクルマを改造するべく夜ガレージで落ち合う。PHOTOGRAPHS BY PETER GARRITANO

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8/10整備士が工具をかき回している。PHOTOGRAPHS BY PETER GARRITANO

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9/10ターボチャージャーをチェックするハジュワラのドライヴァー。このあと彼は、このパーツを自分のエンジンにはめるのだ。PHOTOGRAPHS BY PETER GARRITANO

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10/10ハジュワラの会場に近い飛行場に佇むアームドとエイサ・アル・マルズキの姿。PHOTOGRAPHS BY PETER GARRITANO

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「ハジュワラ」(hajwalah)は、ルールそのものは簡単に理解できる。しかし、実際にそれをやるとなると話は別だ。まずSUVを時速最高100マイル(約160km)くらいの速度まで飛ばす。それからハンドルを左右にぐいぐい動かし、クルマを揺らす。上手くやれば2輪走行ができるし、さらに上手くやればタイヤから煙が立つのが見えるだろう。(ルール的には)そのとき、ちゃんと窓から手を出し指で自分がどのギアを入れているかを示すこと。5速までいけば、勝利をおさめられるかもしれない。

ひどく危険に聞こえるかもしれないが、それでこそ意味がある。「向こう見ずであればあるほどいいのです。事故を起こさないかぎりは」と、ピーター・ガリタノは話す。彼は去年、この狂気の沙汰を撮影し『ハジュワラ』という作品をつくろうと、アラブ首長国連邦で1週間過ごしていた。

ハジュワラは1970年代、サウジアラビアの路上から始まった。それが評判になるにしたがって、UAEやカタール、オマーンへと広まっていった。そして死者の数も増えていく。裕福な10代の若者達がフーリガンのように振る舞い、そこに居合わせた罪のない人たちを殺す。悪い観衆が集まるようになって、政府が捜査に乗り出した。しかし、それでもときどき事態が収拾できなくなることがある。3年前、サウジのハジュワラドライヴァーが2人を殺害し、死刑の宣告を受けた。

その結果、競争の舞台は競技場へと移された。「ハジュワラはかつてはストリートドリフトにおける無法地帯の場であったのですが」と、ガリタノは語る。「いまや、この文化はスポーツとして公式なものになる方法を模索しているのです」。彼はドバイから1時間ほど北西に向かったところにあるエミレーツモータープレックスでのイベントを覗いた。「わたしが思っていたよりもずっとフォーマルなものでした」と彼は言った。「かつては友人と街中に行って、大騒ぎを起こすものでした。いまやそれは、きちんと統制された大騒ぎ(orchestrated mayhem)ですよ」

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イヴェントは隔週金曜日に行われ、日没とともに始まる。約70人の参加者は全員10〜20代の男性で、200人にものぼる観客の前で自らの技術と度胸を見せびらかす。大体はSUVをつかって、各ドライヴァーは3分間で最もクレイジーなスタントをする。彼らはよく日産「パトロール」(日本国外専売車、日本国内ではかつて「サファリ」の名称で販売されていた)やトヨタ「ランドクルーザー」を好み、その静かなエンジンを例えばフェラーリのエンジンのような力強いものに替える。

午前2時頃に終盤を向かえ、競技場のオーナーであるワエル・ハマンドが当夜のベストドライヴァーにトロフィーを手渡す。彼がどうやってその結論に至ったかは教えてもらえないが、混沌をもたらす者が王者であると誰もが知っているのだ。「制御不能であればあるほど、得点にプラスになります」と、ガリタノは語る。「彼らはホイールに到達するくらいまでタイヤを焼け焦がすのです。車体を傾けることも高得点の秘訣ですね」

事故にあったドライヴァーの何人かはしかしケガをせずに済んだが、そのことを喜んではいなかった。なぜなら、ケガは誇りの源となるからだ。「わたしが話した誰もが、Instagramに自分たちが病院のベッドで療養している写真をあげていました」と、ガリタノは語る。

勝者は数百ドルを手に入れられるが、それはタイヤの費用にも満たないくらいの端金だ。金儲けのためにドリフトをするやつはいない。彼らはスリルのためにしているのだ。「世界中で10代の若者たちがレコードを擦っているのと同じ感覚ですよ」と、ガリタノは言う。時速100マイルで擦るところを除いては、だが。

アラブでドリフト、といえばこのPV! M.I.A.の「Bad Girl」。

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