WEEKLY TOUR REPORT
米ツアー・トピックス

「ハロ〜、ワールド〜」

 この言葉を覚えているだろうか? これは20年前、1996年8月にプロ転向を表明したときの、タイガー・ウッズ(40歳/アメリカ)の第一声だ。

 スタンフォード大学の2年生だったウッズは、その前週に全米アマチュア選手権で史上初の3連覇を達成したばかり。その動向にますます注目が集まる中でのプロ入り発表に、ゴルフ界のみならず、世界中が大いに沸いた。

 その際、冒頭に発したウッズの言葉は、「これから僕は全世界に旅立つんだぞ。その世界へ、ちゃんと挨拶しなくちゃね」という、壮大な意思表明として捉えられた。そして事実、ウッズはプロ入り後、次々とゴルフ界の記録を塗り替えていった。

 そんなウッズのプロ20周年を祝って、最近アメリカでは多くのメディアで、これまでのウッズの功績を改めて紹介する特集が組まれている。そこでは、ツアー通算79勝、メジャー勝利数14という素晴らしい記録を称えるとともに、ウッズの本当の功績は「ゴルフが人種を超えたスポーツになったこと」であり、さらに「アスリートゴルフの確立」だと称賛されている。

 さて、そのウッズがついに公式戦への復帰を表明した。

 2016−2017シーズンの開幕戦、セーフウェイ・オープン(10月13日〜16日/カリフォルニア州ナパバレー)で復帰するという。ウッズにとっては、昨年8月のウィンダム選手権以来、およそ1年2カ月ぶりの実戦となる。

 復帰を決めたウッズが語る。

「ようやく、自分がカンファタブル(快適な。居心地がいい)に感じるスイングができるようになった」

 実は、ウッズは昨年の同大会であるフライズ・ドット・コムオープン(大会名は今年から変更)に出場する予定だった。なぜか? 話は2012年に遡(さかのぼ)る。

 PGAツアーでは、メンバーが大会期間中に他のツアーに出場することに制限を設けている(開催地が母国の選手や欧州ツアーメンバーは除く)が、2012年10月、ウッズはフライズ・ドット・コムオープンの開催週に、トルコで行なわれた別のエキシビション大会に出場。そのときにウッズは、「今回(トルコの)エキシビションに出場する代わりに、3年以内にフライズ・ドット・コムオープンに出場する」という約束を、PGAツアーのフィンチェム会長と交わしていたのだ。

 ただ、昨年は腰の手術を受けた直後で残念ながら出場を断念。ならば、「ぜひ今年こそ」という形で、今回当時の約束を果たすことになった。

 舞台は、北カリフォルニアのナパバレーにあるリゾートコース。南カリフォルニア州出身のウッズだが、大学時代は北カリフォルニアで過ごしていただけに、馴染みの深い場所でもある。

 おかげで、「(ウッズの)復帰戦として完璧の舞台。今年は、大会史上最多のファンの来場が見込まれる」と、関係者も大いに盛り上がっている。地元ファンも、待望のウッズ参戦に胸躍らせていることだろう。

 一方で、「もしかしたらその前に、ウッズのプレー姿が見られるかもしれない」という噂も流れている。その試合は、ツアー選手権(9月22日〜25日/ジョージア州)の翌週に開催される欧米ツアーのチーム対抗戦、ライダーカップ(9月30日〜10月2日/ミネソタ州)である。

 ウッズは現在のところ、米国チームのキャプテン(監督に相当)、デービス・ラブIII(52歳)を支えるアシスタント・キャプテンを務める予定だ。そして先週、キャプテン推薦により、試合に出場するリッキー・ファウラー(27歳)、JB・ホームズ(34歳)、マット・クーチャー(38歳)の3人のメンバーが選出された。残るひとりは、ツアー選手権のあとに決まるが、そこで選出されるのが「ウッズではないか?」と、一部で囁かれて噂が広まった。

「タイガーは、もう試合に復帰できる状態。(ライダーカップで)プレーイングキャプテンになったら最高だ」

 メンバーのひとり、クーチャーはそう言って喜ぶが、すでにウッズはアシスタント・キャプテンとして、ラブとともにペアリングなどじっくりと相談しているという。実際のところ、ライダーカップで復帰が実現することについては、かなり可能性が低い。

 ともあれ、「タイガーがチームに加わるだけで欧州チームを威圧できる」「ウッズの状態次第ではライダーカップ出場もあり得るのではないか」と騒がれるのは、やはりウッズという存在のすごさ。

 プレーするかどうかは別として、ライダーカップではウッズが久しぶりにコースに姿を見せる。ウッズの元気な姿を見られるのは楽しみだ。

 そして、いよいよ来季、本格復帰を果たすウッズ。完全復活へ向けてどんなプレーを見せてくれるのか、大いに期待したい。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPAN