人間の身体の仕組みとして、仮に肝硬変で血液の生産が抑制された場合、血液不足はゆっくり進行するので、めまいには結び付きにくい。ところが、大腸で起こるような出血はそれより早く、脳はめまいとして反応しやすい。しかし、痛みとしては感じにくく、気付かないことも多いという。
 東邦大学医療センター大森病院・消化器センターの外来担当医は言う。
 「1980年代には、大腸がんで亡くなる男性は、米国の方がはるかに多かった。ところが2001年には、日本が米国を抜いてしまったのです。理由は、日本の食の欧米化と、米国での大腸内視鏡検査の普及が関係しています。日本でも大腸内視鏡検査は行われていますが、米国では70年代から始まった、がん撲滅運動が浸透し、大腸がん検診の受検率が高くなっている。それが早期の発見、治療にもつながり、死亡率が日本と逆転したのです」

 日本では、便潜血検査で陽性反応が出ても、約半数の人は大腸がんを進行させてしまう。それが死亡率を高める要因になっていると考えられる。
 「便潜血検査も万能ではありません。専門家たちも言うのですが、血が混じっていない部分を採取すれば、陰性になるからです。そのため、40歳を過ぎたら一度は便潜血検査以外の大腸検査を受けることをお勧めします。やはり“めまい”などの貧血症状や、便通異常を感じている人は注意して欲しい」(医療ジャーナリスト)

 では、こうした大腸の病を防ぐには、どのような食生活を送ればいいのか。
 大手病院の栄養管理士で料理研究家・林康子氏に聞いた。
 「一般的に、便秘には植物繊維の多い野菜が効くと言われますが、それはNG。食物繊維は消化液で十分に消化されないからです。そのため便秘の人が食物繊維を多く摂ると、他の食品の成分の消化を妨げられ、結果、未消化内容物が増えて逆効果になってしまう。繊維質は、排便がスムーズになってから摂取してください」

 ただし、もちろん長期に渡って野菜を摂らないこともダメ。マンゴージュースやパパイアに含まれる糖は、消化されにくく軽い下剤作用があるため、お勧めだという。
 「成人女性が1日に必要なカロリーは1500〜2000キロカロリーといわれていますが、それより極端に少ない人が非常に増えている。一定の食事量がなければ便意を催さず、便秘になるのは当然です。いずれにしても、大腸の病気やがんの要因を取り除くには、腸の蠕動運動を促し、交感神経と副交感神経の活動バランスを整えながら、腸の働きを活発化させる必要があります」(同)

 定期的な検査と、食生活の改善で、大腸を労わる生活を心掛けよう。