アーロン・ハーヴェイ((35歳)が、頭の中に浮かんでは消えない不穏な考えに気づき始めましたのは、12歳の頃。しかし、約2年前に<The Guardian>というオンライン雑誌で、(自分の意に反する)制御不能な暴力的かつ性的思考を抱えて生きるある女性の記事を読み、人生が変わったのだという。ハーヴェイが患っているのは、強迫性障害(OCD)の中でも「純粋強迫観念(Pure-O)」と呼ばれるもので、脳内では強迫的イメージが渦巻き続けるものの、現実に目に見える強迫行為は伴わない状態を指すのだとか。

彼の生涯にわたる暴力的かつ描写的で、不快感を伴う性的な脳内イメージとの闘いと、Pure-Oへの理解を呼びかけるために彼が現在行っている活動について、コスモポリタン アメリカ版がインタビュー。

――あなたの頭に浮かぶ「不穏な思考」と、一般的な人が抱く「不穏な思考」は、どう違いますか?

「"思考"は基本的にセックス、暴力、宗教などに起因するものです。でも想像力には限界がないので、常にそういった発想が次から次へと降ってくるような感じです。たいていの場合、人が考えうる中でもっとも破壊的で最悪なイメージが浮かびます。誰でも不快なイメージを想起することはあると思いますが、Pure-O患者は不安症も併発しているので、そういった映像を見ると落ち込み、自分自身の性格や能力を疑い始めてしまうんです。最終的には、不安症状を鎮静するためにナイフを隠す、調理をしたがらない、交際を放棄する、セックスや親密な関係を拒むなど、おかしな癖や衝動を身につけてしまいます」

――"人が考えうる中でもっとも破壊的で最悪なイメージ"とは、どういったものですか?

「僕が一番頻繁に向き合わなければならないのが、"危害恐怖"です。すごく大変です。例えばお風呂場に入ってカミソリを見ると、自分で自分の性器をそれで切り裂いている映像が即座に思い浮かぶんです。それに反応してしまうと、症状はさらに悪化し、まるで悪夢の中を生きているような感じになります。また、性的なイメージに苛まれることもあります。それはときに快楽的でもありますが、ほとんどの場合は望ましくないものです。ブロードウェイの大通りを歩いていると、周りは人でごった返していて、次の瞬間全員同時にオーガズムしている…みたいな」

――つまり、脳内に不快なイメージが浮かんでくるとして、それがPure-Oと診断されるポイントは、そのイメージによって生まれる強迫観念に付随した衝動や不安症状のことを指すのですか?

「はい、そうです。その衝動によって自分の不安を軽減しようとするんです。たとえば僕の場合だと、キッチンに立っていたときに突然、元婚約者を包丁で刺す映像が脳内に浮かんだとき、その恐怖を鎮静するために即座に生じた衝動が、戸棚の方へ走って包丁をしまうことでした。OCDじゃない人はそれを見て、『今なんでそんなことしたの?』と言うだけで終わるかもしれませんが、僕はそれから何年も何年も『本当にこの人を傷つけてしまったらどうしよう』と悩み続けました。本当にこの人を愛しているなら、どうしてこんな発想が生まれるんだろう? 僕はいつかとんでもないことをしでかしてしまうのか? 彼女を愛しているなら別れた方がいいのか? という思いが頭の中を駆け巡りました。OCDの人たちはみんなそうやって、将来子どもを持つべきか、将来先生になりたいという夢は叶うのか、愛する人と本当に交際を続けられるのか、といった人生に関わる決断に悩まされているんです」

――周りにいる人は、あなたがそういった思考と闘っていることを、見ているだけで分かるものですか?

「いや、きっと気づいていないはず。恐らくOCD患者の一番の苦しみはそれかもしれません…。症状が外からは見えないということ。私自身は不快なイメージが浮かぶと、気分が悪くなって自分のあごをつかんだり、顔をこすったりすることがあります。不思議なことに、"痛み"以外のすべての感覚はリアルに感じるんです。頭の中に浮かんだ出来事に対する視覚的イメージ、感情の高ぶり、それに伴う不安や恐れなどはすべてリアルなのに、そこにあるはずの痛みだけはなぜか感じないんです」

――強迫観念が浮かぶ際、引き金となる特定のものはありますか?

「いや…引き金となるものは、かなりランダムですね…でも基本的には暴力的なもの、性的なものなら何でも。僕にとって一番の引き金はナイフです。今、暴露・反応妨害法という行動療法で、まずは包丁をまな板の上に置きっぱなしにする練習をしています。毎日そこに置いておいて、トイレに行くたびにその前を通るんですけど、要は過敏性を軽減する訓練なんです。いつか友だちを家に招いて、みんなのために(包丁を使って)料理を振る舞える日を夢見ています。今は包丁を使うときはものすごく軽く握って、万一腕を振り回したくなってしまったら包丁が落ちるようにしています。起こりもしないリスクの軽減のために、恐怖感を抱きながら試行錯誤しているこの状態…ほんと、バカげてますよね」

――性的なイメージも多いということで、OCDがゆえにセックスがしにくくなったりもしますか?

「はい、もちろんです。OCDに苦しむ僕の経験から言えるのは、脳内の強迫観念は、人生でもっとも美しい数々の瞬間を台無しにしてしまうということです。例えば、愛する人と"今、愛し合っている"と心では分かっているのに、頭の中では相手が自分の親や祖父母に見えて、近親相姦しているような恐ろしいイメージが浮かぶんです。あるいは、相手が死体のように見えたり、セックスしながら相手を切り刻んでいる様子が浮かんだりします。もう際限はありません。誰かと愛し合いながら、そういった映像が頭を埋め尽くし、そのせいでセックス自体へのプレッシャーのようなものもエスカレートしてしまいます。もし今、彼女に対して冷めたらどうしよう、セックスへの欲求が突然失せたらどうしよう、彼女が"私に飽きたの?"と思ったらどうしよう…とか。実は、元妻との関係がそうだったんです」

――今活動中のプロジェクトと、Pure-Oで苦しむ人たちをどう助けていきたいか、聞かせてください。

「自分の症状に気づいてからは、YouTubeの投稿や色々な資料を本気で調べるようになりました。どの情報が正しくて、どれが間違ってるのか…深く掘り下げていく作業は大変でしたね。2年かけてようやくすべてを調べ上げ、"この膨大な情報を、若い人たちに視覚的にも文章的にも分かりやすく伝えるには、どうまとめたらいいか?"と考えて浮かんだのが<IntrusiveThoughts.org>です。見る人が、この病気をよりスムーズに理解できるサイトになればと願っています。共感してくれる人はきっと大勢いるはずですから」

――Pure-Oに苦しむ人たちに、何かアドバイスはありますか?

「一番大切なのは、きちんとした教育を受けることです。多くの人々は正しい情報を持ち合わせていないがゆえに、両親や愛する人たちから上手く理解を得られていません。きちんとした知識さえ持っていれば、誰とでも正直に話し合えるんです。知識を得ることで、自分は決して異常者ではなく、単に形の違う不安症を患っているだけだと分かるんですよ」

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:名和友梨香

COSMOPOLITAN US