接待の飲食で心臓病を引き起こす?(shutterstock.com)

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 飲めない人に酒を強要するアルハラ(アルコールハラスメント)や、ムダづかいが問題視される昨今、昔ほど「酒席での営業」は重視されなくなってきた。それでも古い慣習を大切にする業界では、接待や仕事上の会食がなくなることはないだろう。

 どんな席であっても、取引先や上司との会食は気を遣うものだ。無理をして飲み食いしなければならなかったり、慌ただしいなかでの食事とあれば、疲労すら感じることだろう。いかにも健康には悪そうだが、実際に心臓に相当なストレスをかけているらしい。

「仕事上の会食」が脳梗塞や心筋梗塞などの原因に

 米マウントサイナイ・アイカーン医科大学(ニューヨーク市)心臓病学教授のValentin Fuster氏らの研究によると、典型的な「仕事上の付き合いでする食事」は心臓に大きな負担となり、アテローム性動脈硬化のリスクを高めることがわかったという。

 この研究結果は『Journal of the American College of Cardiology』(オンライン版・8月15日)に掲載された。

 今回、Fuster氏らは、40〜54歳のスペイン人4000人超を対象に、「地中海食」「西洋式の食事」「仕事上の付き合いでする食事(social business diet)」という3つの食事パターンが心臓にもたらす影響を検討した。

 最近では日本でもお馴染みの「地中海食」は、果物や野菜、全粒穀物、豆類、ナッツ類が豊富な健康食として知られている。「西洋式の食事」は、赤肉や加工肉、バター、高脂肪の乳製品、精製穀物が多く含まれるものを指す。

 そして「仕事上の付き合いでする食事」は、牛肉や豚肉、甘い飲料、加工食品やアルコールをふんだんに含み、加えて「外食」や「慌ただしく食べる軽食」「過度の飲酒」を含む食事パターンだ。

 今回の研究対象者は、いずれも健康に問題がなく心疾患の徴候がない人々だ。そして、約40%が「地中海食」、40%が「西洋式の食事」、20%が「仕事上の付き合いでする食事」のパターンに該当。動脈画像検査および超音波検査で、動脈硬化の初期徴候を調べた。

 その結果、「仕事上の付き合いでする食事」をしていた群は、ほかの2群に比べて心血管リスクのデータが有意に悪く、特に「アテローム性動脈硬化」のリスクが高かった。この結果は、年齢、運動習慣、喫煙歴などの影響を及ぼす因子を考慮しても変わらなかった。

 高血圧や高血糖で血管内膜が傷つくと、隙間から血管内膜の下に入り込んだコレステロールが白血球の一種であるマクロファージに捕食される。その死骸が溜まってアテローム状(粥状の塊)になり、血管のしなやかさが失われた状態が「アテローム性動脈硬化症」だ。

 初期段階では自覚症状はないが、悪化すると脳梗塞や心筋梗塞などの重篤な疾病の原因となる。

 Fuster氏は「仕事を兼ねた食事は、本当に悪影響があり、動脈に大きな打撃を与え、心血管疾患リスクに大きく寄与する」と述べている。
ランチの見直しで健康を取り戻せ

 今回の研究では「接待漬け」の日々や、モニター前でバタバタと適当に摂る食事が、いかに血管にダメージをあたえるリスクが高じるか改めて明白になった。とはいえ、仕事の付き合いで、どうしても会食が避けられないビジネスパーソンもいるだろう。

 だが、ランチなら自由度が高く、誰でも好きなものを選んで食べることができる。一日の食事のうち昼食の内容を改善するだけで、生活習慣病のリスクが短期間に下がるという、ビジネスマンを対象とした国内の研究データもある。

 夜の接待や会食が多いという人は、ランチでは、以下のことに気をつけるといいだろう。

●おにぎりやパン、パスタなど、糖質が多く血糖値の上がりやすい単品メニューで済ませない。
●主菜や副菜など、なるべく4品目以上ある定食やセットメニューを選ぶ。
●ご飯は少なめにしてもらい、その分、小鉢などのサイドメニューを加える。
●和食、中華、イタリアンなどいろいろなジャンルの料理をローテーションする。
●主菜は肉・魚どちらかに偏らず日替わりで食べる。
●食事の順序は野菜や汁物から箸をつけ、その後、主菜を、最後にご飯やパンなどの糖質を食べる。

 <できる>ビジネスパーソンや経営者は、食事を決しておろそかにはしないと言われる。「次の健康診断の結果が怖い」という人は、まずランチの改善に取り組んでみてはどうだろうか。
(文=編集部)