東京駅から28分!都心からもっとも近い「ローカル線・鶴見線」はここが楽しい

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 横浜・川崎市内の京浜工業地帯へ向かうJR鶴見線は、東京のすぐ近くでちょっとした旅行気分が楽しめる「都会のローカル線」として名高い路線だ。東京駅から鶴見まではわずか28分。その魅力を紹介しよう。

 鶴見線はもともと物資輸送のために作られた私鉄だったが戦時中に国有化。現在、その利用者は京浜工業地帯の企業で働く人たちが中心となっている。鶴見線は鶴見駅と扇町駅を結ぶ本線と、浅野駅と海芝浦駅を結ぶ支線、安善駅と大川駅を結ぶ支線で構成され、各支線は本線に乗り入れて、鶴見駅に発着する。各駅の距離は1キロほどで、歩いて巡ることも可能。

 1971年の改札業務の合理化が行われ、鶴見駅以外の全駅が無人駅となっており、ダイヤは朝夕のラッシュ時で4本、日中は一時間に一本ほどと首都圏で最も本数が少ない。

 そのためどこかのんびりとした雰囲気が漂い、遠い地方へ来てしまったような錯覚に陥る。もっとも、これといった観光名所があるというわけではないが、鉄オタや工場フェチにも有名な路線で、マニア心に突き刺さるポイントもあるので、お金を掛けずに時間を潰せること受け合いだ。

◆国道駅:昭和の雰囲気が今でも残る

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 その無造作な名の通り、国道15号線(第一京浜)付近にあるこの駅。長さ100メートルほどの高架下に設けられた駅舎は、アーチが印象的なアール・デコなデザインで、老朽化が進み薄暗く、うら寂しい雰囲気が漂う。周辺の高架下建築も廃墟ばかりで場末感があり、映画やドラマのロケ地にも使われているとか。

 改札正面には焼き鳥屋「国道下」が営業している。串一本50円〜という破格の安さで、地元のおじさんたちで賑わいを見せており、店内にはカウンター席のみ10席ほど。取材時は満席で店の表の脇にある丸椅子に座り、ビールケースに乗せたダンボールをテーブル代わりに飲むことにした。

 改札外の駅トイレが真向かいにあり、店内のお客さんも催すとこちらのトイレを利用しているようだ。最近では都内の駅のトイレもずいぶん小綺麗になっただが、暗くションベン臭い一昔前の駅のトイレを彷彿とさせるものであった。

◆海芝浦駅:駅の外に出れない珍駅

 国道駅などと並び、鶴見線の駅の中でも最も有名な駅のひとつ。東芝の事業所の土地に駅があるため、駅員の代わりに守衛さんがいる駅で、駅の外に出られない珍駅としてよく知られている。

 駅を含め東芝の敷地というわけだが、一般客向けに敷地の一部が海芝公園として開放されており、東京湾越しに扇様と大黒埠頭を結ぶ首都高湾岸線・鶴見つばさ橋やベイブリッジ、対岸の扇島のコンビナート群といった景色が広がる。改札機は公園の手前にあるため、きっちり精算を済ませなければならない。

 また、時間帯によっては折り返し電車に乗らないと閉じ込められたまま、まるっと一時間待ちぼうけをくらうことになりかねないので注意。停車時間は10分ほど。海芝公園の開園時間は午前9時から午後8時30分までとなっている。

 「海に一番近い駅」として「関東の駅百選」にも選ばれており、元旦などで初日の出スポットでもあるが、始発の時間の関係上、日の出を望めるのは冬場のみとのこと。

◆扇町駅:工場萌えにはたまらない

 鶴見線本線の終点駅である扇町駅は、私鉄・鶴見臨港鉄道時代から、旅客線の線路と貨物船の線路とに挟まれた構造となっており、現在も閑散とした貨物ヤードが見える。

 駅から2、3分ほど昭和電工川崎工場の方向に歩いて行くと、工場好きにはグッとくる美しいパイプラインなどが見られるが、周辺の道路は大型ダンプやトラックがひっきりなしに行き交うので、散策の際は注意。「テロ対策警戒中」「火気厳禁」といった看板がそこかしこに見られ、川崎工業地帯の中でもディープな雰囲気が漂っている。また、東側の敷地には東亜石油の巨大な製油所があったが、2011年に経営合理化で閉鎖された。

 鶴見線沿線には事業所ごとに社員食堂があることもあってか飲食店が少ないが、扇町には定食屋さかゐ食堂が店を構えており、モノ好きな観光客や付近で働く人の胃袋を満たしている。扇町の地名は京浜工業地帯埋め立ての功労者、浅野総一郎家の家紋が扇であったことに由来するとのこと。

 散策で小腹が空いたときはディープな定食屋で腹を満たすのもアリだろう。 <取材・文/日刊SPA!取材班>