東海道・山陽新幹線を使うとき、乗車券に「■」や「□」「・」が並んでいるのを見たことがある人も多いと思います。もちろん、やみくもに印字されているわけではありません。いったい、どんな意味があるのでしょうか。

三要素に分かれる「■□・」

 東海道新幹線に乗ったとき手持ちのきっぷを見ると、「乗車券」という文字の下に「■■■■■■■■・・・・」などと印字されていた覚えがある人も多いと思います。もちろん、それには意味が存在。いったい、どのような“暗号”なのでしょうか。


上のきっぷは、東京都区内〜名古屋間が東海道本線経由であることから「□」になっている。なお、「周遊きっぷ」は現在は発売されていない(2016年9月、太田幸宏撮影)。

「■」「□」「・」の記号は、その乗車券が新幹線と在来線、どちらを経由するのかを表しています。全部で12個並んでおり、4個ずつが、それぞれ左から東京〜熱海間、米原〜新大阪間、新下関〜博多間の経由についてのものです。記号が3個ずつ計9個のきっぷもありますが、意味は同じです。

 そして各区間に関し、東海道・山陽新幹線経由なら「■」、在来線(東海道本線、山陽本線、鹿児島本線)経由なら「□」、きっぷにその区間を含まない場合は「・」という表記になります。

 たとえば、「東京〜新大阪」を東海道新幹線で移動する乗車券なら「■■■■■■■■・・・・」、在来線の寝台特急「サンライズ出雲」で「東京〜出雲市」を移動する乗車券なら「□□□□□□□□・・・・」、「名古屋〜鹿児島中央」で東海道・山陽・九州新幹線が経路なら「・・・・■■■■■■■■」といった具合です。

なぜこのような表示がされているのか?

 乗車券にこうした表記が行われるのは、東京〜博多間のうち、東京〜熱海間、米原〜新大阪間、新下関〜博多間の3区間で、新幹線と在来線とで会社が異なっているためです。具体的にはそれぞれ次のようになっています。

(1) 東京〜熱海間
新幹線:JR東海
・在来線(東海道本線):JR東日本

(2) 米原〜新大阪間
新幹線:JR東海
・在来線(東海道本線):JR西日本

(3) 新下関〜博多間
新幹線:JR西日本
・在来線(山陽本線、鹿児島本線):JR西日本、JR九州

 なお(1)と(2)は、新幹線と在来線で運賃が同額であるため、東海道新幹線経由の普通乗車券で並行する東海道本線に乗ることが可能ですが(逆も同じ)、(3)の新下関〜博多間はJR西日本とJR九州とで運賃が異なる(たとえば新下関〜小倉間の運賃は新幹線だと320円、在来線だと360円)ので、新幹線経由の普通乗車券で並行の在来線に乗ったり、逆に在来線経由の普通乗車券で新幹線に乗ったりすることはできません。

 ちなみに、上記の3区間に関係のない、たとえば「福島〜盛岡」などの乗車券に印刷されているのは、「・」が12個ではなく、ほかの特急券などと同様、「__」(下線)のみです。