映画『闇金ウシジマくん Part3』が描く現代社会の借金地獄は怖い! でもなぜかウシジマくんの借金取り立てはカッコイイ!?【最新シネマ批評】

写真拡大


[公開直前☆最新シネマ批評]
映画ライター斎藤香が皆さんよりもひと足先に拝見した最新映画のなかから、おススメ作品をひとつ厳選してご紹介します。

今回ピックアップするのは、漫画、ドラマ、映画とメディアミックスで大人気のワイルドな人間ドラマ『闇金ウシジマくん Part3』(2016年9月22日公開)です。

シリーズもの、かつ、連続ドラマもある映画なので「初めてだとついていけないじゃん!」なんて思っている方が多いかもしれません。しかし無問題(モーマンタイ)! 私の初めてのウシジマ体験は映画『闇金ウシジマくん Part2』でした。それがあまりにおもしろくてPart1も見て、今回のPart3、そして10月22日に公開される映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』もひと足お先に拝見させていただきました! 

一度見るとドハマリするほど、ウシジマくんは魅力的なんですよ。

【物語】

派遣の仕事をしている真司(本郷奏多)は、ネット長者・天生翔(浜野謙太)の「誰でも億万長者になれる!」という宣伝文句につられて無料セミナーに参加。高額なテキストを買い、何が何でも金を稼いでやる!とマネーゲームにハマっていきます。

一方、キャバクラ好きのサラリーマン加茂(藤森慎吾)は、既婚者にもかかわらず、美人キャバ嬢(筧美和子)に夢中になり、彼女に会うために散財していく。

そして二人は、金策に困り、違法な高金利の金貸し屋カウカウファイナンスの丑嶋馨(山田孝之)のもとへ行くことになるのです。

【現代社会を映し出すウシジマくんの世界】

「闇金なんて、どうしてそんなヤバそうなところでお金を借りるのだろう?」と思っている人、いるでしょう。私もそう思っていました。でも世の中には、そういうところでしかお金を借りられないほど金策に困る人がいて、そういう人たちは、ここで描かれるようなドラマを抱えて生きているのかもしれません。

それを教えてくれるのが『闇金ウシジマくん』シリーズです。最近ニュースになった “ホストにハマって借金背負った二世タレント” も、闇金ウシジマくんに出てきそうなタイプですね。この作品の魅力は、その時代の社会を描いている点も大きいです。

また、ネット長者になろうと躍起になる真司を夢中にさせた天生翔は、 “秒速で10億稼ぐ男” と話題になったあの方をデフォルメしたよう。天生を演じた浜野謙太は、ヤバさの中に笑いも散りばめて大熱演。こういうからくりなのか……という学びもあり、全てが真実とは言えないまでも、一度ハマったら抜けられないシステムにはビックリします。

そして、キャバクラ嬢に入れあげるサラリーマンの加茂。女としてはぶっ飛ばしたくなるような男で、これはある意味、話題になった “ゲス不倫” です。オリラジの藤森はさすがチャラ男、ゲス男の加茂をリアルに演じ切っており、お見事!

【主役は債務者、実はウシジマくんは脇役?】

タイトルロールはウシジマくんですが、実はウシジマくんは全体の半分くらいしか登場しません。お金を貸して、取り立てるのがお仕事で、それ以外の余計なことはしないからです。寡黙なので必要以外のことはしゃべらない。でも誰よりも存在感がある。それは演じる山田孝之が、丑嶋馨にしっかり血を通わせて演じているからでしょう。

カウカウファイナンスがやっていることは違法。取り立てはハードで、ごまかそうとすると債務者はボコボコです。でも取り立てる側の彼らも、いつ捕まるかわからない厳しい中で生きているので、甘い顔などできないわけですよ。悪なりの正義を貫いているというか。

債務者はみんな、楽しておいしい思いをしようとしたり、楽しいことに流れていたり、イジョーな野心を持っていたり、ちょっと病んでいたり。人間の心の弱さや愚かさをまざまざと見せつけてくるので、胸が痛くもなるのですが、いつの間にか「こうはなりたくない!」と思ったりして。この映画は人生の反面教師とも言えるかもしれません。

ちなみに、10月22日より公開の映画『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』では、丑嶋馨の過去が描かれます。少年時代、最強のライバルとの闘い、そして再会。これはPart1〜3を見てからの方が、いっそう楽しめますよ。

というわけで『闇金ウシジマくん Part3』を見て、闇金の怖さ、借金を重ねる人の弱さを知りつつ、アンチヒーローのウシジマくんの魅力にハマっちゃってください。

執筆・文=斎藤 香 (C) Pouch

『闇金ウシジマくん Part3』
(2016年9月22日より、TOHOシネマズ新宿ほか全国ロードショー)
監督:山口雅俊
原作:真鍋昌平
出演:山田孝之、綾野剛、本郷奏多、白石麻衣、筧美和子、最上もが、マキタスポーツ、山田裕貴、前野朋哉、矢野聖人、大杉漣、藤森慎吾、浜野謙太、高橋メアリージュン、崎本大海、やべきょうすけ ほか
(C)2016 真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会

この記事の動画を見る