「第12回日中共同世論調査」のによると、領土を巡る日中間の軍事紛争について「起こると思う」と考える人は、日本側が28.4%だったのに対し、中国側で62.6%と3人に2人に達した。中国で6割を超えたのは調査開始以来今回が初めて。資料写真。

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2016年9月23日、言論NPO(工藤泰志代表)は中国国際出版集団と共同で実施した「第12回日中共同世論調査」の結果を発表した。これまで改善に傾いていた日中両国民の意識が、再び悪化に転じた。領土を巡る日中間の軍事紛争について「起こると思う」と考える人は、日本側が28.4%だったのに対し、中国側で62.6%と3人に2人に達した。中国で6割を超えたのは調査開始以来、今回が初めて。危機に対する「意識のズレ」が生じている点は注目される。

調査結果によると、現在の日中関係を「悪い」と見る日本人は、昨年と変わらず71.9%と、依然7割を越え、2014年から始まった改善傾向が止まった。一方、現在の日中関係を「悪い」と考える中国人は昨年から11ポイント増加して78.2%と8割近くになった。

現状の日中関係を「悪い」とする評価は、中国では2013年をピークに改善に向かい、日本では一年遅れて2014年から改善が始まったが、この流れが転じたことになる。

この一年間の変化についても、日本人の44.8%、中国人では66.8%が「悪くなった」と判断。今後の日中関係の見通しについては、「悪くなっていく」という見方が日本人では10ポイント増の34.3%、中国人でも9ポイント増の50.4%となった。両国民は今後の日中関係の改善に確信を持てないでいる。

相手国の印象が「良くない」「どちらかと言えば良くない」との回答は、日本側が計91.6%で、昨年の前回調査から2.8ポイント増。2005年の調査開始以来、14年の93%に次ぐ高い水準。中国側は同1.6ポイント減の76.7%だった。

相手国への印象が良くない理由(複数回答)について、日本側は「尖閣諸島周辺の領海・領空をたびたび侵犯しているから」が64.6%で最多。「中国が国際社会でとっている行動が強引で違和感を覚えるから」が51.3%で続いた。中国側は「侵略した歴史をきちんと謝罪し反省していないから」が63.6%で最も多かった。

領土を巡る日中間の軍事紛争について「起こると思う」(「数年以内に」「将来的に」の合計)と考える人は、中国側の62.6%に対し、日本側は28.4%だった。

言論NPOの工藤泰志代表は「日本人は尖閣周辺や南シナ海などで繰り広げられる中国の行動に違和感を覚え、それに反発している。日本では安保法制が成立し、自国の防衛のために米国との共同行動の範囲が広がった。7月には、中国の立場を否定する南シナ海を巡る仲裁裁判の判決を巡って、様々な報道があった。中国の反論は大きく、その中で日本が米国と連携して包囲しているという見方もあった。私たちが気にすべきなのは、こうした出口のない閉塞感が、安全保障面で行き過ぎた意識をもたらしていることだ」と語っている。

調査は8月13日〜9月4日、日中両国の18歳以上の男女を対象に実施。日本は1000人、中国は1587人から回答を得た。(八牧浩行)