北朝鮮に核兵器とミサイル開発に必要な資材や物品を密輸した容疑で逮捕された馬暁紅会長(ネット写真)

写真拡大

 中国企業、遼寧鴻祥実業発展有限公司(以下は鴻祥)の馬暁紅会長は、北朝鮮に核兵器とミサイル開発に必要な資材や物品を密輸した容疑で、9月初め、中国当局に逮捕されていた。馬氏は当局の取り調べに対して、遼寧省丹東市の一部の官員が密輸に関与していたと供述した。9月21日韓国の「ディリーNK」が報じた。

 報道によると、北朝鮮事情に詳しい中国人情報筋の話として、今年3月以降、中国税関当局は北朝鮮への輸出検査プロセスを厳しくしたにもかかわらず、鴻祥の傘下企業(鴻祥実業集団)は、国連が北朝鮮に対する制裁で輸出禁止と定めた金属資材や戦車用バッテリーなどを、リンゴと一緒に箱詰めし、リンゴの輸出と偽って密輸したという。

 同会社は、1台1000万元(約1億5000万円)と高価格をつけて、北朝鮮に対して数十台の武器製造設備を販売した。荒稼ぎした馬氏は見返りとして、密輸に関わった北朝鮮の一部の幹部や中国人ビジネスマンにトヨタ車などの外国車をプレゼントした。

 情報筋は、馬氏は中国政府の取り調べに対して、遼寧省丹東市政府の数十人の官員が密輸に関わったと供述した。現在すべての鴻祥の取引先が当局の取り調べを受けている。鴻祥が所有する5000トン級の商船7隻は当局に差し押さえられているとした。

 遼寧省公安庁は今月15日公式微博アカウントを通じて、「貿易活動に重大な経済犯罪」容疑で鴻祥の関係者が警察当局の取り調べを受けていると発表した。20日、中国外務部のスポークスマンは定例記者会見において、中国政府が同密輸事件の調査を進めていることを示した。

 馬氏の背後にいる遼寧省高官

 現在44歳、共産党員の馬暁紅氏は丹東市のある貿易企業に務めていた。2000年1月に創業した鴻祥は当初紡績・電子・化学などの関連商品を販売していたが、現在は貿易、ホテル経営、観光業までにも進出している。そのホームページにおいて、鴻祥は「北朝鮮と世界を結ぶ黄金の橋」とアピールしている。

 2012年馬氏は優秀な女性企業家に選ばれ、13年、遼寧省の人民代表大会(人代、地方議会に相当)の代表(議員に相当)に選出された。しかし、このほど、遼寧省人代に関して不正選出に関与したとして、辞任した450人の代表の中に、馬氏もいた。

 時事評論員の周暁輝氏は、鴻祥の密輸に多くの官僚が関わっていることは官商癒着の深刻さを示していると指摘した。また、当局による馬氏への取り調べと同時に、遼寧省人代常務委員会の李峰副主任が突然罷免されたことも、鴻祥の密輸に関与した可能性が高いとの見解を示した。

「李峰氏は遼寧省公安庁長、同省の政法委員会書記などを務めてきた。北朝鮮政府や軍関係者と深いつながりを持つ鴻祥は、省の公安当局と司法当局からの黙認がなければ、北朝鮮とのビジネスはうまくいかないはずだ」と周暁輝氏は指摘。周氏によると、北朝鮮金正恩政権が主導した中国国内で偽札、覚せい剤などの犯罪活動に加わった中国側関係者が李峰氏だったという。

 金正恩政権は、すでに失脚している江沢民側近の周永康氏のほか、同じ江派閥とみられる中国共産党中央政治局常務委員の張徳江氏、劉雲山などとも緊密な関係を持つ。

 習近平政権は発足後、打倒江派閥を図りながら、中国の対北朝鮮政策方針を変えた。今年1月、北朝鮮が4回目の核実験を行った後、国連は3月、同国に対して最も厳しい制裁措置実施案を通過させた。中国当局の賛成票を投じた。9月9日、北朝鮮が5回目の核実験に踏み切ったときも、中国当局は「断固たる反対」を示した。また、19日、中国の李克強首相はニューヨーク市でオバマ大統領との会談の際、双方は北朝鮮問題で連携を強めていくとの意向を示した。

(翻訳編集・張哲)