高齢出産で障害児が生まれる確率と調べる検査方法

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妊娠出産時の母体に負担がかかるのはもちろんのこと、35才をこえての妊娠出産では障がいをもった子どもが生まれる可能性が高いと言われています。とはいえ、もちろん妊娠出産は誰にとっても不安と隣り合わせです。ここでは、高齢出産のリスクと生まれてくる前に親としてどのような愛情を注げるのかをご紹介します。

年齢別ダウン症の子どもが生まれる確率

年齢別にダウン症の子どもが生まれる確率を見てみてみますと、

・20才では1178分の1

・27才では931分の1

・33才では443分の1

・37才では187分の1

・45才では23分の1となります。

やはり母親の年齢が上がればその可能性も高くなることが伺えます。

45才では23分の1の確率

45才になると23人に1人がダウン症になるという驚くべき数字が出ています。

また、晩婚化が進む中で高齢出産が増え、ダウン症で生まれる赤ちゃんが倍に増えているというデータにも驚く方も多いのではないでしょうか。

しかしながら、生まれたときにダウン症であってもみんなと同じように学校に通い、就職し社会のために力を発揮している方も少なくありません。妊娠出産は女性にだけ許された素晴らしい奇跡ですので、たとえ高齢出産と呼ばれる年齢であったとしても応援したいですし、応援されるべきです。

理由は「染色体の異常」

35才からが高齢出産と言われていますが、37才では20才の6倍ほどのリスクがあることがわかります。その理由は「染色体の異常」だと言われています。

女性は加齢と共に染色体の一部か欠けたり、変化する傾向があることがわかってきました。自分の努力だけでは、染色体の異常を防ぐ方法はなさそうです。このことからも高齢出産といわれる年齢よりも若いうちに出産することが推奨されてしまう理由がわかります。

しかしながら、若くして妊娠出産をしても、そして特に思い当たる理由がなくても障がいをもった子どもが生まれてくる確率はゼロではありません。

年齢別の確立を見ても他の若年に比べると確率は高めですが、必ずという数字ではありません。生まれてくる子どもを親として可能な限り愛することが大切です。

高齢出産で障がいのある子どもが生まれる確率の高い理由

では、なぜ高齢出産だと障がいのある子どもが生まれる確率が高くなってしまうのでしょうか。理由は「染色体の異常」だと書きましたが、染色体とは一体何でしょうか。

染色体とは

ひとことで言うと「人間の設計図」ですね。私たちのからだは細胞の集まりでできていますが、その細胞のひとつひとつが染色体をもっています。その数は46本と決まっていて、この染色体は父親と母親の両方から譲り受けることになっています。父親から23本、母親から23本でちょうど半分ずつの染色体を受け取ることになります。この染色体が、肌の色や髪の色など私たちの要素を作ってくれています。

その染色体の異常が障がいを引き起こしてしまうのです。ダウン症の定義としては「染色体46本のうち、21番目の染色体を3本(通常より1本多い)もつことにより発症する先天性の症候群」と位置づけられています。

ダウン症のリスク

では、そのダウン症のリスクが高齢出産で高まる理由は何かということですが、それは加齢により卵子が老化することすなわち卵子の質が低下することによると言われています。卵子の老化が染色体の分裂を失敗させて、染色体異常を引き起こすのです。

事前に障がいがあるのかを調べる方法

最近では、出産をする前のお腹の中に赤ちゃんがいる段階で、その子がダウン症かどうかを調べる方法がたくさん開発され、得に高齢出産を迎えるお母さんたちに勧められることが多くなっています。

定期検診での超音波検査

定期検診で超音波検査が行われますが、その際(妊娠10週〜15週の間)四肢や顔にダウン症の特徴が表れていないかを確認し、気になる場合は精密な検査が行われるのです。

羊水検査

精密検査として有名なのが、「羊水検査」です。羊水を検査し、胎児の細胞に異常がないかを確認します。

ほぼ100%の確実性があると言われており、費用は大体10万円ほどです。他にもお腹に針を刺し胎盤になる前の組織を検査可能な「絨毛検査」や、血液から染色体の異常を調べる「新出生前診断(NIPT)」があります。羊水検査は妊娠15〜18週に、絨毛検査は妊娠9〜14週に、新出生前診断は妊娠10〜18週に検査が可能です。

新型出生前診断(NIPT)

正式名称は、非侵襲的出生前遺伝学的検査と言います。

20ccほどの血液を検査し80〜90%前後の確率で胎児の先天性異常を予見することができます。

21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの3種類が検査対象となります。

しかし、検査を受けるためには35歳以上の高齢出産である場合や夫婦どちらかに染色体異常がある場合等のさまざまな条件がありすべての人が受診できる検査ではありません。妊娠10~18週の早めの時期に検査が可能です。

自由診療のため保険が適用されず費用は施設によりますが20万円前後とやや高額になります。

母体血清マーカーテスト

少量の血液を採取し血液中の成分の濃度を調べ染色体の異常がある確率を算出する検査です。21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、開放性神経管奇形の確率が分かります。

妊娠15~21週に検査が可能です。費用は1~2万円ほどです。

胎児に異常があるかの確定診断はできませんが、採血のみのため検査による流産のリスクはありません。確定診断の羊水検査を受ける場合はマーカーテストを受ける必要はありません。

お腹の子どもがダウン症だと分かった時の対処法

検査により陽性反応が出てお腹の子どもがダウン症だと分かった場合、道はふたつです。

ひとつは中絶、もうひとつは産んで育てるという道です。

検査を受けるのもそのあとの対応もじっくりと考えることが必要です。女性はお腹に赤ちゃんがきてくれた時点で「お母さん」であり、子どもにとっては唯一無二の存在となるのです。

それはお父さんも同じです。夫婦で大切な子どもの幸せを一番に考えて結論を出してください。

高齢出産のメリットとダウン症の子を育てるメリット

高齢出産のメリット

ダウン症のリスクが高いというお話をしましたが、高齢出産にはこんな良いこともあります。経済的に安定していてゆとりがあることや、気持ちの面でも落ち着きをもって育児ができるというところです。

育つ環境によって子どもの性格や可能性は変わります。落ち着いた環境で育つことのできる子どもはとても幸せだと言えるでしょう。

また、高齢での妊娠は年齢により減少した女性ホルモンの分泌が増えることにつながるのです。女性ホルモンが増えることによって冷え性の改善やお肌のつやが戻るなど女性自身にも嬉しいことがたくさんあるのです。

ダウン症の子を育てるメリット

またダウン症の子どもを育てることにもメリットはあります。

ダウン症の子供の特徴の1つとして、とっても素直さを持っています。ダウン症の子供たちがお母さんや近くの人たちから、愛されている理由がわかります。

世の中にはひとりとして同じ人はいません。それは大人も子どもも同じです。大人であれば様々な立場、考え方、性格の人がおり、なかなか人間関係が上手くいかないときもあります。

子どもたちも同じです。色んな子どもたちがいます。いつも元気いっぱいで声の大きな子もいれば、いつもどこか寂しそうで控えめな子どももいます。ダウン症だって同じです。少し人と違うだけ。母親はそのことを実感し、学び、子どもと共に成長することができるのです。

どんな子だっていずれは自分と違う誰かと出会い、一緒に学んだり成長したり時にはぶつかったりするようになります。また、夜泣きもなく素直だという意見もあります。他の兄弟に比べて「育児が楽」だということです。

高齢出産によるダウン症のリスクが高いのは統計的にも実証されていますが、あまり気にしすぎるのも良くないということが言えます。障がいがあってもなくても大切な子どもとして愛情を注いでいくことで、親として、人間としての成長が得られるのかもしれません。

まとめ

母親になる「覚悟」とはどのようなものでしょう。生まれてくる子どもを愛し受け入れることが母親というものではないでしょうか。母親の愛情ほど深く無償のものはありません。ただただ子どもの幸せを願うことのできる唯一無二の存在と言えるでしょう。

近年では晩婚化も進み、高齢出産を経験する人の数は実際に増えています。そしてダウン症の赤ちゃんが多く生まれていることも確かです。しかし、その赤ちゃんはせっかく授かった大切な命なのです。もしかすると不妊治療の末の新しい命かもしれません。

ご紹介した通り、生前診断というものも存在し、お腹の赤ちゃんが障がいをもっているかどうかを事前に知ることもできる時代になりました。もしかするとその診断をしてあげることが赤ちゃんにとって幸せかもしれませんし、父親母親にとっても幸せの第一歩になるかもしれません。なので決して否定はしません。

ただ言えるのは、子どもの幸せを考えるのが親の一番の務めであるということです。

「ダウン症」をもって生まれた子どもは少し他の人と違うかもしれません。でも、走るのが遅い子、早い子、勉強が好きな子、嫌いな子、ひとりとして同じ子どもは存在しません。その人との違いを「個性」として受け入れ、子どもたちを守っていくことが父親母親として何よりも大切なことではないでしょうか。みなさんの大切なお子さんたちが幸せな毎日を過ごせることを願っています。