写真提供:マイナビニュース

写真拡大

連載『「老後破産」を回避せよ! - アラサーから始めるマネー対策』では、FPの馬養雅子氏が、貧困により老後の生活が破綻する「老後破産」をどのように回避すればよいのか、アラサーのうちからできる対策法をご紹介します。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

人生の三大出費といわれるのが、教育費、住宅費、老後資金。このうち住宅は一度にまとまったお金が必要となる人生最大の買い物です。それだけに、慎重に物件を選び、しっかりと資金計画を立てた上で買わないと老後破産につながります。

住宅の価格は地域によってかなり差がありますが、都市部のファミリー向けの物件だと、1,000万円以上するのが普通。現役世代がそれだけのお金を全額用意するのは難しいので、通常は頭金を貯めて、残りは住宅ローンを借り入れて長期にわたって返済していくことになります。

住宅ローンの返済は25〜35年続くのが一般的です。その間、銀行口座から毎月一定額が引き落とされていくので、借入額が多いと毎月の返済額も多くなり、日々の生活費や子供の教育費にしわ寄せがきます。さらに、十分な老後資金を貯めるゆとりがなくなり、老後破産につながります。

毎月の返済の負担が重くて家計の収支がぎりぎりだと、何かの理由で収入が減ったり、支出が増えたりしたときに返済しきれなくなって、老後破産する前にローン破産してしまうことも考えられます。そこで、そうならないための"住宅購入3つのNG"を挙げておきます。

○住宅購入NGその1「頭金ゼロで買う」

1つ目のNGは、「頭金ゼロで買う」こと。頭金がなくても住宅の購入や住宅ローンの借り入れは可能ですが、それは避けるべきです。物件価格が同じなら、頭金が少ないほど借入額が多くなり、ローンの負担が重くなります。だから、「家を買おう」と思ったら、まず頭金を貯め始めましょう。目標は物件価格の2割です。

頭金ゼロがNGなのは借入額が多くなるからだけではありません。頭金がゼロということは貯蓄がゼロということであり、これまで収入のすべてを使いきってきたということです。要するに、支出をコントロールして貯蓄する体質ができていないわけですから、そういう人がマイホームを買って毎月ローンの返済をするようになったら、ますます貯金ができなくなります。その結果、十分な老後資金を貯めることができずに老後破産してしまいます。

頭金を貯めるということは、支出をコントロールして毎月一定額を積み立てていく習慣を身につけるということ。そういう意味でも頭金は重要なのです。

○住宅購入NGその2「ずっと共働きのつもりで住宅ローンを組む」

もう1つのNGは、これから子供を持とうとする夫婦が「ずっと共働きのつもりで住宅ローンを組む」ことです。夫1人ではローンの返済が厳しい場合、住宅の販売会社は、妻の収入も含めてローンを組むことを勧めてきます。

でも、それは危険。妻が産休後や育児休業後に職場復帰するつもりでいても、出産後に体調を崩す、あるいは生まれた子供が病気がちといった可能性がないとはいえず、そのために働き続けられなくなったり収入が減ったりしたら、ローンの返済ができなくなってしまうからです。

共働きでも、住宅ローンは夫1人の収入の範囲で返済できる資金計画を立てましょう。

○住宅購入NGその3「マイホームの衝動買い」

マイホームは買ったあとで「こんなはずじゃなかった」と思っても、売却や買い換えは簡単ではありません。ですから物件選びもとても重要です。マイホームの衝動買いは絶対NGです。

ところが実際には、賃貸アパートに住んでいた人が近所にできたマンションのモデルルームへ行き、その物件がすごく気に入って、その場で購入契約を結んでしまうというケースがあるんですよね。賃貸アパートに比べたら新築のマンションのモデルルームがよく見えるのは当たり前。でも、それが本当にいい物件かどうか、1カ所見ただけで判断するのはムリです。

不動産のよしあしはいろいろ見比べてみてわかってくるもの。それに、住宅のチェックポイントは、広さや間取り、キッチン・お風呂・トイレなど水回りの設備、収納スペース、周囲の環境、最寄り駅からの距離、買い物などの利便性、マンションなら共用部分の広さや長期修繕計画がきちんと立てられているかなど、たくさんあります。それらをきちんとチェックできるようになるには、たくさんの物件を見て、不動産を選ぶ目を養わなければなりません。

また、マイホームの衝動買いは、きちんとした資金計画を立てていないことが多く、大抵は返済能力以上の借り入れをしてしまいます。よくない物件を買ったしまった上に、ローンの負担が重くて家計が厳しくなっては、"夢のマイホーム"がローン破産や老後破産につながる"地獄"になってしまいます。そうならないよう、住宅購入はくれぐれも慎重に行ってください。

※画像は本文とは関係ありません。

○執筆者プロフィール :馬養雅子(まがい まさこ)

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者)、一級ファイナンシャルプランニング技能士。金融商品や資産運用などに関する記事を新聞・雑誌等に多数執筆しているほか、マネーに関する講演や個人向けコンサルティングを行っている。「図解 初めての人の株入門」(西東社)、「キチンとわかる外国為替と外貨取引」(TAC出版)、『明日が心配になったら読むお金の話』(中経出版)など著書多数。オフィシャルホームページ「あなたのお金のアドバイザー」。

(馬養雅子)