放置したままの子供のころの郵便貯金、一度ご確認を。

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「満期を過ぎてそのまま放置している郵便貯金、ない? 払い戻しできなくなるらしいよ」

ある日、母に言われてビックリした。

新聞に広告が出ていると聞き、見ると、こんな大きな見出しがあった(=写真)。
「お手元に満期を過ぎた郵便貯金はありませんか。ご家族にもご確認ください」
その下にはマンガで「えっ!? 本当なの!?」「そうなのよ」「満期を過ぎた郵便貯金を放っておくとおろせなくなるのよ」という衝撃的なやりとりがある。

満期後20年2カ月経つと権利が消滅


全国どこにもあることから、子どもの頃のお年玉などはそのまま郵便貯金に貯金していたという人もけっこういるのではないか。
自分自身、子どもの頃にちまちま預けた定額や定期預金をすべて把握しているとは思えない。
不安になってよく読むと、「郵政民営化(平成19年10月1日)より前に郵便局にお預けいただいた定額郵便貯金、定期郵便貯金、積立郵便貯金は、法律の規定により、満期後20年2カ月経つとお客さまの権利が消滅し、払い戻しが受けられなくなります」とある。
つまり、郵政民営化前のもので、それも満期後20年2カ月経たないと大丈夫ってこと? 20年なんて気が遠くなるような話だけど……。
これ、結局どういうこと? ゆうちょコールセンターに聞いてみた。

「郵政民営化以前にお預けいただいた定額・定期・積立預金は、満期となった日から20年2カ月経つと、『旧郵便貯金法』の規定が適用され、権利が消滅してしまうことになりました」
なぜ今、そんな広告を?
「定額預金の場合、満期は10年ですが、民営化の少し前の預け入れが昨年から今年にかけて満期になる方が出てくるため、昨年、今年と何度か新聞広告で告知しております」

それにしても、満期後20年2カ月もの時間があるのに、なぜ告知を?
「急を要することではありませんが、最初の10年くらいまでは覚えている方でも、あまりにも期間があるために逆に忘れてしまうことが考えられるためです」

総合口座通帳の後ろにつく「担保定額・定期預金」の場合は、満期を過ぎると自動的に普通預金のほうに移行されるから、権利消滅の心配はない。
だが、問題は、別立ての通帳や、一枚の証書タイプの場合だそう。
「子どもの頃のお年玉貯金なども、別立ての通帳や証書タイプの一枚モノで定期預金にされている方はいらっしゃると思います。別立ての通帳や証書タイプの場合、まず満期後10年の段階で『満期日経過のお知らせ』をお送りし、さらに20年の段階で『権利消滅まであと2カ月』というお知らせをお送りします」

引越しで住所が変わっても大丈夫?


段階を踏んでお知らせをしてくれるのはありがたい。だが、心配なのは、引っ越しや結婚によって住所や名字が変わってしまっているケースだ。
「満期日が経過した後の払い戻しについては、住所変更が必要になりますが、そのときに『当時の印鑑がない』『通帳自体がない』という場合でも、払い戻しはできます」

通帳がどこにあるか、そもそもいくら貯金したのかもわからない人はけっこう多そう。その場合は?
「引っ越ししたり、結婚して名字が変わったりしていても、旧住所や旧氏名などを正確に書いてもらうことで、どういう貯金がどのくらいあるのかを、一括でお調べすることができます」
また、払い戻しに必要な書類については、コールセンターでも教えてもらえるそう。
「基本的に払い戻しの際には、現在の印鑑(認印で可)、現在のご本人確認書類(保険証や免許証など)の2点があれば大丈夫です。旧姓の印鑑や、旧住所の証明書などは不要です。また、払い戻しする場所も、当時預けた旧住所の郵便局などである必要はなく、現在の最寄りの局など、どこの郵便局でも行えます」

ゆうちょの定額や定期預金って、子どもの頃にお年玉などをちょこちょこ貯金して(させられて?)、そのまま放置している人も多そう。
満期後20年2カ月というと、長い長い年月だが、それを忘れてしまう可能性はあるだけに、まずは満期を過ぎて一度も手続きをしていない人はご注意を。

さらに「満期を過ぎている定期や定額預金があるかどうかすらわからない」人は、一度、最寄りのゆうちょ窓口で確認してみては?
(田幸和歌子)