疲れがとれない… もしかして「累積疲労」かも

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執筆:井上 愛子(保健師、看護師)


休んでも疲れがとれない、なんだか頭がボーッとする、そんな疲れをあきらめていませんか?もしかすると、あなたの疲れは累積疲労かもしれません。

累積疲労は、放っておくとこころや身体に悪影響を与える危険がありますが、適切な治療を受ければ、完治を目指すことができます。

累積疲労とはどのようなものなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

累積疲労ってどんなもの?

「累積疲労」という病気の捉え方は、心療内科の医師によって提唱されました。

日頃のちょっとした身体の疲れは休息や睡眠をとることで解消することができます。しかし、疲労が過度に蓄積すると、身体にある血管の90%を占める細い毛細血管と、リンパ管がつまりやすくなります。

さらに、細胞を修復する働きのある成長ホルモンの分泌が減るため、死んだ細胞がたまって身体がだるく感じるようになるというメカニズムが、累積疲労の基本的な考え方です。

さらに血管の流れが悪くなると、胃腸が弱ったり、身体で重要な働きをする酵素の活性が落ちたり、脳の働きにも影響を与えると言われています。

累積疲労で現れる症状とは?

累積疲労は、初期の段階では、精神的に少しイライラしたり、仕事で簡単なミスをしてしまう、といった程度の影響ですが、中期になると頭痛や耳鳴り、肩こり、動悸、微熱、など身体で感じる不調となります。

さらに、つらい症状の原因がわからないまま不安にさいなまれ、悪化すると、涙が止まらなくなったり、外にでられないなど、精神的なダメージをうけ、うつ病や過労死などにつながってしまうリスクもあります。

累積疲労を悪化させないためには

初期の段階から身体のサインに気づき、対策をとることが必要です。

若い頃は疲れても眠れば回復していたという人でも、年齢を重ねるごとに回復に必要な時間は長くなっていきます。しかし、仕事や家事の忙しさに追われていると、疲労が解消されないまま、身体にどんどん蓄積されてしまいます。

とれない疲れや精神的な不安定さを感じたときは、自分が思っている以上に身体が疲れていると意識し、十分な休養を取るようにしましょう。

累積疲労と慢性疲労

累積疲労を提唱した医師は、累積疲労と慢性疲労は違うものであると述べています。

慢性疲労は、原因不明のだるさが続くもので、悪化すると「慢性疲労症候群」と診断されますが、治療法は確立されていません。一方、累積疲労は、身体の疲労が原因であり、治療法もはっきりしています。

精神的な影響がでていても、身体の疲労をとることで改善が期待できるため、まずは「累積疲労」という概念を知り、疲れがとれない場合は、早めに病院を受診しましょう。心療内科や病院によっては、総合診療科として全身の不調を診ているところもあります。


累積疲労は、その原因に気づき、正しい対処法を取れば、必ず治るものです。日々の疲れや不調をないがしろにせず、身体のサインに耳を傾けてみましょう。


<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン