全身5メートルの妊娠したホホジロザメ(沖縄美ら財団総合研究センター提供)

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映画「ジョーズ」のモデルになった狂暴なホホジロザメが、子宮の中でミルクを出して赤ちゃんを育てていることが、海洋生物の研究を行っている沖縄美ら島(ちゅらしま)財団総合研究センターの調査でわかり、科学誌「バイオロジー・オープン」(電子版)の2016年9月16日号に発表された。

母乳で育てる魚は、マンタなどのエイの仲間では知られていたが、サメの仲間では初めてで、研究者は「世界的にも貴重な発見」と喜んでいる。

人間と同じ「母乳から離乳食へ」の2段構え

同研究センターの発表資料によると、ホホジロザメは最大で体長6メートル、体重2トンを超える、魚類では最強のハンターだ。一般の魚のように卵を海中に生みっぱなしにするのではなく、子宮を持ち、その中で卵を孵化させ、1.2〜1.5メートル(体重20〜30キロ)にまで育ててから生む。しかし、妊娠期間や繁殖場所など、具体的な繁殖行動は謎に包まれていた。

研究チームは、地元漁協の協力を得て、2014年と2016年にそれぞれ定置網にかかって死んだ妊娠中のメスを1頭ずつ手に入れて解剖した。その結果、母ザメはまず妊娠の初期に子宮の壁にある無数の突起から脂質をたっぷり含んだ液体(子宮ミルク)を分泌し、赤ちゃんはミルクを飲んで育つ。赤ちゃんが70〜80センチまで育つと、その突起が酸素を供給する器官に変わり、今度は無精卵のカプセルである栄養卵を子宮の中に放出し、それを赤ちゃんが食べて育つことがわかった。

成長の途中で子宮を劇的に変化させ、ミルクから卵食へと、まるで人間が母乳から離乳食に変わるように2段構えの栄養補給で赤ちゃんを育てるのだ。ほかのサメの仲間には、子宮の中で多くの卵を孵化させ、兄弟に共食いをさせて生き残った赤ちゃんを生むという栄養補給の仕方をするタイプもいる。ホホジロザメは見かけによらず、母性に富んだ生き物だった。