「泉ピン子に似てる」と言われた小3の娘の意外な反応【シングルマザー、家を買う/59章】

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<シングルマザー、家を買う/59章>

 バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。

 小学生とは、酷な生き物である。

 3年生になった娘はとてもオシャマで、すでに初恋も経験し、毎日サイリウムを持ってテレビの前でアイドルを応援する“ティーン”のような生活を送っている。

 とはいえ、娘が通う小学校は男女とても仲がよく、いつも一緒に泥まみれになり昆虫を捕まえる“ザ・小学生”のような日々も送っているので、よきバランスが取れているのだろう。学童から帰ってきた後、「○○くんがね、バッタを見つけて教室に持ってきたの!」「カイコに好きなアイドルの名前を付けて育て始めたら、すごくかわいくなったんだよ!」と目をキラキラさせながら語る姿は、まだまだ子供でホッとして和むのだ。

 しかしある日、事件は起こった。

◆泉ピン子に似ていると言われた娘

 娘がニヤニヤしながら、「ママ〜、○○くん(娘が好きな男の子)が、ウチのこと、泉ピン子に似てるって言ってきたの〜」と報告してきたのだ。

 え? ピン子? あの渡る世間的な?

 ちょっと状況を把握しきれない私は、もう一度名前を聞いてみることにした。

「ねぇ、誰に似てるって?」

 すると、「い・ず・み・ぴ・ん・こ!」とご丁寧に一文字ずつ言ってくれたのだ。

 小学生のちんちくりんな娘を前に、あの大御所女優の泉ピン子を重ねて思わず大爆笑してしまった私は、「あはははは! おもしろいね! その男子!」とツボってしまったのだ。どうしよう。おもしろい。

 すると娘は「ねぇ、泉ピン子って誰?」と聞いてきたのだ。

 え!? 知らないで言ってたの!?

 そりゃそうだ。娘は「渡る世間は鬼ばかり」も見ていなければ、泉ピン子に接する機会もない。

 そうかそうか。私は丁寧にスマホで泉ピン子を画像検索して、「この人だよ」と見せると、娘の顔が一気に曇り、目に涙が溜まったと思った瞬間、驚くほど大きな声で泣き始めたのだ。

「ウチ、こんなおばあちゃんじゃない〜〜〜!!!!!」

 もう私は心の中で爆笑である。でも、これは笑っちゃいけないところだ。

 私も内田有紀に憧れてショートカットにしたときに、当時好きだった男子に「カボチャみたい」と言われたトラウマが今でもある。それから美容院に行くたびに「ボリュームをおさえてください」と呪文のように言い続けているのだ。

 でも、泉ピン子は大女優だ。カボチャに比べたら最高にいい呼び名である。

 私はとりあえずフォローしようと、必死に泉ピン子に対するいい知識をまくしたてた。「いや、ピン子はすごいんだよ! 最初は芸人だったんだけど、女優としての演技力を認められて日本を代表する女優に成長したんだよ! もはやピン子なしの日本のドラマは考えられないんだよ!? もうパイオニアだよ、ピン子は!」

 焦ってすがるようにピン子のフォローをするも、「そんなの知らない〜!!!」と叫ぶ始末である。たしかに、それを知ったところで「ならいいか」と思える小学生はいないだろう。

 それから娘は自分の部屋に閉じこもり、しばらく出てこなかった。笑ってしまった自分を責め、焦る気持ちをおさえつつ、娘が出てくるのをじっと待つこと2時間。

 そろそろピン子のことは忘れたかなと、おやつをダシに呼んでみると、部屋の引き戸をガラッと開け、娘が飛び出してきた。すっかり変わり果てた姿で……。

◆「泉…ピン子です…」

 娘はスズランテープで作った腰みのをつけ、王冠をしてマラカスを持ち、立ち尽くしていた。

 ちょっと、いや…かなり意味が分からない。