白鳥を眺めながらコーヒーを楽しむチェコ・プラハの朝
女子旅の目的地としてもすっかり定着したチェコ。美しい街並みにかわいい雑貨と魅力の尽きない場所ですが、地元の人が集う土曜朝市も見ておきたいものの一つです。白鳥を眺めながらモーニング・コーヒーを味わうプラハっ子の土曜日の朝。
青空の下でこだわりの一杯を
プラハの朝、ホテルの部屋に用意されていたフルーツをかじり、土曜朝市に向かいます。
街の真ん中を流れるヴルタヴァ川。そこに架かるイラーセク橋とパラツキー橋の間の川岸はナープラフカと呼ばれ、毎週土曜の朝にはファーマーズマーケットが立って、プラハっ子と観光客で賑わいます。
フルーツや生花、焼きたてのパン、チーズや蜂蜜を売るスタンドと並んで、イティ・スラデクさんが仲間たちと出店している〈ブルーバー〉があります。〈ブルーバー〉は週に1日だけ営業のサードウェーブ系コーヒースタンド。
朝8時半。犬の散歩のついでに買い物に来た女性、前の晩から飲み続けているように見えるビール片手の若者、スマホ片手にスタンドごとにセルフィー写真を撮る観光客などでマーケットは賑わってきました。
〈ブルーバー〉ではスタッフのラデク・スカパルさんが真剣な面持ちでドリッパーにお湯を落としています。この日のスペシャルティ・コーヒーはエチオピア産とブラジル産の2種類。週毎に産地を替えているとのこと。
「僕らはペーパーフィルターのハンドドリップだけで勝負しているんだ。コーヒーのデリケートな風味を味わってもらうには最良の方法だからね」とラデクさん。ヨーロッパ中のコーヒーショップで当たり前のように見られるエスプレッソマシーンはここにはありません。
メニューボードにはコーヒー2種類と「アイス・カスカラ・フィズ」が。カスカラとは、コーヒーの実の果皮と果肉の部分を天日乾燥したもので、ポリフェノールを豊富に含んでいることが知られています。
花屋さんで買ったブーケを抱えた女性が〈ブルーバー〉に立ち寄りました。「今日はどんなコーヒーがあるの?」と女性スタッフのイトゥカさんに尋ねています。
イトゥカさんは最近までオーストリアのコーヒーショップで働いていたけれど、イティさんのコーヒー哲学に共感して、この“週一コーヒースタンド”を手伝うようになりました。
3人の夢は自分たちのお店を構えること。スタンドの向こうの川面には白鳥が浮かんでいます。橋の上をロードレーサーに乗った男たちが走っていきます。いよいよ混み合ってきたマーケットにコーヒーの芳ばしい香りが漂います。
取材協力:チェコ政府観光局
(浮田泰幸)