見積もり甘すぎた「東京五輪」 計画変更、経費節減……組織委員会も四苦八苦?

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「膨らむ開発予算、環境面でもアウト? 東京五輪 まだまだあった憲章違反」という記事を読んだ東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会から連絡が入った。光栄なことだと喜んでいたら「オリンピック憲章に違反しているなんてもってほか」とのことだ。話を聞くと、当初計画の見積もりの甘さに四苦八苦する組織委の様子が浮かび上がってきた。

冒頭で紹介した記事は作家、松井政就氏のコメントを中心に構成。「世界一コンパクト」を打ち出した招致段階では約7,000億円だった予算が、いまや4倍にも5倍にも膨らんだ状況を、話が違うと批判し、五輪道路にも絡む築地市場の移転先で土壌汚染対策が不十分だったことにも触れ、五輪を口実にした開発や環境破壊をしないよう警告した五輪憲章の精神に反していると指摘した。

これに対し、組織委は「当初予算というのは立候補ファイルを作った2013年1月のものですが、その数字自体が見積もりの甘かったものではないか、ということは(組織委として)対外的に発信しています」(広報)と釈明。確かに当初予算を作ったのは東京都とJOC(日本オリンピック委員会)のはず。招致が決まった後に立ち上げた組織委を別に考えてほしいのだろうが、一般にはなかなか伝わりにくい。無理な当初予算を渡され、計画変更がある度に批判されるのだから、やるせない気持ちになるのは理解できるが……。

組織委は「当初想定していなかった業務のほか、一番大きいのは建設費の高騰、仮設会場でも会場の整備費があります」(広報)と予算が膨らんでいった状況を説明する。

■相次ぐ競技会場の変更、経費節減に効果

大胆な経費削減も行っている。選手村から半径8km圏内に競技会場の85%を収めるとした計画を変更。夢の島に予定していたユース・プラザ・アリーナAおよびBをはじめ、いくつかの競技会場の新設を中止。バスケット、セーリング、レスリング、フェンシング、自転車の一部などは埼玉、神奈川、千葉、静岡などにある既存施設での開催となる。

「世界一コンパクト」という招致時の“公約”を果たしていないと批判が出たが、国際的には追い風が吹いていた。開催費が高騰することで五輪招致に二の足を踏む都市が出てくる中、既存施設の活用や開催都市以外での競技を開催することでコスト削減を推奨するという、IOC(国際オリンピック委員会)の改革指針「五輪アジェンダ2020」が採択されていたのだ。

組織委広報は「IOCも持続可能な大会運営には非常に熱心であり、(計画変更は)IOCの意向にも合致している」と憲章に則した施策であるとアピール。さらに「既存施設に移したことで当初の計画と比べて約2,000億円の削減になったことに留意してほしい。時間と労力をかけて競技関係者と交渉に当たってきたという経緯もあります」と訴える。

■当初計画に振り回される組織委

都とJOCが作成した“見栄え”のする予算や計画に振り回される現状は気の毒ですらあり、「ちゃぶ台返し」と世間から揶揄される裏には組織委の大変な苦労があることに思いを馳せたい。まもなく組織委としての最初の五輪予算が伝えられるはずだが、これまた批判の的になるのだろうか……。

逆境に負けずに是非とも立派な東京五輪へと先導してもらいたい。冒頭で紹介した記事にある松井氏の言葉を繰り返せば、「世界一コンパクトだったのはお役人の責任感だったというオチ」だけは回避してほしいと切に願う。

「教えて!goo」では「東京五輪競技会場の分散化はどう思う」ということで意見を募集中だ。ちなみに筆者は日本列島が一層活気づきそうなので大賛成だ。

(武藤章宏)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)