写真提供:マイナビニュース

写真拡大

東京大学(東大)は9月19日、マウスの不安行動が1日のなかで時刻によって変化すること、また脳内の扁桃体においてSCOPという分子が不安の日内変化を制御することを解明したと発表した。

同成果は、東京大学大学院理学系研究科の大学院博士課程 中野純氏、清水貴美子助教、深田吉孝教授らのグループによるもので、9月19日付けの英国科学誌「Scientific Reports」に掲載された。

地球上のほぼすべての生物は、概日時計と呼ばれる体内時計機能を持ち、さまざまな生理機能が地球環境の24時間サイクルに同調している。体内時計が外界の明暗環境に同調できなくなると、幅広い生理機能に異常が生じる。近年、体内時計の異常が、気分や感情の状態(情動)に強く影響することが明らかになってきているが、体内時計が情動を制御するメカニズムはわかっていない。

今回、同研究グループは、マウスの不安様行動試験により、野生型マウスの不安レベルが1日のなかで大きく変動することを発見した。この変動は、昼夜を模した明暗サイクル下でも、恒常的に薄暗い環境下でも見られることから、体内時計によって制御されているといえる。また、体内時計の中心因子であるBMAL1分子を背側終脳という脳領域においてのみ欠損させると、不安の日内変動が消失し、1日中一定の不安レベルを示すようになることを見出した。

さらに、背側終脳のなかでも特に、扁桃体基底外側核(BLA)という神経核において、SCOPの量が日内変動を示し、BLAにおいてのみSCOPを欠損させると、マウス不安行動の日内変動が消失し、1日中低いレベルで一定の不安レベルを示すことがわかった。したがって、SCOPはBLAにおいて不安を増強する機能を持ち、SCOP量がリズミックに変動することによって不安の日内変動が作られるといえる。

今回の成果について、同研究グループは、体内時計は不安の変動を積極的に作り出すよう働いており、生体防衛機能の基礎となる不安レベルが1日を通してダイナミックに変動することが生存にとって重要なのではないかと推測している。

(周藤瞳美)