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「結婚するくらいなら死ぬ! 堕して!」。交際1か月で彼との子どもを授かった女性は、彼からこんな言葉を告げられました。あまりに不誠実な彼から慰謝料を取りたいという相談が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられました。

投稿によると、彼との交際が1か月が経過して別れ話が出ましたが、同時に妊娠が発覚。彼から、両親への挨拶や子育ての経済面など、結婚に向けた前向きな話があったそうですが、次第に彼の気持ちはブレはじめました。

再度話し合いになり、女性が彼に「一緒に育ててくれる?」と聞くと「堕さない、頑張る」と出産と結婚を受け入れる返答をしました。しかし、その後、電話で彼は「やっぱり堕ろして、結婚もしたくない」と態度を一変しました。「生むと言っても認知しないから!」とまで言われたそうです。

出産できると信じていた女性にとって、彼の言い分に何度も振り回された挙句、結果的に中絶するのはあまりに苦痛が大きいです。中絶の費用だけでなく、精神的苦痛を理由に、彼から慰謝料を取ることはできるのでしょうか。木村康之弁護士に聞きました。

 ●これまでは「中絶も女性の意思決定に基づく」という理由で認められないことが多かった

結論としては、このまま男性側が不誠実な対応を続けるようであれば、慰謝料請求が認められる可能性は十分にあります。

中絶をした女性から男性に対する損害賠償請求について、これまでは、性行為や妊娠について女性の同意があり、中絶も女性の意思決定に基づくものであることを理由に、認められないとする考え方が一般的でした。

しかし、最近の裁判例には、次のような理由で損害賠償を認めるものが存在します。少し長いですが要約して紹介します。

「中絶により直接的に身体的及び精神的苦痛を受け、経済的負担を負う女性は、性行為という共同行為の結果として、母体外に排出させられる胎児の父となった男性から、これらの不利益を軽減し、解消するための行為の提供を受け、あるいは、女性と等しく不利益を分担する行為の提供を受ける法的利益を有しており、この利益は生殖の場において女性が男性に対して有する法律上保護される利益である。したがって、男性がこれらの不利益を軽減し、解消するための行為をせず、あるいは、女性と等しく不利益を分担することをしなければ、男性は女性の法律上保護される利益を違法に侵害したとして、損害賠償責任を負う」

たしかに、女性が、性行為や妊娠、その後の中絶について、同意や承諾をしているとしても、そのことをもって、中絶の際に男性に不利益を軽減・解消してもらい、あるいは分担してもらう権利までをも放棄したとはいえません。

男性が、女性の不利益を軽減する、解消する、あるいは分担することを怠った行為が違法であるとして、損害賠償(慰謝料等)を請求することは十分可能でしょう。



【取材協力弁護士】
木村 康之(きむら・やすゆき)弁護士
東京弁護士会所属。離婚,男女問題,相続・遺言,交通事故,債務整理といった一般的な民事事件や刑事事件,行政事件に加え,社会保障(年金,生活保護,医療保険,労働保険等)に関連する事件の解決にも取り組む。
事務所名:経堂綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kyodo-lo.jp/