ワキ汗をおさえる方法はありますか?

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執筆:井上愛子(保健師、看護師)

夏が終わり涼しくなってきましたが、日中はまだまだ暑く汗をかくことも多いですね。「ワキに汗をかいていないか」と心配してしまうことはありませんか?

何かと気になってしまうワキ汗。このワキ汗を抑える方法はないのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

どんな時に汗はでるの?


普段の生活で汗をかくのはどんな時でしょうか。運動をした時や暑い時、熱いものや辛いものを食べた時、過度に緊張した時などがそうでしょう。

ヒトの皮膚には汗腺があります。私たちはそこから汗を分泌し、汗が蒸発するときに熱を奪い(これを「気化熱」といいます)、体温を調節しています。この体温を一定に保つための発汗を「温熱性発汗」といいます。

またほかにも、緊張や不安による「精神性発汗」、辛い物や刺激物を食べることで生じる「味覚性発汗」があります。

発汗の量は温熱性発汗が最も多く、汗をかく場所も発汗の種類によって異なります。脇は、温熱性発汗と精神性発汗の両方による発汗がみられる場所で、さらに汗腺も多くあることから、汗を多くかく場所なのです。

抑える方法は?ワキ汗が多くなる原因と対策

汗をかくということは身体の機能として正常な反応だといえます。

とはいっても、ワキ汗が必要以上に多くて悩んでいる方もいることでしょう。そこで、過剰なワキ汗を改善する方法をご紹介します。

1.運動不足?体型のせい?温熱性発汗の対策


温熱性発汗は、体温調節のためにほぼ全身の毛穴から発汗し、脇に限らず、汗腺が多い場所であれば汗の量も多くなります。身体の皮下脂肪が多いと熱を閉じ込めてしまうため、温度をさげようとして汗を多量にかきます。

肥満体型の方が汗を多くかくのは、温熱性発汗によるものであり、減量をすることで必要以上の発汗を抑えることができると考えられます。

また発汗機能は、たくさん運動したり、高温の環境で生活したりすることで高まります。反対に、普段の運動不足や、冷房の効きすぎた環境にいると、汗腺の発汗機能は低下してしまいます。その結果、体温を調節するために少しの運動だけで汗腺の多い脇に発汗が集中し、ワキ汗が多くなることがあります。

このような場合は、普段から運動を行うなど、汗をかく習慣をつけ、脇以外の汗腺の発汗機能を高めるようにします。その結果、過剰なワキ汗を防ぐことができるでしょう。

2.ストレスが原因?精神性発汗の対策


精神性発汗は、ストレスや不安によって自律神経である交感神経が高まることが原因です。例えば、人前での発表で緊張すると大量に汗をかいてしまう、というケースがこれに該当します。

さらに、ワキ汗を気にしすぎることでもっと緊張してしまい、汗が多くでてしまうという悪循環を招くこともあります。不安の原因を取り除くこと、何がストレスになっているのかを自分自身で把握することがまず必要になります。

ワキ汗が人よりも多い!もしかしたら原因は多汗症かも!?

汗のかきやすさには個人差もありますが、先ほど説明した以外にもさまざまな原因があります。なかには、「ほかの人と比べて汗が異常に多い」と気にされている方もいるかもしれません。


暑くもなく緊張もしていないのに汗をかいてしまうのは、「多汗症」の可能性が考えられます。この多汗症は、暑さや緊張・不安などの精神的な負荷の有無にかかわらず、日常生活に支障をきたすほどの大量の汗が顔や手、足の裏、脇など左右両側にでる病気のことをいいます。

全身に汗が増える全身性と、手や脇、足の裏などの体の一部に汗が増える「局所多汗症」があります。脇に汗が増える多汗症のことを「腋窩多汗症(えきかたかんしょう)」といいます。

腋窩多汗症(えきかたかんしょう)という場合も

腋窩多汗症である局所多汗症には、外傷や腫瘍などの神経障害が原因となる続発性のものと、原因不明の原発性のものがあります。

原発性多汗症について、海外では「遺伝によるものが疑われる」との報告があり、日本でも重症の多汗症患者の出ている家系には原因となる遺伝子が関係しているのではないか、と示唆されています。

また、原発性の多くは思春期までに発病し、日常生活に支障をきたすほどの発汗がみられ、夜間(睡眠中)は発汗がみられないという特徴があります。

腋窩多汗症の治療

治療には、市販の制汗剤の主成分でもある「塩化アルミニウム」の外用薬が用いられています。また、ボトックス注射と呼ばれる「A 型ボツリヌス毒素」の注射が行われています。

これは、汗の分泌を促す神経伝達物質の働きを阻害し、神経伝達を遮断することで発汗を防ぐ治療法です。海外ではワキ汗に対しての効果は有効との報告があり、日本でも近年、重症の原発性腋窩多汗症では保険適用になっています。

「汗やワキ汗が多いことは恥ずかしいこと」と考えてしまうこともありますが、男女関わらず多汗症による汗やワキ汗を過剰に気にしてしまい、対人関係や社会生活に支障をきたすこともあります。

もしも「日常生活でも汗が気になって仕方ない」と悩んでいるようでしたら、一度受診をして医師に相談することをおすすめします。

<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師・保育士。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン