「虫の知らせ」のメカニズムは?

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「虫の知らせ」とは、『大辞泉』によれば〈よくないことが起こりそうであると感じること〉。「よくないこと」の最たるものとして、「身近な人が死ぬ予感」という意味で使われることが多い。

 2012年、NPO法人・プライマリヘルスケア研究所が「家族や親しい人の臨終に居合わせなかった経験がある人」を対象にアンケート調査を実施した。その結果、207人中87人、実に42.0%が「虫の知らせ」があったと回答したのだ。

「虫の知らせ」には、「亡くなる人物が自分の死をテレパシーのように伝えている」という説があるが、ヴァージニア大学のイアン・スティーブンソン教授は、英国心霊研究協会やアメリカ心霊研究協会などによる報告事例などを、著書『虫の知らせの科学』にまとめた。その中で、

〈意識にのぼらないところで、超感覚的プロセスを介した感情の重要なやりとりが、大半の人間同士の間で四六時中行われており、おそらくは、われわれの情動や行動に相当な影響を与えていることは想像に難くない〉

 として、「テレパシー説」を後押ししている。

 一般社団法人日本看取り士会代表で、これまでに約200人の人を看取ってきた柴田久美子氏の話。

「仕事柄でしょうか、虫の知らせの話はたくさん見聞きしてきましたし、私自身も不思議な体験をしました。

 ある夜、入院中の母が私の名前を呼ぶ声が聞こえたんです。『母のもとに行かなくてはならない』と直感し、すぐに支度をして病院に向かっていると、その電車の中で兄から母の危篤を知らせる電話が入りました。

『もう向かってるから』と伝えると兄はとても驚いていました。到着したときにはすでに母の意識はありませんでしたが、看取ることはできました」

 悪い予感は外れるに越したことはない。しかし、「虫の知らせ」がプラスに働くことだってある。悪いことと決めつけずに、前向きに「虫の知らせ」と向き合うことも必要なのかもしれない。

※週刊ポスト2016年9月30日号