障がい者と健常者が同じフィールドでモータースポーツを楽しむ!

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バリアフリーモータースポーツフェスティバル開催

リオのパラリンピックが終了というタイミングで、日本国内で身体に障害のある方と健常者がともにモータースポーツを楽しむというイベントが開催された。北海道にある新千歳モーターランドを舞台に、好天に恵まれた9月19日(敬老の日)に開催となった「バリアフリーモータースポーツフェスティバル(BMF)」がそれだ。

このBFMを主催するのは、約25年前にバイク事故での下半身麻痺の障がいにより車イス生活を送っている佐藤友治さん。事故後、さまざまな障がい者スポーツを経験し、なかでもモータースポーツへは、健常者・障がい者の枠はまったく関係なく、同じフィールドで同じルールの下、勝負ができる、と常に挑戦を続けている車イスレーサーのひとりだ。

この彼の活動に共感したメンバーが集ってスタートしたのが、このBMFである。2001年に最初のイベントを開催。健常者と障がいを持つ方々の交流、そして相互の理解が深まる活動を展開。ボランティアでの開催ということもあり、継続的な開催には困難が多かったが、オリンピック&パラリンピックイヤーの今年、そして2020年の東京パラリンピックを前に、障がい者スポーツの啓発や機運の高まりを受け、実行委員会を組織し、再び開催となった。

非常に多くのブース出展もあり、千歳モーターランドのカートコースやASPコースはもちろん、ダートコース、そして駐車場も使用しての非常に幅広いモータースポーツの体験できる機会となった。佐藤さんいわく「バリアフリー」という言葉自体も取り払ってしまいたい、というが、それも頷けるアクティブなイベントであった。

会場では、パーソナルモビリティ(車イスやその派生自転車)の試乗会や、2人乗りやハンドドライブのレンタルカートの体験走行などの体験イベントが盛りだくさん。

とくにこのイベントに協力的なホンダは、リオのパラリンピックにも多数出場しているというフルカーボンの車イスレーサー、そしてメインシャーシにカーボンを使用した市販のハイブリッド版の車イスレーサーを展示。さらにM-TECからハンドドライブ仕様のN-ONEカップカーも出展されていた。

スーパーGTに参戦する伊沢拓也&山本尚貴といったホンダのエースドライバーも、朝イチから会場入りしていた。この両選手は、ダートコースでの四駆アドベンチャーからN-ONEを使用したオートテストまで、会場に用意された大半のアクティビティを堪能。

青木拓磨選手も同乗走行などを実施

ほかにも、北海道出身でレーシングライダーの武石伸也選手、アクティブクラッチの普及に積極的なラリードライバーの福永修選手。そして青木拓磨&長屋宏和の2名の車イスドライバーもやってきた。

モータースポーツ領域だけでなく、アダプテッドスポーツデモンストレーションコーナーも設けられ、パワーチェアフットボール(電動車イスサッカー)、チェアテニス(車イステニス)、ウィルチェアラグビー(車イスラグビー)、ブラインドサッカーいった競技のデモンストレーションも行われた。

地元のドリフトチーム「Fyl-Fot(フィルオット)」もボランティアで参加。北海道のシリーズチャンピオンが勢ぞろいしてのドリフト同乗走行体験は1時間近くに及び、会場を盛り上げた。

青木選手は、福永選手とともに、アクティブクラッチや手動装置(グイドシンプレックス)を装着した車両で体験走行と同乗走行を実施。時間いっぱい来場者に手動だけでクルマを操作することについての体験の機会を提供。

最後にはゲストによるカート大会、そしてこの日参加した各団体が参戦する車イスGPで締めくくられた。健常者も障がいのある方も、老若男女問わずモータースポーツを楽しむ姿があちこちで見られる一日となった。

モータースポーツは、クルマという道具を使うことで同じ勝負ができる、という特殊なスポーツである。このイベントを開催した佐藤さんは、車イスでサーキットへ行くと、障がい者という目で見られるが、レースに実際に出て勝った・負けた、とやっているうちに、障がい者という特別な目で見なくなってくる、という自身の体験をもとにこのイベントを立ち上げている。

どんな人でも、モータースポーツを体験できる、そしてクルマのドライブを体験して遊べる場所をもっと提供していきたいという。この一緒に遊ぶという機会は、いろんな人にこれを知ってもらうことにもつながるし、もっともっといろんな人を巻き込んでいくことができるという。

今回のイベントを見直し整理し、来年もしくは再来年、再びこの場に戻ってくるだろう。バージョンアップして新しい展開もあるかもしれない。次回開催を期待したい。

(文・写真:青山義明)