ホームで敗れたUAE戦。喜べない勝利に終わったタイ戦。ハリルホジッチは試合後、弁明に多くの時間を割いた。時間のなさとコンディションがよくないことを、しきりに嘆いたが、本来、これらの要素は、第3者が両チームを客観的に比較して語るべきもの。どちらかの監督が、自分たちの事情を基に一方的に語っても論理的でなく、説得力に欠ける。言い訳にしか聞こえない。

 これは、前回書いた原稿の要旨になるが、ハリルホジッチのこの手の弁明は、これからも続きそうな気がする。

 海外組のコンディションにまつわる話で「試合に出ていない選手も何人かいる。90分戦うコンディションにはない」と述べたハリルホジッチだが、それは前回だけの特殊事情に終わりそうもないからだ。

 欧州のシーズンが始まってしばらく経ち、鮮明になっているのは海外組の苦しい戦いぶりだ。先週開幕したチャンピオンズリーグに、その現状は端的に表れている。日本人が所属するチームで、今季の本大会を戦うのはレスター、ドルトムント、セビーリャの3チームだが、岡崎慎司、香川真司、清武弘嗣ともに出場機会は一切、与えられなかった。

 中でもシーズン前、さんざん持ち上げられていたレスターの岡崎は、ベンチにも入れず、スタンド観戦となった。続くバーンリー戦でも、ベンチには入ったもののピッチには立てずじまい。昨季の状況とは一変。厳しい立場に追い込まれている。

 ある程度、予想されたことではあった。昨季、このコラムでも触れたことだが、チームはその相対的なポジションの上昇に伴い、選手を補強する。前シーズンのプレミア優勝クラブが、翌シーズンも同じメンバーで戦うことはない。チャンピオンズリーグに出場するチームらしい、顔ぶれで戦おうとするので、ライバルは増える。

 2部優勝を遂げたチームが、翌シーズンも同じメンバーで1部を戦うことがないのと同じ理屈。チームは昇格しても、選手まで全員揃って1部に昇格できるわけではない。それでも岡崎は移籍リストに名を連ねず、チームに残った。それが、めでたい話となるか否かは、今シーズンの出場機会に懸かっている。飼い殺し状態になれば、めでたい話ではなくなる。選手は試合に出場してなんぼなのだ。

 日本代表にとっても好ましい話ではない。代表監督にとっては頭痛の種になる。明らかに、コンディションの悪い選手を増やすことになるからだ。
 
 もしこのままの状態が続くなら、冬の移籍市場で別のチームに移籍して、出場機会を増やして欲しい。これが、ハリルホジッチの本音だろう。

 ドルトムントの香川は岡崎より深刻だ。チーム内の変化はレスターほど激しくない。チームの立ち位置にも大きな変化はないにもかかわらず、出場機会に恵まれない。原因は香川自身の地盤沈下と言われても仕方のない状況だ。これまで4戦して、出場したのは117分。少なくとも、日本代表選手としての「コンディション」は悪化する一方だ。

 セビージャの清武は、CL出場は逃したが、次戦のエイバル戦には、スタメンフル出場。1アシストと気を吐いた。出場機会は約50%。いわば1勝1敗の状態にある。少なくとも香川より、コンディションはいい。

 さらに言えば、香川とともに日本代表で不動のスタメンを張る本田圭佑をも上回る。本田の出場時間はリーグ戦4試合で、わずか11分。ウディネーゼ戦で交代出場したのみだ。ハリルホジッチが、それほどコンディションを重視したいのなら、優先すべきは清武。彼は現状、宇佐美貴史、武藤嘉紀と4−2−3−1の3の左を争う恰好だが、宇佐美(出場時間8分)、武藤(32分)に比べても、コンディションは遙かにいい。