「やればできる」は逆効果!? 親が本当にすべき“励まし方”とは
子どもが親の思う通り動いてくれないとき、失敗して落ち込んでいるとき、励ますとき、つい言ってしまっていませんか?こんな言葉…
子どもの5割は“高学歴・高所得”タイプに育てられている!? 親の実態が浮き彫りに
「あなたはやればできるのよ」
世の中に“子どもは褒めて育てましょう”という言葉が溢れています。でも、ただやたら褒めたり、励ましたらいというものでもないと思うのです。
今日は『1人でできる子になる 「テキトー母さん」流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。
わが子はどれ? 4タイプの子どもたち
どんなに努力しても思うような結果が出ないことは人生の中でしばしば起こります。失恋だとか就職試験で不採用だとか・・・。
これは子ども時代にもあります。例えば、運動会の練習を頑張ったけれども本番で転んでビリになってしまった、お受験で希望する小学校に合格できなかった、などなど。
“結果を出さなければやっていないのと同じこと”“金メダルじゃないと意味がない”などの価値基準で親がわが子を評価していると、次のような子どもになってしまうかもしれません。
私は仕事がら子ども達とすごろくやトランプをする機会があります。そんな中、勝負ごとに対してそれぞれの性格により色んなタイプに分かれます。
勝ち負けにこだわらず“参加していることに意義あり”の子。負けても勝っても嬉しそうに参加するタイプ最後までゲームには参加するけれども、一等賞になれないと泣いて怒って、すねてしまうタイプ
ゲームの終盤に差し掛かったとき「ああ、これ以上、残りのカードを頑張って取っても、優勝できないな」とわかった途端手を抜くタイプ
優勝できないとわかると「もう、止めた〜」と途中から棄権するタイプ。運動会の徒競走でも優勝できないとわかると途中から歩いてしまうタイプ
勝ち負けにこだわらない子はおっとりしていて競争心がない子ですね。最後まで参加して負けて泣き叫ぶ子は負けん気が強い子です。
でも、ちょっと問題なのは「3」「4」のタイプ。
ある意味、「一番でいないと気が済まない、結果でない自分が許せない、だったら途中からわざと負けて自分の弱さを受け止めたくない」と思っている、ある意味、精神的なタフさがない子です。
こういう子の中には、親から「一等賞になって偉いね」「優勝して立派だね」と言われ続けたり、「結果を出さないと意味がない」「白か黒はっきりさせる」「全か無か思考」(オール・オア・ナッシングでその中間がない指向)風に育てられていたケースがあります。
「やればできる」で育った子、相反する2つの心配
1. 何事にも自信が持てない
ある意味、「あなたはやればできるのよ」といった言葉には「今、あなたは努力していない」と批判している面もあります。「今はできていない」という意味にもとれます。
不器用でなかなかうまく靴紐が結べない、折り紙がうまく折れない、お受験のためのテストの点数が悪いなど、子どもは自分が“できていない”という現実を人に言われなくとも目の当たりにしています。
そんなとき「あなたはやればできるのよ」と言われたら、“傷口に塩”になってしまうかもしれません。
親が励ましのつもりでかけた言葉なのに、なかなかプラス思考になれない子は「ああ、やっぱり自分はできていないんだ」と思うかもしれません。
2. 自信過剰になる
子どもが努力しないで手を抜いたり怠けているにも関わらず、その態度に対して否定する事なく「あなたはやればできるのよ」と言い続けていたら、逆に「きっといつかできる」という“根拠のない自信”がついてしまう場合も考えられます。
いい方向に力を発揮することがあるかもしれませんが、反対にナルシストや天狗を作ることもあるかもしれません。
努力すること惜しんでしまい、自らの力を過信することにもつながりかねません。
子どもが「できなかった」時、親が本当にすべき励まし方は?
結果だけにスポットライトを当てないようにしましょう。結果が思うように伴なわなくても、努力した過程を声に出して認めてやりましょう。
アナウンサーのように子どもが取り組んでいる家庭を実況中継するのもよいです。
例えば……
「運動会の練習、暑くてもちゃんと取り組んでいて感心しているよ」
「一等賞になれなくても最後まで完走している姿にお母さんは感動したよ」
「勉強して、よく頑張っているね」
このように「あなたの努力は、親である私がしっかり見ていますよ」という態度を示されることは、子どもにとって一番うれしい愛情表現なのではないでしょうか。
やたらと褒める事に徹してしまっていたかも、という人は、これまでの自身の言い方や子どもの反応をちょっと分析してみてくださいね。
失敗しても、また挑戦できる子になるために
「子どもを褒めて育てよ」と言いますが、褒め方が大事です。
結果だけを褒めたり、条件が満たされた時だけ称賛したり、また、できない子に「あなたはやればできる」と言ってしまうことは、逆効果になることもあります。
“過程を評価”されることで子どもはたとえ失敗しても次に挑戦することができるようになります。
身体も大きく、運動神経もよく、手先も器用で機敏に動くことができる子は幼児期に“負ける”という体験をすることなく成長していく事があります。
ゲームを通して適度な挫折体験をさせることは精神的なタフさを育てる意味でも必要です。
トランプには神経衰弱やカルタなど記憶力や素早い子、運動神経が発達している子ばかりが勝つものもあります。
そんな器用な子の場合は、坊主めくりや運に頼るスゴロクゲームなどもやってみましょう。
能力だけに頼るゲームばかりしていると負ける子どもが決まってきます。
勝つ子はいつも一等賞の体験しかできなくなりますので、いろんなゲームを取り入れることも大切な事のひとつです。