2試合連続で2ゴールを放った久保。相手の警戒もうまく味方との連係でかわしてみせた。(C) J.LEAGUE PHOTOS

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 ベトナム戦に続き、U-16日本代表の攻撃陣が爆発した。タイムアップのスコアはベトナム戦を1点上回る8-0。
 
 立ち上がりはここまでのゴールラッシュを想像することは出来なかった。ベトナム戦からスタメンを3人入れ替え、CB小林友希を左サイドバックに、サイドバックだった喜田陽をボランチ、右MFだった久保建英をFWに起用をした。
 
 日本はキックオフから25分までリズムに乗ることが出来なかった。キルギスは10番(アリクロフ)、9番(モモシェフ)、19番(ボルバエフ)の3トップにロングボールを送り込み、彼らの打開力から日本の守備陣をこじ開けようとした。それに対し、ディフェンスラインの連係が悪く、サイドを破られたり、CBとSBの間のスペースを破られたりと、ベトナム戦とは打って変わってヒヤリとするシーンが見られた。さらに攻撃面も単調に終わり、シュートにすら結びつけられなかった。
 
 27分、森山佳郎監督は右MF鈴木冬一を左MFに、左MFの中村敬斗をFWに、FWの久保を右MFに移し、状況打開を図る。さらに29分に小林が負傷するアクシデントが発生すると、すかさずMF平川怜を投入し、福岡と平川のダブルボランチ、喜田を左SBへ。
 
 すると福岡と平川のコンビが中盤でボールを握れるようになり、ようやく日本にテンポが生まれる。31分にはFKのこぼれを平川がシュート。日本のこの試合最初のシュートを放つと、34分には左サイドで相手と競り勝った棚橋が、強烈なシュートを沈め、日本が先制点を奪った。
 
「最初の棚話の点が非常に大きかった。あそこで流れはガラッと変わった。それは大きかった」と森山監督が語ったように、棚橋の先制弾はどこか重苦しかった日本の空気を一変させた。
 
 さらに攻め手を強めると、40分、相手のクリアボールを拾った久保が、「最初は左足で打とうと思ったのですが、凄い勢いで相手が出て来たので、『これは食いついて来る』と思ったので、ワンテンポ置いた」と、飛び込んで来たDFをワンフェイントで交わしてフリーになると、GKをよく見てゴール左に沈めた。
 
 このゴールで完全に試合は日本のものとなった。43分、棚橋のラストパスを受けた中村が、今大会初ゴールを決めて3点目。このゴールで勝負は決した。
 
 後半、初戦のベトナム同様に完全に戦意を失ったキルギスを一方的に攻め立てる。
 
 52分、久保のスルーパスを受けた中村がこの試合2点目のゴールを奪うと、54分には再び先制点を挙げた棚橋。56分には鈴木が自ら獲得したPKを決め、6-0。80分には棚橋が自ら獲得したPKを決めて、ハットトリックを達成。アディショナルタイムに久保がとどめのゴールを突き刺し、ゴールラッシュを締めくくった。
 
「FW陣は初戦も宮代、山田が(ゴールを)取った。今日、久保は2戦連発で、中村も棚橋も取った。鈴木も取った、前の選手がほぼ取ってくれたのは大きい」と森山監督が語ったように、攻撃陣がきっちりと結果を出したことは大きなプラスだ。
 
 2つの大勝でグループステージ突破を決めた日本だが、最終戦のオーストラリア戦(9月22日)も油断なく戦いたいところだ。

「コーチ陣から言われたのは、1戦目に比べて準備の部分とか、メンタル面の部分でちょっと気の弛みがあったのではと。ちょっと気が弛めば、相手はすぐにそこにつけ込んでくるので」と久保が語ったように、立ち上がりは非常に悪かった。相手が強くなれば、そこをよりつけ込まれ、最悪失点という流れになるだけに、大会が終わるまでは気を引き締め続けなければならない。
 
 この勢いを途切らせないまま、U-17W杯出場権が懸かった準々決勝(9月25日)を迎えるべく、00ジャパンは『勝って兜の緒を締めよ』を全員で共有をし、オーストラリア戦に臨む。

取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)