また、身長154cm、ウエスト58cm、バスト109cmという素晴らしい肢体だけではなく、可憐さも残るその美しさで人々を魅了した彼女でした。なかでも美しいものに対しての優れた審美眼に誰もが脱帽し、尊敬されもしたのです。

そのひとつが、社交界では常に人目を引くデザインのドレスをまとったことでした。ナイスボディだったこともありますが、美的センスに優れていたことで、そのファッションは素晴らしく、男性の目を引き、女性たちの憧れの的となったのです。ですから、年間170着のドレスを新調させたというのも、同性としては理解できますし、納得できます。

そして、このような贅沢な生活をしていたことを、最後は庶民を欺く行為として非難されましたが、でも、晩年には“不幸になって初めて、人は本当の自分が何者であるかを知るものです”という今までにない殊勝な言葉を発し、それまでの私生活を嘆くアントワネットの姿…。

フランス革命の勃発の原因を作ったとされるアントワネットの節操のない私生活振りは、ともかく、後年、悪評のその多くが中傷とデマによるものであったことが解明されたことは、天国にいる当人はもちろん、彼女のファンの多くが喜んだと思います。

《註:文中の歴史や年代などは各街の観光局サイト、取材時に入手したその他の資料、ウィキペディアなど参考にさせて頂いています》

(トラベルライター、作家 市川 昭子)