温泉にゆったりつかる(?)オタマジャクシ=(小巻翔祥氏撮影・提供、広島大学ホームページより)

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「ゆでガエル世代」という言葉がある。カエルを水に入れ徐々に熱していくと水温の変化に気がつかず、ゆで上がって死んでしまう。これが社会の変化に追い付けない今の50代の男性にそっくりというのが命名の理由だ。

ところがどっこい、46.1度という高温でもたくましく生き残っている「ど根性ガエル世代」のオタマジャクシを広島大学と総合研究大学院大学のチームが発見、2016年9月5日に発表した。両生類の幼生の生息水温としては世界最高温度だという

トカラ列島の火山島でたくましく生存していた

広島大学の発表資料によると、発見場所は長崎県から真南へ約310キロの南シナ海にあるトカラ列島に所属する口之島。亜熱帯の小さな島で、火山があるため温泉がわいている。今回発見したのは、森の中にある浅い泥沼(セランマ温泉)に棲むリュウキュウカジカガエルのオタマジャクシだ。

このカエルは火山群島のトカラ列島に生息する唯一の在来種両生類。ほかの両生類には熱すぎる湯の中でも生存できるように適応し、その新しい環境をうまく利用することで、ほかのカエルの仲間との生存競争を避けることができた。水温を測ってみると、最高で46.1度に達した。成体のカエルはまだセランマ温泉では見つかっていないため、カエルの一生のうち、初期のオタマジャクシの段階だけ、高温に適応している可能性もあるという。

研究チームの井川武・広島大学助教は、発表資料の中で「ダーウィン以来、科学者は生物の分布と適応に関する研究を続けています。私たちの報告は、動物が多様な環境に見せる適応力と、多様な場所への定着という2つの直接的なつながりを示す好例の1つです」とコメントしている。