現在大ヒット公開中の長編アニメーション映画『君の名は。』、みなさんはもうご覧になりましたか? NY在住で『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者・りばてぃさんは、この映画に興味を持ち色々と調べていく中で、監督の新海誠さんがこの映画の発想を得たエピソードを語った記事に着目しています。そこには、クリエイティブに関わる人間だけでなく、私たちの生活や仕事に役立つヒントがたくさん詰まっているのだとか。そのヒントとはなにか、りばてぃさんが新海監督のエピソードから読み解きます。

クリエイティビティが世界を救う?

クリエイティブな作業のすすめ

日本では「シン・ゴジラ」に続いて「君の名は。」が絶賛大ヒット中。

時代を変える映画2本として各所で話題になっている。

ちなみに「シン・ゴジラ」はニューヨークで10月11〜18日までの期間限定で映画館上映されるので、絶対に観に行かなくちゃと思っている。

●Shin Godzilla, October 11-18 (Japanese with English subtitles)

君の名は。」もニューヨークで上映されないかなぁ・・・。

8月26日に公開されたばかりだが早くも「映画史に残る」、いや、「映画史を変える」と様々各所で絶賛。観たいなぁなんて思いながらいろいろ調べていたら非常に興味深い記事を発見した。

映画の監督、脚本、原作者である新海誠監督は、古今和歌集にある小野小町の和歌から着想を得たと記者会見でコメントしているのだ。

その和歌とは、

『思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを』

現代語訳は、

『夢で大好きなあなたのことを見た。これが夢だと知っていたなら覚めずにずっとその世界にいただろうに』

夢を見る度に入れ替わる男女2人の物語を描いた「君の名は。」ネタバレになるので詳細はここでは省くが、話題になってるだけあって、あらすじを読むだけでもめちゃくちゃ面白そうなのだ。

その物語のヒントを和歌から得たなんて知ったらますます観にいきたくなった。

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でも、きっと、新海監督は、この和歌だけじゃなく、他の和歌もたくさん読んだと思う。和歌だけじゃなく他にももっといろんな勉強をしてだろう。

突如、小野小町のこの和歌を目にして「次の映画にぴったり!」って思ったわけでも、「小野小町の和歌から映画作ろう」なんて思ったわけじゃない。

「こんなものを生み出したい」とか何かしらの想いやイメージを思い描きながらいろいろ調べたなかで、小野小町のこの和歌に出会ったから、「これだ!」って思ったんだと思う。

これ、実は、クリエイティブな発想の仕方の1つだと思う。

そして、実は、みなさんが映画監督という特別にクリエイティブなご職業に就いていなくても非常に参考になって、毎日の生活やお仕事にお役に立つヒントが隠されている。

MBAよりMFA

インターネットが普及して、ソーシャル・メディアが生まれて自分の体験や思いをシェアしたり伝えたりする手法はとても増えた。

ソーシャル・メディアでシェアしたりブログで何か書いたりしないよっていう人でも、メールで毎日誰かとやりとりはすると思う。

メールもあまりしないよと言う人でもネット上の情報は読んで気になるニュースについて何かしら考えるという人はいるだろう。

けど、何かを常に『作り生み出している』という人はどれだけいるだろうか?

『作り生み出す』のはクリエイティブな作業。誰かに言われてじゃなくて自ら何かを『作り生み出す』ことだ。

アート作品でもいいし、文章を書くのでもいい。でもできれば、自分の仕事や携わっていることに関係するもので新たに何かを『作り生み出す』ことを週に1度でもすることをお薦めする。

自ら『作り生み出す』ことが仕事や毎日の生活の生産性を上げもっと言うと、もしかしたら飢餓で苦しむ子どもたちをも救うアイデアを生み出すかもしれないから。

クリエイティブな作業が仕事や毎日の生活の生産性を上げ、よりより結果に繋がることは、米国では何年も前に関連の論文によって証明され、クリエイティビティの重要性は年々、高まっている。

2004年にハーバード大学出版社によるビジネス誌のハーバード・ビジネス・レビュー(Harvard Business Review)でその年の20個の革新的なアイデア(Breakthrough Ideas for 2004)の特集号が組まれた。

その中で、『MFAが新しいMBAだ』(The MFA is the New MBA)という論文が選ばれたのだ。

MFAとは美術学修士号(Master of Fine Arts)のこと。MBAはご存知の通り経営管理学修士号だ。

当該論文では、「もう経営学の時代は終わり、これからは美術学の時代へ」ということを示している。そして、その論文を天下のハーバード大学出版社が選んだ。その意味は大きい。

さらに、ここ最近話題の人工知能(Artificial intelligence:以下、A.I.)の発展の先にある人間の役割りをも示すものとも言える。

ハーバード・ビジネス・レビューに書かれた内容は以下の3つ。※は補足説明。

(1)コンピューターの進化とインターネットの普及→知識だけではコンピューターに勝てない

※つまり、知識や情報だけ得ても、それらが持つ意味を見つけて価値ある情報に変化させなければその知識は無いに等しい

(2)グローバル化→インド(英語圏)の優秀で安価な知識労働者に知識労働の仕事も基本的なものは大量にアウトソースされる

※能力の差を決めるのはオリジナルで生み出したアイデアや考え方や発想なのだ

(3)安くて質の高い商品・サービスが続々登場→(1)と(2)が進んで、物質的豊かさがどんどん広まる

つまり、「物質的豊かさ(material abundance)がどんどん広まって、大量の情報が溢れてる情報化社会(information age)を経た先は、概念的な時代(conceptual age)になっていき、消費者ニーズもこれまでとまったく別のものになる」という主張である。

また、これからの世の中では、どんなに高度に戦略を考えても、既存の知識の枠組みやこれまでの常識の中だけで考えてたら、後追いにしかならない。いや、それどころかクリエイティブに何かを生み出せない人は例えば、A.I.にとって代わってしまうかもしれないのである。

言い換えると、A.I.の時代が来るからこそ人間のオリジナルのクリエイティビティが重宝される時代となるのである。

●創造力は知識よりも重要です

クリエイティブになるには

じゃあ、何かを『作り生み出し』クリエイティブになるには、どうしたらいいのか?

いくつか方法があるが、まずは、『作ること』。

できれば毎日、難しい場合は数日に1回は時間を決めて何かを作り完成させるということをすると良いと思う。その際、ケース・バイ・ケースではあるが、なるべく調べたり新たに勉強したりすることは極力しないほうが良い。

自分の頭で考えて、現状で考えられるアイデアをまとめたり、文章を書いたりお仕事の戦略を考えるということをする。

兎に角、作る。

作ることを何回か繰り返していくと自分に何が作れて、何が作れなくて、作るには何が足りないのかが、なんとなく見えてくる。その時に初めて調べたり勉強をしたりする。

それは『作る』という作業の時間とは別の時間に足りないものを埋める作業として情報収集や体験をするのだ。

まるで、「君の名は。」の新海監督が古今和歌集にある小野小町の和歌から着想を得たように、自分に足りない何かを得ようとしていると、発想を与えてくれる何かに出会ったときに見逃さない。

そう、自分に何が足りないのか、求めているものは何なのかがわかってないと、いくらタメになる情報や知識や知恵に出会っても着想を得ることはおろか、必要なものだってことにさえ気づけない。だから、まずは作ってみるってことが大事。

作る



足らない部分を知る



情報を得る

この繰り返しが、誰も思いつかなかった時代を変えるクリエイティブなアイデアを生み出すことに繋がると思う。

少なくても、日々の生活や仕事の生産性は確実に上げることができるだろう。

image by: Flicr

 

『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』より一部抜粋

著者/りばてぃ

ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。

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出典元:まぐまぐニュース!