幼稚園でも人間関係は難しい「甘々と稲妻」11話

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台風が次々とやってきて、まだまだ暑さは残っているけど、気分はそろそろ秋。秋といえば、実りの秋、食欲の秋! というわけで、今クール屈指の飯テロアニメ『甘々と稲妻』。先週放送の第11話「おゆうぎ会とさつまいもクレープ」を振り返ってみよう。


秋は学校などで行事の多い時期。つむぎ(演:遠藤璃菜)の通う幼稚園ではおゆうぎ会、小鳥の通う高校では文化祭の準備が行われていた。

同級生の子に「おゆうぎ会、何やるか決めた?」と聞かれて、「つむぎはね、ガリガリさんやるの!」と勢いよく答えるつむぎ。ガリガリさんとは、女の子が連れているピンクの羊のこと。つむぎの自宅にあるぬいぐるみと同じだ。

ところが、幼稚園が用意していた役柄にガリガリさんは入っていなかった。
「ガリガリさんやりたいなんて……つむぎちゃん、ヘンだよね」と同級生で気の強いハナ(演:安藤紗彩)が言い放つ。
「な、なんでそういうこと言う?」とつむぎが抗議するも、ハナは仲良しのゆうか(演:久我心麦)と一緒につむぎを置き去りにしてしまう。

ちなみに筆者の娘もつむぎと同じ年中さんなのだが、こういう女の子同士の仲間外れはわりとカジュアルに行われている。リーダー格の女子たちに「遊んであげない!」とのけものにされたり、女子に大人気の『魔法つかいプリキュア!』ごっこでプリキュア役をやらせてもらえず、モフルンという丸っこい妖精役しかやらせてもらえなかったりする娘が不憫で仕方ない(本人や先生から話を聞いている)。

一方、文化祭でクレープ屋をやる予定の小鳥のクラスでは、他にもクレープ屋をやるクラスが二つもあることが問題になっていた。競合するなら差異化を図らねばならない。「水着」とか言ってる男子脳が微笑ましい。結局、料理研究家の母を持つ小鳥に新メニュー開発の白羽が立つ。
「ちょっと考えさせてもらっていいかな?」と腕組みをする小鳥。俄然やる気である。小鳥がクラスでこんなに存在感を発揮しているところを初めて見た。文化祭ってのは、普段目立たない生徒にスポットが当たるイベントだ。それにしても、食べることが好きな小鳥に「何かいいアイデアない?」と振った黒髪の女子は優秀だと思う。きっと仕事ができるオトナになるよ。

小鳥は公平(演:中村悠一)と話し合って、次回の料理会はさつまいものクレープを作ることに決定! 喜び勇んでつむぎに伝える公平だが、昼間の仲間外れのダメージが癒えていないつむぎは「はぁ……おとさん食べものの話ばっか」とため息。そして「女の子の話してーっ!」とキレ気味に叫ぶ。「女の子の話」とは、女の子同士でするような話という意味だろう。シングルファーザーであり、なおかつ女心に疎そうな(偏見)公平には酷な注文だ。

異変を感じた公平は、つむぎから事情を聞く。子ども同士のことだから、と放っておく親もいると思うが、それは親が面倒くさがっているだけ。こうやって向かい合って話を聞いてやるべきだ。

話を聞いた公平は、とりあえず幼稚園の先生に、ガリガリさんを演じたいと要望を伝える。ちょっとモンスターペアレンツのような行動に見えるかもしれないが、親が子どもの味方になって行動することは大切だと思う。子どもは親のすることをよく見ているものだ。自分に向き合ってくれているか、自分の味方になってくれているか、自分のために行動してくれているか、ちゃんと気づいて理解している。そこから親に対する信頼も生まれていくのだ。

ひょっとしたら、妻が生きていた頃の公平は、そういうことをおろそかにしていたのかもしれない。必死に子育てをしていくうちに、さまざまなことに気づいていったのだろう。

仲間外れの件を聞いた幼稚園の先生に促されて握手をするつむぎとハナ。しかし、両者わだかまりは解けていないのが丸わかりの態度だった。ハナは友達のゆうかと一緒にガン無視を続行。つむぎはクラスでひとりぼっちになってしまう。ああ、ウチの娘もこんな目に遭ってるなぁ……。既視感がありすぎて心が痛い。他の子と遊べばいいじゃん、とも思うんだけど、子どもはその友達と遊びたいんだよね。だからよけい悲しくなってしまう。子ども心は複雑で繊細だ。

愛情は言葉と行動でより一層伝わる


クレープの料理会では、公平、小鳥のほか、しのぶ(演:戸松遥)と八木(演:関智一)も顔を揃えた。
「うわぁ、みんないるー!」と目を輝かせるつむぎ。幼稚園でひとりぼっちな分だけ、賑やかなのが嬉しかったのだろう。
子どもをいじめや仲間外れから救うのは、まったく別の楽しいコミュニティだ。『まんが道』で満賀道雄はいじめられっ子だったが、才野茂と漫画を描くことで救われていた。『BECK』でコユキは不良グループから過酷ないじめを受けていたが、バンド活動があったから平気でいられたのだ。

つむぎが元気になったところで飯テロタイム突入! フライパンでバターを溶かす描写が秀逸。思わずあのいい匂いが鼻の奥でよみがえる。『料理バンザイ!』で流れていた雪印のCMのキャッチコピー「味はバターで決まります」を思い出した。話がいちいち古くてすみません。『料理バンザイ!』はスポンサー企業の不祥事で打ち切られたという珍しい(不幸な)番組だった。

楽しく料理を続ける公平たち。しかし、ふとした拍子でつむぎの心に影が落ちる。それを隠しておけるほど、5歳児はオトナではない。
「おとさんって食べものの話、よくするんだよ。女の子の話しないし……食べものの話ばっか……」と不満げに話すつむぎ。意外にもフォローを繰り出したのは目付きの悪い金髪男・八木だった。
「何があったか知らんけど、人にあたるな。お前のお父さんなんて、お前のことばっか考えてんだろ」

妻を亡くした公平を一番近くで見ていたのは、つむぎのお迎えまでこなす友人の八木だったんだろう。公平が残されたつむぎにかける愛情も、誰よりもよく知っているはずだ。だからこそ、こういう言葉がさらっと出てくるのだ。

「つむぎのことばっかり考えているよ」と目を見て話す公平。愛は言葉で表現すると一層力を持つ。つむぎの心の影は消え、クレープ作りは楽しく続いた。

完成したクレープを食べながら、文化祭のメニュー作りについて、小鳥はつむぎに語りかける。
「私が好きなことをして、みんなが喜んでくれたら、それはすごく嬉しいなって」
「いいなぁ……。つむぎの好きなことは友達、喜んでくれない……」と俯くつむぎに、公平は手作りのガリガリさんの衣裳を見せる。
「お父さんは、つむぎがやりたいって気持ちを大事にしたいからね」
と励ます公平。

「あのね、誰かが悪いことをしたわけじゃなくても、うまくいかないこともあるんだ。ハナちゃんにわかってもらうの、お父さんと一緒にもうちょっと頑張ってみようよ」

翌日、完成したモフモフのガリガリさんコスチュームをハナの前で披露するつむぎ。公平手作りのコスチュームはクラスで大受けし、ハナの気持ちも和らいだ。その結果、おゆうぎ会でガリガリさん役が3人に増殖していた。

人間関係は難しい。それは幼稚園の頃から変わらない。でも、イヤなことがあったとしても、自分ができることを粛々とやっていくしかない。ウチの娘は朝の挨拶をしても友達に無視されることが多かったが、筆者も一緒にしつこくやっていたら、だんだん返事がかえってくるようになってきた。
公平の手作りの料理がつむぎの心を和らげてきたように、手間を惜しまない行動が誰かの心を開かせることがある(無駄に終わることもあるけど)。
そんな大切なことを公平は行動を通じて娘に伝えたのだろう。小鳥と八木のフォローも良かった。子育てを一人でやるのは難しい。泣ける! というわけではないが、しみじみと良い回だった。

さて本日放送の第12話は「あいじょーたっぷりお好み焼き」。なんと最終回! もっと、ずーっと見ていたいなぁ。
(大山くまお)