余計なことはしない、言わない向井理「とと姉ちゃん」144話

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連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第24週「常子、小さな幸せを大事にする」第144回 9月17日(土)放送より。 
脚本:西田征史 演出:大原拓


「ドラマもあと2週間ですが、今朝はまずとと姉ちゃんと花山さんに叱り飛ばして欲しいニュースです」と「週刊ニュース深読み」(土曜8時15分〜)までが朝ドラ受け。その気持ちもわからなくもない。ドラマで偽装問題が描かれているとき、ちょうど豊洲で偽装が発覚して大変なことになっていたのだから。さらに、この週、ドラマでは「あなたの暮し」に新聞社が異議を唱えていたところ、現実でも「とと姉ちゃんに意義あり!」という記事が週刊誌に掲載されていた。

虚構と現実が交錯する奇妙な一週間のおわりは、10年以上ぶりに顔を見せた叔父さん・鉄郎が締めた。
新潟で結婚し米をつくる生活をおくり始めた鉄郎は、商品テストの記事の載った新聞で常子たちのことを知って尋ねてきたらしい。

鞠子(相楽樹)は新潟に結婚式の案内を送ったが、読んでなかったらしい。それどころじゃない状況だったとしてもハガキくらい読むのでは。そして案内を出す以前に、出した雑誌くらい送っても良いのでは。そんな疑問も、風来坊の鉄郎だから、で許されてしまうのかなあといまひとつ釈然としないものの、あと2週間だし、精神衛生上よくないので、いいことだけ考えていきたい。

144回で良かったのは、鉄郎と常子(高畑充希)が話すところ。
美子(杉咲花)と鞠子が結婚すると聞いてお祝いする鉄郎だが、常子に「おまえは?」といっさい聞かない。鉄郎は、自分が苦労してきたこともあまり話さず、いつも飄々としている性分だから、デリカシーってものをちゃんともっているのだろう。鉄郎自身が人に聞かれたくないことばっかりしているからというのもあるが、小橋家は妹たちがずけずけいろんなことを口に出し過ぎなのだ(モチーフになった姉妹がどうだったかはここでは考えません)。

「まあ うまくいったら いったで 大変か」と事業の成功の裏にある苦労への洞察力もある鉄郎。この10年以上の常子の苦労を黙ってすべてを飲み込んで、しみじみと人生の大変さについて語り「あばよ」ととっとと帰っていく。「おう またな」と笑顔で手を振るカットに「その数ヶ月後、鉄郎は畑仕事の最中に脚を滑らせて亡くなりました」とかなんとかいう檀ふみのナレーションが入るんじゃないかとビクビクさせられるサービスつきで。

向井理は、50歳を過ぎた初老の男にはまったく見えなかったが、手渡された「スタアの装い」2号をめくりたい気持ちを抑えているのが画面から伝わってきた。表紙だけで中身はたぶん白身で、めくるとそれがわかってしまうので止めたのだと思う。できる限りのことをやった俳優・向井理に拍手をおくりたい。
できれば、朝ドラヒロイン経験者である妻・国仲涼子(「ちゅらさん」)と出て来てくれたら話題沸騰だっただろうが、そこまでのサービスは無理だったか。

いよいよあと2週! 145週はかか(木村多江)週!
(木俣冬)