敏腕販売員が明かす、「超富裕層」を顧客にする方法

写真拡大

超富裕層は世界の人口のわずか0.000029%。しかし、調査会社ウェルス・エックス(Wealth-X)によれば、彼らが年間に時計や宝石類、車、ファッション、アクセサリー、プライベートジェットや旅行に費やす金額は2,300億ドル(約23兆5,400億円)と、高級品の総売上高の約20%を占めている。

では、超富裕層はどこにいるのか? どうやったら彼らに近づくことができるのか? どうやって彼ら相手に商売をし、その後もリピーターにさせるのか?

このほど発売された書籍「Secrets of Selling to the Super Rich: Superstars of Luxury(超富裕層に売り込む秘訣:高級品販売のスーパースター)」は、超富裕層の顧客を持つことで生計を立てているトップ販売員(スーパースター)たちにインタビューを行い、この問題の解明に挑んでいる。

同著は、私たちが抱いている数多くの誤解を正している。例えば、スーパースターの多くは、広告を重要視している。超富裕層もその他の人々と同様にマーケティングに注意を向けているからだ。

また、高級ブランドは慈善事業と連携することが多いが、超富裕層の消費者は既に自分で慈善団体を所有している。彼らはブランドと関連付けられたプロジェクトよりも、自分が選んだ慈善事業に対して支援を提供してもらう方にずっと関心がある。

「超富裕層は均一の市場ではない。実際、かなりの超富裕層が一代で富を築いた人物で、その手段もありふれたビジネスであることが多い。例えば、車のディーラーシップや農業、製造、流通、医療、エネルギー、法律、不動産などだ」と、共著者のダグ・ゴランは言う。

彼はプライベートジェット専門誌「エリート・トラベラー」を立ち上げ、その後売却。現在はプライベートジェットのオーナー向けに週に1度、旅行とライフスタイルに関するニュースレター(電子版)を発行している。

ソーシャルメディア経由で超富裕層に営業をかけることも可能だ。旅行業者のステーシー・スモールは世界各地を旅行し、一流のスイートルームやビラを視察。その写真を、自分のインスタグラムやフェイスブックに投稿している。顧客はそれを見て、気に入ったものがあれば彼女に予約を依頼するインスタント・メッセージを送る。その簡単なやりとりで数十万ドルが動くことも少なくない。

大手高級ブランドはより多くのカテゴリーで、より多彩な製品を販売するようになっているが、超富裕層はこうした新商品にどこまで詳しいのだろうか。時計・宝石業界のベテラン販売員であるジョン・オマーは、超富裕層の顧客は、高級品を身に着けることで他人に自らの立場を誇示する必要を感じることがないまま、巨額の富を築いた人が多いと指摘する。

そのためヨーロッパのブランド名が発音できないこともあり、言うまでもなくブランドの歴史や彼らが何を売っているのかを知らない人もいるという。それでも適切なアプローチと、彼らが何を望んでいるかを読み解く才覚によって、オマーをはじめとするスーパースターたちは、超富裕層に何億ドル相当もの高級品やサービスを販売してきた。

マーケティング担当上級副社長の経験もある共著者のマイケル・コールマンは、こう言う。「大手企業の経営幹部レベルにいると、こうした直接的なフィードバックを得ることは難しい。この新著は、超富裕層の財布の紐をもっと緩めたいマーケティング担当者や販売員のための手引書だ」