「盆栽の楽しみ方は4つあります」女性盆栽家に“上手く育てるコツ”を聞いてみた

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美しき盆栽家・真柄 弥沙(まがら みさ)さんが開催している“モダン盆栽”や“苔玉”の教室は、初心者でも楽しんで始められると話題を呼んでいる。

世界に誇る日本文化の一つ

奥が深く難しそうな盆栽の世界。世界に誇る日本の文化の一つとして「BONSAI」という言葉も定着し、最近は盆栽にハマっている外国の方々が急増しているという。

小さい鉢の中にもかかわらず本物の木がそのままミニチュアになったような姿は、身近に自然を感じられて癒やし効果抜群だ。

「興味はあるのだけれども、気楽にチャレンジするには難しそうで…」と思っている方もいることだろう。

そこで、“BONSAI 盆凡。”の代表および(公社)日本小品盆栽協会の認定講師としても活躍中の彼女に、盆栽を始めたキッカケや初心者でも盆栽を楽しめるコツなどに関して伺った。

「なんでこんな形に?!」と不思議に

――盆栽を始めたキッカケは?

盆栽を始めたのは、単純に「お洒落だな」と思ったのがキッカケでした。

そして、元々自然や木が好きなのと、和の小物が好きだったのも影響しているのかもしれません。

私は10代の頃より盆栽を趣味で行っていましたが、父や祖父が盆栽をしていたことはありません。

近所のおじさんが作っているのは見ていて「なんでこんな形になるんだ?!」と不思議に思っていました。

知人の建築デザイナーから

――盆栽家として活動を始めたのはいつからですか?

そんなこんなで趣味として独学で盆栽をしていたのですが、知人の建築デザイナーの方から「デザインする店舗に盆栽を置きたい」という依頼を受け、お仕事をさせていただくことになりました。

しかし、仕事にするにはあまりにも自己流すぎるかと思ったので、大阪にある盆栽園“養庄園”にてご教授いただきました。それから、そのまま修行させていただくことになったのが始まりです。

小さな鉢の中で感じる“季節”を

――真柄さんにとって盆栽の魅力とは?

盆栽の魅力ですが、実はまだ私にも“わかりきってはいないのではないか”と思います(笑)。

様々な方から「深い、高尚な趣味だ」とよく言っていただくのですが、その意味が少しわかってきたといいますか…。本当に深いなと感じています。

盆栽の魅力を簡単にいうと、やはり小さな鉢の中で季節を感じることができることだと思います。

私は観葉植物も好きなのですが、観葉植物では季節を感じることまではできません。そして、盆栽は他のサボテンや観葉植物などと違い、とても手がかかります。

Misa Magara/YouTube

Misa Magara/YouTube

世話をするのが大変な分、愛情が湧くというか。植物のカテゴリーというよりもペットの感覚に近いかもしれません。

また、小さな鉢の中に樹齢何十年という歴史を見ることができます。小さいながらも、その辺の大木よりも樹齢は上だったりすることもあります。

語ると長くなってしまいそうなのですが、盆栽の世界は本当に深いですね。楽しみ方もたくさんあることが魅力だと思います。

盆栽の楽しみ方は4つある

――盆栽は育てるのが難しいイメージがあります。初心者でも扱いやすく育てやすい盆栽はありますか?

扱いやすく、育てやすい木といいますと、病害虫に強く丈夫な木ということになります。

木にも特徴があり、水切れに弱い木・切り込みに強い木・病気になりやすい木・放っておくと大変なこと(ボーボーになってしまい、手がつけられなくなる)になる木など様々です。

Misa Magara/YouTube

Misa Magara/YouTube

そして、盆栽には大きく分けて、楽しみ方が4つあるといわれています。

松や杜松系など“風格を楽しむ”木・桜や藤など“花を楽しむ”木・柿やリンゴなど“実を楽しむ”木・紅葉、楓など“四季を楽しむ”木ですね。

大事なのは、自分が興味を持った木から始めること。そうすると、やる気も出るので良いと思います。

しかし、風格を楽しむ木のカテゴリー・松などはとても手がかかります。

芽摘みや針金掛けなどの作業をしないと、木の形がどんどん変わっていってしまって、だだのボーボーした木になってしまったりします。

特に黒松なんかは手がかかり“マメに作業をされる方”には適していると思いますが、難易度は高めといえます。

花を楽しむ木のカテゴリー・桜などは、盆栽でもたくさん種類がありますし、丈夫な“旭山桜”という品種は比較的育てやすいですね。

実を楽しむ盆栽ですとその木だけで単体で実をつけるものと、雌木と雄木がないと実ができなかったり、落ちてしまったりするものもあります。

単体で実をつけるものでしたら簡単に花も実も鑑賞できて、とても楽しめるかなと思います。

四季を楽しむ木というのは、紅葉をする木のことをいう場合が多いのですが、紅葉などがそうですね。たくさんの種類があるので様々な種類の紅葉を集める方もいます。

BONSAI 盆凡。

BONSAI 盆凡。

また、浅い鉢や小さい鉢に入っているものは、水が切れやすいので水やりの頻度をこまめにしないといけないなどもあります。

なので一概に簡単な盆栽とはいいにくいのですが、桜(旭山桜)や紅葉なんかは比較的病害虫にも強く、手入れもそれほど大変でなく、育てやすいといえます。

紅葉は落葉樹なのですが、夏の暑い日に水切れを起こしてしまい、「枯れてしまった!」と思われていた木でも“よく見たら”新しい芽が生えていたり…。生命力もとても強いですね。

そして、盆栽界では『水やり三年苔張り十年』といわれる言葉があります。

何よりも大切なのは水やりです。「たかが水やり、されど水やり」なのですが、まずは水をきちんとあげること。それがいちばん大事です。

つまり水さえあげられれば、基本的には誰でも始められる趣味だと思います。

観葉植物は室内で盆栽は外で

――観葉植物と盆栽の違いを教えてください。また、盆栽を育てる上で、特に気をつけることや難しい点は?

観葉植物との違いですが、簡単にいうと“観葉植物は室内”で育てる、“盆栽は外”で育てるというところですね。観葉植物は比較的日光が少なくても元気なことが多いです。

また観葉植物は生命力が大変強いので、多少水切れを起こしても葉っぱが数枚落ちるだけだったりと被害が少ないです。

それから、枝を切ってから伸びるのも早いですね。しかし、寒さには弱いので冬場に外へ出すと枯れてしまいます。

BONSAI 盆凡。

BONSAI 盆凡。

基本的に盆栽は外で育てます。外が好きで、日光だけでなく風通りが悪いと病気になったりもしやすいです。

水やりのタイミングも観葉植物よりは頻繁になります。表面が乾いたら水やりの目安ですね。中の土まで乾いてしまったら、その時点で木が弱ってしまいます。

室内に飾ることもありますが、花や実の時期に鑑賞したり、お客様がいらっしゃるときに床の間に出したりの程度です。

長くても3日も室内に入れていれば少し元気が無くなってくるので、外に出してあげる必要があります。

Misa Magara

Misa Magara

あとは剪定(せんてい)といって、木を切る作業のときですね。

観葉植物は剪定をするといっても、大きさを小さくしたりすることが多いですが、盆栽は剪定というと樹形を考えて切ります。

そこで初めての方は、剪定の仕方などもわからないと思います。より良い木にするために剪定するので、木を切るということでも観葉植物とは少し意味が違ってきますね。

モダン盆栽は自由で気軽に始められる

――“モダン盆栽”と“苔玉”では、手軽に始められるのは?

どちらも気軽に始められますよ。これはお好みで良いかと思います。

BONSAI 盆凡。

BONSAI 盆凡。

――“モダン盆栽”と通常の盆栽と違う部分を教えてください。上手に作るコツは?

モダン盆栽というカテゴリーが特にあるわけではないのですが、気軽にできるおしゃれな盆栽をモダン盆栽と呼んでいるような気がします。

通常の盆栽は敷居が高いイメージがあるといいますか、少しとっつきにくいイメージがまだまだあると思います。

「俺、盆栽やってるぜ!」っていうには、それなりの技術が必要なのではないかというイメージがあるようです。そんなことはないんですけれど…。

モダン盆栽はもっと自由なもので、桜・バラ・柿・リンゴなど可愛くておしゃれな木が、3,000円から1万円以内の比較的リーズナブルな値段であります。

盆栽とは高いイメージがあるかもしれませんが、3,000円とかでも手に入れることができます。それこそ安価なものでは500円とかでもありますよ。

そこは値段の分、樹齢が若かったりしますね。

Misa Magara

Misa Magara

風格が出るまではいかないけど、そういう“ザ・盆栽”というものより、手が出しやすくて気軽に始められるものがモダン盆栽というイメージです。

また、盆栽の枠にとらわれずに洋鉢に入れてみたり…。デザイン性が高かいものもあり、自由な盆栽の若手という感じですね。

BONSAI 盆凡。

BONSAI 盆凡。

盆栽の作業的には、樹種(樹木の種類)によりお手入れは同じなります。ただそれほど大きくない盆栽の方がお手入れは楽ですね。単純に面積の関係ですけども…。

上手に作るコツはやはり愛情がいちばん大事だと思います。

水やりをかかさないこと。あとは綺麗な樹形にしたい場合は、剪定や針金掛け・葉刈り・植え替えなどいろんな作業があります。

Misa Magara

Misa Magara

しかし、初めは「どういう作業をしたらいいのか、わからない」と思います。そういう方で教室を受講される方も多いですね。

やはりどこかで習うのがいちばんですが、とりあえずどうしたらいいのかわからない方は、私に連絡いただければできる範囲でお答えさせていただきますので、お気軽にご連絡くださればと思います。

いちばんのコツは愛情を込めて

――おしゃれな“苔玉”を作るコツは?

おしゃれな苔玉を作るためには、例えば“寄せ植え”といって、2から3種類の木を一緒に植えることもできます。

それから、苔玉の玉の部分と木の部分のバランスが悪いと、見た目が微妙になってしまいますね。

最後に巻く苔が意外と大きくなるので、それを計算して小さめの玉を作ってから苔を巻くとバランスが良いです。

しかし、どこの教室でも参加している皆さんは、自分が作った盆栽や苔玉が「いちばん可愛い!」とおっしゃって帰って行かれるので、自分で愛情を込めて作ることが“いちばん素敵なものができる秘訣”だと思います。

植え替えをしなくても楽しめる

――苔玉を長く楽しむために注意することは?

長く楽しむためには、水やりをかかさないことが第一です。

苔玉は盆栽と違って植え替え作業が必要ありません。なぜかというと、伸びすぎた根が勝手に切れてくれるからです。

盆栽の場合は、鉢が数年経ったら根っこがびっしりになってしまい、水はけが悪くなったりして植え替え作業が必要になります。そのため、木にもよりますが大体2から3年毎に植え替えを行います。

そういう訳なので、苔玉は植え替え作業をしなくても長く楽しめることができます。

参加者は老若男女から外国の方まで

――盆栽教室について教えてください。

毎月、第2日曜日に、神奈川県・横浜で盆栽教室を定期的に開催しております。

それ以外には、出張教室の依頼を受けて様々な場所でも開催しています。大体、参加者が5名以上であれば、ご希望の場所で教室を行うことも可能です。

教室の流れとしては約2時間程度で1つの盆栽を作成してもらい、育て方やお手入れのポイントなどを講習しています。そして、ご自分で制作した盆栽は持って帰っていただけます。

また、教室は依頼を受けて開催することが多く内容も様々ですので、参加費は一概にいえません。

大体、講師料・材料費込みで4,000円から5,000円程度(各1人分)となることが多いですが、教室の内容によりましては、1,500円から行っております。

出張教室も行っておりますので、価格や内容などお気軽にご相談頂ければと思います。

それから、講習会には様々な方々が参加されております。若い方からご年配の方まで、女性も男性も日本人以外に外国の方々もいらっしゃいます。

BONSAI 盆凡。

BONSAI 盆凡。

最近の傾向としては、若い女性の方が増えてきました。親子連れの方もいらっしゃいますね。

未だに覚えている松と苔の匂い

――今まで作成した盆栽作品の中でいちばん思い出深い作品を教えてください。

いちばん最初に盆栽らしい盆栽になった、『松の助』くんですね。

黒松の盆栽でしたが、写真はさすがに無いなと思っていました。しかし、昔のSNSに載せていたので「まさか!」と思い、探したらありました(笑)。

Misa Magara

Misa Magara

未だに匂いを覚えています。松の匂い、苔の匂い…。

今は苔も業者さんから買っていますが、この頃は自己流に趣味でやっていましたので、庭から苔を剥いできました。懐かしいです。

気軽に盆栽に触れてもらう機会を

――展示会の予定や作成している作品のことなど、今後の活動に関して教えてください。

私が作ったというか手持ちにある盆栽を、能楽師大蔵流狂言方の大蔵 基誠さんの“狂言ラウンジ”にて出店させていただいております。

日本の文化と共に、気軽に盆栽に触れていただけける機会となっております。

次回の狂言ラウンジは、10月21日19時から東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂にて行われます。よろしかったら皆さん、覗きに来てください。ちなみに狂言、めっちゃ面白いですよ。

Misa Magara

Misa Magara

盆栽などの価格帯は500円から数万円のものまで展示しておりますが、3,000円から4,000円程度のものが多く、また売れ筋ですね。

小さな鉢の中に季節と歴史を

小さな鉢の中に季節と歴史を見ることができる盆栽にとって、いちばん大事なのは“まずは水をきちんとあげること”。

手軽に始められる木の種類から盆栽の様々な楽しみ方を、丁寧にわかりやすく教えてくれた真柄さん。

Misa Magara

Misa Magara

現在、彼女は盆栽のネットショッピングサイトを開設予定だという。また、定期的に開催している盆栽教室だが、完全予約制でこちらから申し込むことができる。

真柄さんの作品や盆栽教室が気になる方はぜひInstagramをフォローしてみてはいかがだろうか。

「盆栽はなぜ大きくならない?」ことを盆栽家・真柄さんが教えてくれる動画はこちらから▼