暑い夏も終わりに近づいてきました。空気がひんやりとし始めた9月。夏の終わりを感じると、なんだか切ない気持ちになりますね。今回は、過ぎゆく夏にぴったりな青春映画を紹介します。

監督のミシェル・ゴンドリーってどんな人?

フランスの映画監督、ミシェル・ゴンドリーが手がけた『グッバイ,サマー』は2人の少年の旅を描いた作品。ミシェル・ゴンドリーは、もともと映像作家で、ビョークや、ケミカル・ブラザーズ、ザ・ローリング・ストーンズ、レディオヘッド、ダフト・パンクなど、名だたるアーティストのPVを製作。

2001年には『ヒューマン・ネイチャー』で監督デビュー。その後、ジム・キャリー主演の『エターナル・サンシャイン』でアカデミー賞脚本賞を受賞。その後もガエル・ガルシア・ベルナル主演の『恋愛睡眠のすすめ』や、オドレイ・トトゥ出演の『ムード・インディゴ うたかたの日々』などの長編映画も手がけました。

ゴンドリーは、CGやSFXを多用するタイプではなく、ハンドメイド感あふれるセットや、独特の色使いを駆使した空想的な世界を作り出すのを得意としています。

思春期ならではの反発と葛藤が懐かしい!

『グッバイ、サマー』 監督:ミシェル・ゴンドリー 出演:アンジュ・ダルジャン、テオフィル・バケ、オドレイ・トトゥ 絶賛公開中 (C) Partizan Films- Studiocanal 2015

『グッバイ,サマー』は、フランスの郊外・ヴェルサイユに暮らすダニエルとテオという14歳の少年が夏休みに自作の移動小屋(クルマ)で旅に出るというロードムービー。

左がダニエル、右がテオ。テオの革ジャンが、マイケル・ジャクソン風。(C) Partizan Films- Studiocanal 2015

細身で幼い顔、長い髪のダニエルは絵の上手な男の子。片思いのローラには見向きもされず、友達からは背の低さから「ミクロ」と呼ばれています。確かに「あれ、本当は女の子なのかな」と一瞬疑うほど、ダニエルは可愛い!

転校生のテオは、廃材を集めて自転車を改造する独創的な男の子。ガソリンの臭いが染み付いているので学校では「ガソリン」と呼ばれます。ダニエルは親との関係がうまくいかず、創造と空想で辛さをカバーしています。

テオはダニエルの絵の才能を讃え、ダニエルはテオの決断力と優しさに何度も救われます。そんなふたりは、あっという間に親友となり、夏休み最後の思い出に旅へでることを決意します。

秘密基地を作ったワクワク感、覚えてますか?

ふたりは廃材を集めて、エンジンを修理し、手作りのクルマを作ります。数々の作品でハンドメイドの楽しさを披露してきたゴンドリー。本作でも、クルマが出来上がるまでのシーンはワクワクすること必須!

(C) Partizan Films- Studiocanal 2015

そして、実際にできたクルマは、なんとタイヤのついた小屋なんです。 窓にカーテンをつけ、花を飾り、ベッドを作り、棚には缶詰を並べるといった手の込みよう。まるで秘密基地のようなクルマは、細部までこだわりを持つゴンドリーらしさが溢れています。

(C) Partizan Films- Studiocanal 2015

ふたりは、ダニエルの片思いの相手、ローラがバカンスで訪れている湖を目指して走ります。道中さまざまなハプニングがありますが、知恵と運で何とか乗り越えていくダニエルとテオ。旅の途中は大笑いするシーンの連発! これは今までのゴンドリー作品にはない楽しさなので、ゴンドリーファンは新たな発見ができるはず。

キラキラと輝く14歳の思い出は生涯の記憶に

ゴンドリーは「この映画は100%僕の思い出からできている。僕が体験したことを元に冒険したかったんだ」と語っているように、本作は監督の自伝的青春映画です。

この映画と同じように、子供だけの冒険を体験した人もいるでしょうし、できなかったけど憧れていたという人もいることでしょう。この映画は、子供時代だからこそ味わえる、ドキドキをスクリーンで、もう一度感じさせてくれます。

(C) Partizan Films- Studiocanal 2015

さらに、思春期ならではの「自己探求」の葛藤に懐かしさを覚えるはず。14歳のときは大人になることに対して、期待や不安を抱いていたけれど、実際に大人になってみたら、あの時の悩みは何だったんだろう、と思ったこと、ありますよね? 

『グッバイ,サマー』は、大人と子どもの境目を行ったり来たりする少年たちの姿を借りて、私たちに思春期の悩みやキラキラと輝いた宝石のような思い出を再び見せてくれます。

夏は終わっても、思い出は永遠に。自身の青春を思い出しながら、今一度、10代のワクワク、体験してみましょう。

ちなみに、出演のアンジュ・ダルジャンは、オーディションでダニエル役を獲得し、映画デビューを果たしました。テオ役のテオフィル・バケも、本作が本格的な映画デビューとなったそう。初々しいふたりの今後の活躍に期待しましょう!

まとめ 大人になっても、子どもの気持ちは忘れずに。