日本では少子高齢化が進行。中国、韓国など東アジア諸国でも高齢化が進む。人口減少社会、低成長時代にはツケを後世に残す政策がとられがちだ。日本で「2025年問題」が懸念され、中国、韓国も同じ悩みを抱えている。写真は「敬老会」でのコンサート風景(千葉市)。

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今日は敬老の日、日本全国で様々なイベントが開催されている。日本では少子高齢化が進行。中国、韓国など東アジア諸国でも高齢化が進む。人口減少社会、低成長時代にはツケを後世に残す政策がとられがちだ。日本で「2025年問題」が懸念され、中国、韓国でも同じ悩みを抱えている。

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日本は、平均寿命、高齢者数、高齢化のスピードの3点において、世界一の高齢化社会といえる。65歳以上の人口は約3500万人となり、総人口に占める割合は3割近い水準。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によると、現在の1億2000万人台の総人口が、2060年には約8700万人に減少する。このとき、0〜14歳、15〜64歳、65歳以上の人口比率はおよそ1対5対4になっているという。高齢化の原因は、出生数が減り、一方で、平均寿命が延びて高齢者が増えているためである。

◆将来世代にツケ回し!

安倍政権の経済政策・アベノミクスは「異次元の金融緩和で円安株高に導き、消費や投資を刺激、財政支出による需要拡大」を推進する政策。規制緩和や支出抑制、増税などを先送りする「先楽後憂」政策といえるが、高度成長時代ならいざしらず、人口減少社会、低成長時代にはツケが後世に回され、将来を危うくする。

日本の累積債務残高は約1050兆円とGDPの2倍以上に膨らんでいる。潜在成長率のアップや徹底した歳出削減、増税で解消するのが真っ当な対策だが、消費増税の先送りと経済成長の低迷により政策経費を税収などでどれだけ賄えるかを示すプライマリーバランス(基礎的財政収支)を20年度に黒字化する「財政健全化」目標の実現は絶望的。円高や企業収益の悪化で税収はさらに落ち込む懸念もある。楽観的なシナリオに頼り、不人気な税・財政改革を怠っていては、財政はさらに悪化してしまう。

深刻な事態に直面しそうなのは2020年度以降。予定されている19年10月の消費税引き上げと、20年8月の東京五輪が日本経済に大きな影響を与える。

消費増税前の「駆け込み」と「五輪景気」の2つの特需の反動減に直面する恐れがある。25年度にはいわゆる「団塊の世代」が75歳以上となり医療や介護の支出が膨らむ。政府与党が志向する「成長と分配の好循環」が「停滞と負担の悪循環」に陥らないよう、今から備える必要がある。

少子高齢化は、多く国で共通の悩み。中国や韓国も同様だ。国連統計によると、中国の生産年齢人口(15〜59歳)は、2015年頃にピークを迎え(68%)、2020年頃から急激に減少。2050年には50%まで縮小する見通し。人口は2030年頃の14億6000万人がピークとなり、2100年には10億人にまで減少すると予測されている。中国政府は一人っ子政策の緩和により出生数の回復が見込めると期待するが、急激な回復は難しいとの見方が有力だ。

韓国も少子高齢化が進み、同様の問題に直面している。同国の総人口に占める40歳以下の人口の割合は、1995年は69%だったが2015年には48%にまで低下。2050年には32%まで落ち込む予測されている。これは寿命が伸びているだけでなく、新生児の出生率が減少傾向にあることとも関係している。総人口に占める65歳以上の人口の割合は現在7%だが、2026年には20%にまで上昇すると予測されている。

◆「高齢者を75歳以上」とする提案も

日本の場合は退職後も多くの人が何らかの仕事に就くケースが多く、「積極的な消費者」として経済成長に貢献することができる。韓国の場合、39%の世帯で老後の生活を支える収入源がほとんどない状態。老後の収入源がある場合でも77%の世帯で国民年金だけに頼る状況で、このままでは「積極的な消費者」として経済成長に貢献することは困難。このため高齢世代の社会参加が最優先課題となっている。

日本では「一億総活躍社会」づくりを目指す中で、高齢世代を労働力として活用する計画が進行している。「平均寿命が80歳代半ばから90歳に伸びる時代、高齢者の定義を見直し、75歳以上とすれば日本の未来はもっと明るいものになる」(エコノミスト)と見る識者は多い。定年制度が普及した1950年代の日本人男性の平均寿命は60歳代半ば。100歳以上人口が6万5000人を突破し、さらに増え続けている。内閣府幹部は「健康寿命が大幅に伸びた現在、人手不足の中、働く意欲のある健康な高齢者の活用が急務」と訴えている。(八牧浩行)