VR技術にみる、ぼくらの愛と性の行方:東京ゲームショウ2016ギャラリー

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テクノロジーの発展と人々の欲望は深く関係している。もちろん、VR技術も例外ではない。東京ゲームショウ2016でも、ぼくらの欲望がいくつかのゲームによって実現されている。VR技術はぼくらの愛や性をどこへ運んでいくのだろうか。

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2/6OKKOブースの『誘惑オフィスLOVER2』。ブースの一角に、オフィスセットがつくられている。PHOTOGRAPH BY JUNICHI HIGASHIYAMA

3/6芸者東京エンターテインメントブースの『パズルオブエンパイア』。ヴィニールプールに入った男性が、美少女武将と「混浴」している。PHOTOGRAPH BY JUNICHI HIGASHIYAMA

4/6エムツーブースのE-moteによるプレゼンテーション。マネキンを触っているように見えるが、2Dのキャラクターに触っているのだ。PHOTOGRAPH BY JUNICHI HIGASHIYAMA

5/6ボルテージブースの『天下統一恋の乱』。武将に扮した男性が来場者を襖の奥へと誘う。PHOTOGRAPH BY JUNICHI HIGASHIYAMA

6/6ボルテージブース。「椅子ドンVR」コーナーは目隠しされており何が起きてるか外から知ることはできない。PHOTOGRAPH BY JUNICHI HIGASHIYAMA

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ブースの一角に置かれたオフィス風のデスクとチェア。そこには女性が座っている。スーツに身を包んだハンサムな男性が後ろから近づいてきて、なにか話し始めたかと思えば、グッと背もたれを倒しぶつかりそうな距離まで顔を近づける。そしてなにかを囁いている。女性は嬉しそうに笑ったり、恥ずかしそうに手のひらで顔を隠したり、思わず声をあげていたりしているが、いずれにせよ幸せそうな表情を浮かべている──。

なんのことやらサッパリわからないかもしれないが、これは「東京ゲームショウ2016」で体験できた「ショウ」のひとつだ。OKKO『誘惑オフィスLOVER2』のブースでは前述のようなロマンティックな体験を味わえる。顎をクイッと持ち上げられる「顎クイ」までしてもらえることもあるという。

もちろん、2014年の東京ゲームショウでの「壁ドン」企画で一世を風靡したボルテージも複数のブースを構えていた。今年は「椅子ドンVR」、「壁ドン」、「夜伽」とよりどりみどりだ。「夜伽」を体験する女性は武将に扮した男性に導かれ、襖の向こうへと消えていく。外から見ている来場者には中でなにが起きているのか全くわからないというわけだ。これは、VRを体験している人を傍で見ていても、その人にいまどんな景色が見えているかわからないのと同じようなものかもしれない。

「壁ドン」的なアトラクションが女性の欲望を現実化している一方で、男性の欲望を現実化したアトラクションも存在する。たとえば、エムツーブースの展示は2DのキャラクターをE-moteというツールで立体化し、VRに組み込んだものだ。ヘッドマウントディスプレイを被った男性が、目の前にある洋服を着たマネキンを撫でたり掴んだりしている。端から見るとマネキンを触っているようにしか見えないが、彼には2Dのキャラクターを実際に触っているように感じられているのだ。

芸者東京エンターテインメントのブースでは『パズルオブエンパイア』のアトラクションとしてVRによる「混浴」を楽しむことができる。ヘッドマウントディスプレイを被って水のないビニールプールに入る。ゆっくりと目を開くと、ゲームに登場する美少女武将が目の前でお風呂に入っていて、もちろん自分も気がついたら同じ浴槽の中にいるというわけだ。

「椅子ドン」も「混浴」も、それが2Dのキャラであれ3Dのモデルであれ、人によっては顔を顰めるようなものかもしれない。一方で、人々の欲望がテクノロジーの発展やプラットフォームの整備を加速させてきたことも事実だ。『WIRED』VOL.21でも「オキュラス・ポルノ」を扱ったが、とりわけVR技術は欲望と結びつきやすいものでもある。

どう進化するにせよ、VR技術の根っこにぼくらの欲望が絡みついているのは確かだ。着実に技術は進化していくだろう。さしあたり、いまのぼくらにできるのは、現場へと足を運び、自らの欲望の在り処を確認することくらいなのかもしれない。

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