幼少期に十分な睡眠をとらないでいると、肥満のリスクが高まるという研究結果は、以前から問題視されてきたこと。けれど夜更かしを自業自得、とただ本人のせいにして片付けてしまう訳にもいかない。

なぜなら日本は、世界屈指のショートスリーパー大国だから。このままでは日本のティーンエイジャーたちがメタボに苦しむ時代が来てしまう?

 幼年期の夜更かしは、
肥満のリスク増

国立小児保健発育研究所(NICHID)による今回の発表は、そのリスクが2倍にのぼるという内容。研究チームは977人の子どもたちに対して、幼年(4歳半)から青年期(15歳)まで約10年間の健康状態を追跡調査し、身長、体重、肥満度を表す体格指数(BMI)、そして就寝時間を比較した。

すると、20時までに就寝していた就学前の子どもたちが10代で肥満となっていた割合は、全体の約10%ほどだったのに対し、21時以降に就寝していた児童の場合、その数値は約23%にまで上昇していたことが判明。他の健康上の懸念から肥満へのリスクを差し引いても、数値に大きな違いは生じなかったという。

このことから、就学前(幼少期)の段階で就寝時間をたっぷりとっていた子どもほど、肥満になるリスクが夜更かし傾向にある子どもたちより少ない。との見解をオハイオ州立大学疫学研究のSarah Anderson准教授は「CNN」の取材に対し示している。

 睡眠不足がなぜ
肥満と直結するのか?

ここにはいくつかの原因が考えられる。たとえば、睡眠不足が引き金となり、食欲を抑制するホルモンの分泌が減少。さらには基礎代謝が低下することでエネルギーの消費量が落ち込むことも、肥満の要因に紐付いてくるはずだ。

ところで、これは決してアメリカに限った話ではない。ともすると深刻なのは日本の子どもたちの方ではないか。実を言えば日本は世界屈指のショートスリーパー大国。ミシガン大学による調査では、世界100カ国の平均睡眠時間を比較したところ、(7時間24分)で最下位という不名誉な結果に。

その余波(というよりこれも一つの文化?)は、幼年・青年期の子どもたちにも大きな影響を与えていた。

子どもの生活時間の夜型化

文科省の学校保健統計調査にこんな数字がある。1970年当時、12歳児の肥満頻度は約3%ほど。それから30年後の2000年、40代に突入した彼らの肥満傾向は、じつにその6倍強にまで増加していたという。

専門家たちは、その理由のひとつに「幼児の夜更かし問題」を挙げている。同じく厚労省が発表する10年ごとの乳幼児生活・身体発育調査でも明らかになってきたことだが、就寝時間が22時以降になる子どもが年々増加傾向。今や宵っ張りの小学生だって少なくない時代だ。

ところが起床時間に大きな変化はないため、結局は寝不足で食欲のないまま朝、1日がスタートする。脂肪がうまく使えないままだと、脳にエネルギーを十分におくれず、精神不安定な状態、注意力も散漫になるというように、身体のみならず心のバランスまで崩壊するいっぽう。

共働き世帯の増加、習いごとや塾通い、核家族化、子どもを取り巻く環境も自分たちが小さいころとはだいぶ変わってきた印象を受ける。インターネットの発達も彼らの睡眠時間を奪うファクターだろう。

「早寝早起き」を習慣づけ、標語になっていた時代とは違う。けれど大切なのは睡眠時間。もしかしたら、小学校の始業時間だって今後、見直しの対象となっていくのかもしれない。

Reference:CNN,Science Advances,厚生労働省