ドイツのマルクス・レームが走幅跳8メートル21センチ(※五輪5位相当)の大ジャンプでパラリンピックの枠を跳び越えた件。
「バネかー」って思うのは、あとからでいい!

熱戦続くリオパラリンピック。大会終盤にきて、今大会最大の注目選手が登場しました。男子走り幅跳びT43/44(切断・機能)クラス、マルクス・レーム。右足のヒザから下を失い、義足でありながら、その自己ベストは8メートル40センチ。自己ベストを出せば五輪でも金メダルが狙えるという「超人」です。

ただ、あまりにも跳びすぎることが議論を呼び、義足が有利に働いているのではないかと疑いの目を向けられました。「五輪に出たいなら、義足が有利じゃないことを証明しろ」という無理難題。そんなに負けるのが怖いのか、というような注文を受けてレームのリオ五輪出場は断念させられます。

レームと研究者チームが出した調査結果は、「助走のスピードを上げるためには義足は不利」「ジャンプについては、足で跳ぶのとは全然違う技術なので有利とも不利とも言えない」というもの。助走のスピードが上がりにくいなら、もうそれで十分という気もしますが、それでは「ジャンピングシューズみたいな話でしょ?」という疑念は払拭できないのでダメだそうです。

陸上で使う義足は指定の用具があり、同じジャンピングシューズを使いたいなら、ほかの選手も使うことができます。もしもそれを使った選手が軒並み五輪レベルの記録を出すようなことでもあれば、「バネだ」という話も真実味を帯びるのでしょうが、そんなことは今のところありません。棒高跳びで硬い棒を使いこなすのが難しいように、硬い義足を使いこなすのもやはり難しい。履けば跳べる魔法の靴はないのです。

一回全部忘れて、魔法の靴が出てきたら考えればいい。

オリンピックとパラリンピックがいつかひとつになるとしたら、こうした選手の存在を大事にしないと話が始まりません。柔道で言うところの無差別級が五輪であり、それ以下の階級に体重別のものや不自由さによる分類があるという形。「無差別級」が無差別級として機能していることをしっかりと示さなければ、ひとつになりようがないのです。

義足が有利でないことを証明させるのではなく、義足を履きたければ履けと解禁すればいい。同じバネで「足があっても履ける」ものを作り、スパイクのひとつとして認めれば済む話。競泳でも「明らかにコレのほうが有利」という高速水着が出たことがあり、その水着が認められた時代に集中して世界記録が生み出されたことがありました。あまりに有利ということでのちにその水着は禁止されますが、生まれた記録は今も残っています。陸上の投擲種目にいたっては「それクスリですよね!」という記録が今だに残っているケースも。

「水着かー」があるんだから「バネかー」があってもイイはずです。人によって使ったり使わなかったりする「クスリかー」よりは、はるかにフェアです。競泳ではそうした高速水着時代を経た記録を、さらに破るからこそケイティ・レデッキーやカティンカ・ホッスーの偉業がより輝いているのです。自分の足で「バネかー」に勝てばいい話。スパイクの機能を日々スポーツ用具メーカーが高めるように、義足の機能が高まっていったらいいのです。

↓こんだけ跳べるなら、もう跳ばせばいいじゃない!


絶対、一緒にやってたほうが盛り上がったわ!

みんなピリピリして、バッチバチのバトルだったのに!

「面白い」ほうがいいじゃない!

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注目の中で迎えた本番。1番手で登場したレームは7メートル13センチでのスタート。同じドイツのフェリックスが7メートル13センチで並び、オランダのヘルトフが7メートル29センチでトップに立ちます。そこから少しずつ記録を伸ばしていくレーム。2本目には7メートル33センチでトップに立つと、3本目には7メートル48センチで自身が持つパラリンピックレコードを更新します。

上位8人によって争う後半戦。レームは前半トップなので最後の試技順へと変わります。4本目には7メートル98センチと記録を伸ばし、さらに5本目では8メートルを超える、8メートル4センチの大ジャンプで、金メダルを確定的にします。競り合っていたオランダのヘルトフは、5本目に8メートルを超えようかというジャンプを見せますが、それがファウルとなったのが惜しかった。

そして、6本目。ほかの選手の結果によって金が確定した中で、迎えた最後の跳躍。レームはさらに記録を伸ばし、8メートル21の大ジャンプ。自己ベストには及ばないながらも、日本選手権ならば優勝、リオ五輪の決勝ならば5位に相当する、「世界を争う」にふさわしい記録。言うまでもないことですが、パラリンピックレコードです。

願わくばリオ五輪の記録をも超えてほしかったところですが、それに及ばなかったのが本当に惜しまれます。もし、ここで五輪を超える記録が出ていれば、「どっちが本当は強いんだ」という気持ちから、五輪の金もスッキリしないものになったはず。そうすれば、スッキリするには直接戦うのが一番ということで、門戸も開かれたようにも思うのです。結局は、「世界で一番」であることが五輪の価値なわけで、そこから除かれる候補がいたら、五輪にとっても自らの価値を毀損するものなのですから。

↓いやーーーコレを五輪で見てみたかった!


物議は醸すためにある!

より遠くに跳べる人間を全部集めて競ったほうが、五輪の金の価値も上がるはず!

東京では、ぜひ五輪のほうでお迎えしたい!

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日本の中西麻耶さんが出場した女子走り幅跳びT43/44クラスでのこと。この種目ではフランスのル・フュール選手が世界記録で優勝しました。尻もちをつくスタイルでの着地に、珍しい落ち方だなぁ、尻もちじゃなければもっと記録がのびそうだなぁなどと僕は思っていました。しかし、人に指摘されて気付いたのが、これは失敗して尻もちなのではなく「着地時に義足をソリのようにして滑らせることで、普通の足ならもっと手前で落ちていた身体を、足を着いた位置に近づけている」という、義足の選手ならではの新たな着地技術なのであったということでした。

義足をどう使うか、それも発想であり技術。それはそれとして認めていくことで、新しく広がるものがあるはずです。「義足を砂場に突き刺して、ヤリ投げのヤリみたいに刺さって着地」くらいまで行きついてからアカンかどうか考えればいいのです。何かが起きる前に可能性を塞ぐのではなく、起きてから考える。そうでなくっちゃ、頑張りがいがないでしょう。五輪の選手だって、用具替えるたびに「用具ですね」「用具で伸びてると思います」「靴を脱げ」って言われたらやってられないでしょう。「高速義足時代」とか「時代」のレベルにまで話が到達してから考えれば、それでいいと思うのです。

↓この尻もちも新たな技術の誕生として受け止めると、凄さが一層増す!

こういう発想に気付くと、「スパイクのカカト部分をソリにできないか?」という新しいイメージもわいてくる!

そういうのも「人類の発展」につながるはず!

勝ち負けよりも、競技を通じて人類の可能性を広げよう!

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全選手が足を切り落とし始めたら、「一回待とう」って止めに行きます!