韓国各紙は北朝鮮が韓国の首都ソウルを核攻撃した場合の被害予測を相次いで報道。死者数最大112万人超に上るなどと警告している。韓国国内で高まる独自の核武装論議にも影響を与えそうだ。資料写真。

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2016年9月16日、北朝鮮が韓国の首都ソウルを核攻撃した場合の被害予測を韓国紙が相次いで報じている。死者数は爆発規模によって異なるが、最大112万人超に上り、死傷者全体は約275万人にも達する。北朝鮮の脅威がますます現実味を帯びる中、韓国内で独自の核武装論議にも拍車が掛かりそうだ。

朝鮮日報は北朝鮮が9日に行った5回目の核実験に関連し、1998年に米国防総省が広島に投下されたものに近い15キロトンの核兵器がソウル上空で使用された場合を想定した被害を予測し、死者数が最大で62万人に達すると試算していたと報じた。韓国政府は9日の爆発規模は10〜12キロトン程度と推定しているが、今回の核実験は5回中で最も大規模とされ、15キロトン前後との見方もある。

1945年8月6日に原爆が投下された当時の広島市の人口は約35万人で、死者は約7万8000人。ソウル市の人口は約1000万人で、単純に人口比で見ると、朝鮮日報の被害予測は少なめだ。

中央日報は米国防総省の国防脅威削減局(DTRA)が05年にコンピューターでシミュレーションした数値を報道。ソウル中心部の龍山で20キロトン(1945年8月9日に長崎市に投下されたものと同規模)の核爆弾が地上で爆発した場合、最大でソウルの人口の20%以上が死亡する可能性があると、伝えた。

即死者は34万4412人、放射性降下物(死の灰)による死亡者78万4585人が追加で発生し合計112万8997人が死亡するものと予想。負傷者を含めば全死傷者は274万8868人に達し、被爆者の90%は1年以内に死亡する確率が非常に高いとしている。

10年5月に米国のランド研究所が発表した「北朝鮮の核脅威の不確実性」との研究資料によると、北朝鮮が夜間に10キロトン級核爆弾をソウルに投下したなら、最小12万5000人から最大20万人が死亡する。

同研究所は最初に医療システムが危機に直面するとも指摘。韓国の病床数は10年基準で36万1000床だが、重傷者31万人、軽傷者20万人、放射能汚染に不安を感じた被害者80万人など合計134万人が病院に殺到した場合、システムがまひする予想している。

東亜日報もDTRAの被害予測を引用。「衝撃波、火災、死の灰などで想像を絶する被害が予想される」と警告している。

核兵器の実戦配備に向けた開発を急ピッチで進める北朝鮮に対抗して、韓国内では核武装を進めるべきとの声が急浮上。聯合ニュースによると、与党セヌリ党議員を中心とする「北の核問題解決のための集い(核フォーラム)」は与野党が共同で参加する「国会北核特別委員会」の設置を提案する声明を発表した。

核フォーラムは「北核特別委では北のさらなる核挑発を予防する多様な策を議論し、われわれの独自の核能力を含む、実質的な対応策についての案を協議していかなければならない」と強調。その上で「特に現実的な制約要因を考慮し、可能な限りすべての核武装レベルのプログラムの実用化策を議論しなければならないだろう」と呼び掛けている。(編集/日向)