こんばんは。杉並の外れでbarをやっている阿部と申します。この連載では普段あまりウイスキーを召し上がらない貴女をめくるめくウイスキーの世界へお誘いさせていただきます。

まずはご報告から。皆様に支えられ続けてこられたこのコラムですが、今回を含めあと2回で終了となります。このような経験ができたこと、本当にありがたく思っています。皆様に楽しんでいただけるように努力いたしますので、もう少しお付き合いくださいね。

あるカップルを結んだウイスキー

そんなラスト直前の今回は、このコラムを始めるきっかけになったあるウイスキーのお話を。

4年前の冬、開店して1、2時間が過ぎた頃に、ひとりの男性が来店されました。

初めていらっしゃったその男性は、ウイスキーがお好きで、これまでかなりの種類を召し上がってこられたそう。お話をしながら、ウイスキーを選び、おすすめしました。

「おいしい」と感想をいただき、僕は一安心。

しかし、その男性は、おいしそうにグラスを傾けながらもどこか時間を気にしてそわそわしています。

そんな彼に2杯目をお出しした頃に、焦った様子で来店されたのが今回の主人公の女性です。

ふたりは初デート。そこに遅刻して現れた彼女こそ、このコラムの担当編集者であり、連載のきっかけを作ってくれた方だったのです(初デートに遅刻したのは、夜なのに“寝坊”したからだとか)。

初デートにぴったりのエレガンス

遅れてやってきた彼女に僕がおすすめしたのは「グレンモーレンジ」というウイスキーでした。

ハイランド地方のシングルモルトウイスキーである「グレンモーレンジ」は、初心者の方にもおすすめしやすいウイスキーです。ボトルデザインもお洒落で、家に飾りたいとおっしゃるお客様もいらっしゃいます。

オレンジなどの柑橘系の香り、雑味がなく、ライトボディなのにしっかり甘味も感じます。「華やか」「エレガント」という言葉がしっくりくる逸品です。この香りには、ストレートやロックが向いています。

すてきな時間を演出してくれるウイスキー

ストレートでお出しした「グレンモーレンジ」を口に含んで彼女は少し落ち着きを取り戻し、ふたりは楽しそうに談笑を始めました。

ひとりの待ち時間を埋めてくれたのもウイスキー。ふたりの楽しい時間を演出したのもウイスキー。

それから、彼女は当店にちょこちょこと来店されるようになり、次第にウイスキーに魅せられていきました。

数年後「ウイスキーのコラムを書きませんか?」と彼女に声をかけられた時、一番に思い浮かんだのがこの「グレンモーレンジ」でした。

僕にとってはとても縁を感じるウイスキーです。このコラムを産んでくれた「グレンモーレンジ」、ぜひご賞味くださいませ。

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(阿部政孝)

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