メスを使わない「美容皮膚科」って安全なの?

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執筆:南部 洋子
監修:谷野 隆三郎(医学博士 医療法人社団天神会天神下皮フ科形成外科 理事長)

最近は、自分の肌で気になるところがあれば積極的に医師に相談する人も増えているようです。

でも「美容外科は保険が利かないから高いのでは…」だとか「手術はこわい…」と悩む人は多いかもしれませんね。

しかし最近では「美容皮膚科」という診療科があり、その治療範囲も広がっているそうです。詳しくご紹介していきましょう。

美容皮膚科とはなに?


美容皮膚科とは、いわゆる皮膚の疾患(皮膚病)の治療ではなく、お肌の美容や若返りを目的とした診療分野といえます。

1978年から標榜が認可されている「美容外科」がありますが、こちらは形成外科の医療技術の応用で「鼻を高くしたい」「二重瞼にしたい」「乳房を大きくしたい」など外見の悩みに応え、外科手術などにより身体の形態を美しくし、コンプレックスの解決にあたります。

それに対し「美容皮膚科」は、皮膚の構造やメカニズムを熟知した皮膚の専門医が、メスを使わない美容医療で肌の悩みの解決をします。
つまり“皮膚科の基本”の上に美容皮膚科があり、皮膚組織レベルで見た目の美容を追究している分野です。


日本における美容皮膚科の歴史は浅く、今後さらに発展が期待される分野として近年、急速な成長をみせています。ちなみに2008年には「美容皮膚科」を標榜(院外の広告に表示)することが、厚労省から認可されています。

皮膚科と美容皮膚科はどこが違う?


どちらもお肌のトラブルを治療することが目的ですが、皮膚科は疾患(いわゆる病気)を治療する一方、美容皮膚科は美容目的でお肌のトラブル(シミ、シワ、タルミ、毛穴の開き、にきび跡、多毛症など)を解決することがメインとなります。


一般的に湿疹やニキビ、水虫などの皮膚疾患があれば皮膚科を受診します。それに対して美容皮膚科では、美肌に詳しいお肌の専門医師がカウンセリングを行ったあと、お肌の悩みやトラブルを医療機器や医薬品を用いて治療します。

美容皮膚科医は、もちろん一般皮膚科と同じように皮膚疾患も治療することができますので、皮膚科・美容皮膚科と標榜しているところが多いです。

しかし、一般的に皮膚科のみしか標榜していないクリニックの多くは、美容皮膚科のような美肌についての治療は行っていません。受診の際は、標榜科をよく見て行きましょう。

そして、大きな違いは治療費です。一般の皮膚科診療ではほとんどの治療が健康保険の適応ですが、美容皮膚科ではほとんどの治療が自費診療です。


保険診療の適応には限界があり、いわゆる病気ではない美容を目的としたレーザー治療や美容目的の塗り薬などは、原則として保険が適応されません。また美容皮膚科では初診料や再診料も、保険診療より高く設定されていることがあります。

美容皮膚科で保険診療となるケースは?


一般には、イボの一部、悪性の疑いがあるホクロで生検(一部を取って病理検査すること)をした場合、原発性腋窩多汗症(ワキの汗)に対するボトックス治療などは保険が適用されます。アザについても青アザ(太田母斑、異所性蒙古斑)、茶アザ(扁平母斑など)、赤アザ(単純性血管腫など)に対するレーザー治療は保険が適用されます。

多くの女性が気にしているシワやシミ(老人生色素斑や脂漏性角化症など)は加齢や紫外線が主な原因ですが、保険適用外です。厚労省はこれらを病気とは見なしていないからです。

ちなみに「ニキビの治療」は保険適用ですが、「にきび痕の治療」は保険適用外です。同じように、悪性の可能性が全くないホクロの治療も保険適用外です。また多毛症(むだ毛)に対する医療脱毛も美容皮膚科の領域です。

とはいえ、クリニックによっても治療費用にはかなり違いがあります。美容皮膚科の中にはすべて自由診療で、保険を扱っていないクリニックもあります。


また自由診療ですので、同じ施術でも料金はクリニックによって違います。受診を検討される場合は、クリニックのホームページなどで確認するか、直接電話で問い合わせをしてから受診されたほうがいいでしょう。

<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー