『こち亀』ついに最終回!名言ハンターが本気で選んだ両津勘吉名言集

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本日発売の『週刊少年ジャンプ』42号、ならびに同日発売のコミックス200巻にて、ついに40年の歴史に幕を下ろした『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。すでに最終回に目を通した人も多いと思う(筆者はけっこうびっくりした)。

こち亀』の面白さ、長期にわたって人気を保ち続けた理由はさまざまある。個性豊かなキャラクターたち、ダイナミックなアクション、精緻な絵柄、流行やホビーを取り入れたバラエティに富んだ作風、40年にわたって一回も休載しなかった作者・秋本治の「続ける力」などなど……。

しかし、『こち亀』の魅力とは、なんと言っても型破りの警察官である主人公・両津勘吉の魅力に尽きるのではないだろうか。ここでは、両さんの魅力をより端的に表している“名セリフ”をピックアップしてみた。まずは1巻から50巻までの名セリフをどうぞ。(Kindle版まとめ買い)

東京はてめえみてえな百姓がくる所じゃねえ
さっさと帰りやがれ!
1巻「始末書の両さんの巻」

記念すべき第1話より。派出所に道を尋ねにやってきた老人に、競馬が外れて頭に来ていた両さんがぶっ放した乱暴きわまりないセリフ。今、警察官の主人公に第1話でこんなセリフを言わせるなんて無理だろう。ポリティカル・コレクトネスなんか軽くぶっちぎった一言で『こち亀』40年の幕が開いた。



けっきょくロシアンルーレットで
あそんでいて即死してしまったが…
じつにおもしろい野郎だった アハハハ
1巻「始末書の両さんの巻」

同じく第1話より。ロシアンルーレットで死んだのは派出所の同僚の松本。常識も道徳もぶっちぎった両さんの異常性がよくわかるセリフだ。ちなみにこのセリフは後に「マヨネーズの一気飲みが得意だった」に変更された。12巻「ギャンブル狂時代の巻」では両さんのギャンブルの師匠の屯田(署長とは別人)が、赴任直後の麗子にロシアンルーレットをやらせる場面がある。

すんでしまったことはしかたない
なるようになる!
3巻「しつこさ一番!!の巻」

中川と一緒に葛飾署に車で突っ込み、亀戸署の署長を柔道技で失神させた両さん。ニューヨークへ逃げようと主張する中川を制して、腹を決めて署内に戻っていく。どんなトラブルを起こしてもケロッとしている両さんのバイタリティーの根源には、この言葉どおりの精神が息づいているのだ。



われわれプロは世間様と同じことしてちゃいかん!
世の流れに逆流してこそおもしろみがある
4巻「ガッツマン両津の巻」

これも両さんのユニークさを象徴するセリフ。長いものに巻かれず、多数派におもねることのない両さんの反逆精神の表れである。そんな両さんが国家権力の側にいるところが、この漫画の面白いところでもある。



松吉 みてみろ あそこにいる人々を!
みんな ああしてはたらいているからこそ
世の中動いているんだ!
あの人だって名もなく底辺で仕事し
その上 母ちゃんや子どもを やしなってるはずだ!
8巻「まごころ説教!?の巻」

両さんだって説教をするときもある。このときは派手好きなチンピラの松吉に、地道に働くことの尊さを説いていた。両さんの説教を聞いて働き始めた松吉だが、直後に交通事故で死亡。この後、両さんが松吉の遺品を岩手県に住む両親に届ける傑作「冬の旅…の巻」に続く。舞台になった宮古市の日出島漁港は東日本大震災で大きな被害を受けており、『こち亀』に登場する風景はもはや見られない。



いかに美人でもゆるせん!
女はすぐ感情的になる!
11巻「麗子巡査登場の巻」

連載100回を記念して登場した新キャラクター・麗子。当初の麗子は初期の中川と同じく破天荒で、登場シーンもミニパトで派出所に突っ込んでくるという騒がしさだった。両さんは明らかな女性蔑視発言が多いが、たいてい直後に女性にやりこめられるのがパターン。ちなみに、この回から作者のペンネームが山止たつひこから本名の秋本治に変わっているが、「秋本」という姓を印象づけるために麗子の名前を「秋本麗子」にしたという。



気どるなバカモノめがっ
人生おもしろおかしくすごしたほうが
勝ちだ!
ぎゃははは
13巻「夢一夜!?の巻」

両さんの人生哲学を端的に表した言葉。宝くじで一等2000万円を当てた両さんは、どうせ夢の金だからと一気に使ってしまうとするが、気まぐれで賭けた競馬が大当たりして1億5000万円に。正気を失った大原部長とともに半裸になって、札の上を転げまわりながらこう叫んでいた。



おいしいだろ 若いころはどんどんたばこをすって
発育を悪くし 思考力を低下させたほうが体にいいぞ!
どんどんすえ!
16巻「風をきれ!の巻」

派出所でタバコを要求する17歳の暴走族・タケシに対して、口いっぱいにタバコを詰め込んで失神させる両さん。これも今では許されなさそうな表現だ。当初はヘビースモーカーだった両さんだったが、34巻から禁煙している。秋本治のたばこ嫌いは有名で、両さんが禁煙した際は作中に登場して「今後この漫画にたばこを一切ださない!」と宣言した。



私は利己主義的なカメ型人間よりも
バイタリティーがあり ハッピーな
うさぎ型人間でありたい!
つねに そう考えてます
18巻「カメ型人間!の巻」

遊び人の両さんに「ウサギとカメ」の童話を持ち出して説教しようとした部長だったが、寝ているウサギを起こさずに自分だけゴールしたカメは利己主義的だと押し切られてしまう。両さんの見事な屁理屈が炸裂したセリフだった。



ガキは元気で上等!
20巻「ガキ大将!勘吉の巻」
悪ガキだった両さんの少年時代を描いた最初のエピソード。友人の兄のバイクを無断で拝借して隅田川にダイブしたり、教師を驚かせるため教室に虎を連れ込んだりとやりたい放題。当時の頃を思い出していた両さんに子どもが自転車でぶつかるが、こうやって威勢良く励ましている。公園で遊ぶ子どもの声をうるさがる人や、幼稚園・保育園の建設に反対する人たちに聞かせてやりたい言葉だ。



こんな日に仕事などできるか!
わしは自由主義者だ
23巻「荒野の決闘!の巻」

勤務中だろうとおかまいなくドライブに興じる両さん。誰だって仕事を放り出して、どこか遠くへ行きたいと思ったことはあるだろうが、実際に行動に移すことは難しい。読者が思っていてもできないことを軽々とやってのけるからこそ、両さんは魅力的なんだろう。



ざまあみろ
度胸と実行力にゃ
だれにも負けんぞ
25巻「サイド・ビジネスの巻」
喫茶店でやくざと撃ち合いになった両さんは、二丁拳銃で敵陣に突撃! たちまちやくざを制圧し、仁王立ちで吠える。思いつきを命懸けでやりきってしまう両さんの度胸と実行力(行動力)は凄まじいの一言。



外見じゃねえんだよ
男は体力と心意気だ!
28巻「新雪之城変化!?の巻」

まるで少女漫画のキャラのような雪之城を両さんが一喝! “男っぽさ”を説明するために、わざわざ宮下あきらの『激!!極虎一家』のコマを例に挙げている。いつか『こち亀』のメタフィクション回をまとめてみたい。そういえば最終回もメタフィクションだった。

今やコンピューターエレクトロニクスの時代なんだぞ
時代にのりおくれるぞ
21世紀はすべてがコンピューターだ
だから先を読んでTVゲームのプロになる
28巻「アンコール雪之城の巻」

『こち亀』の凄さの一つに、誰もできなかった未来予測をいくつも的中させていることがある。両さんのこのセリフを聞いて、常識外れの大富豪・中川でさえ「よくわからない」と困惑していたが、21世紀には両さんの読み通り、梅原大吾をはじめとするプロゲーマーが何人も誕生している。



月は遠くでみるから
きれいなんだよ…
わしなぞ なん度 アポロになったか
数えきれん……
29巻「ハローグッバイ!の巻後編」

両さんが恋愛について真面目に語っている珍しいセリフ。カリフォルニアからやってきた女性警官・サンディに惚れてしまった本田に対する言葉。ちなみにアニメ版では両さんがサンディに恋をする話に変更されている。サンディは両さんがディープキスをした唯一の女性キャラだった。



「ずるい」「ひきょう」は
敗者のたわごと!
遊びでも勝たねばならん!
これが両津式遊び学だ!
35巻「あそび大好き!の巻」



警察官としては弱者の味方であり、正義感を忘れない両さんだが、勝負となれば話は別。どんな卑怯な手を使ってでも勝ちに行くのが両さんの哲学だ。ただし、後年は擬宝珠纏ら女性キャラにわりとあっさり負けるようになった。

地味でまじめなやつが芸能界に入るかよ!
目立ちたがりで自尊心が強いから
芸能界でやっていけるんだろ
36巻「マナ板のゴキブリの巻」

アイドルに夢中になり、自分の好きなアイドルを地味で清純で真面目だと信じる本田に冷や水を浴びせる両さんの一言。「会社に勤めてコツコツ働くより 一攫千金の芸能界に入って 男の子に騒がれ ミニスカートで人前で歌うなんて 地味で清純な女の子じゃないと できない仕事だ!」とも言っている。うーん、正論だ。



人生楽しい事だけやって
遊んだ方が勝ちだぞ
わしみたいに!
39巻「もしも我が家が…の巻」

両さんの行動原理ともいえる「人生楽しい事だけやって遊んだ方が勝ち」。ただし、チンピラの松吉には地道に働けと説教しているし、麗子にも「自由だけで生活はできんぞ!」とも言っている。自由さと真面目さの両面性(9対1ぐらいの割合だろうが)を持っているところも両さんの魅力なんだろう。



わけなどきかずに貸すのが
男の友情ってもんだろ おい!
40巻「ブラック・リストの巻」

金欠になるといつも後輩の中川や麗子に借金を頼む両さん。頼み方も大変厚かましいが、アニメ『あしたのジョー2』でゴロマキ権藤が似たようなことを言っていた。まぁ、頼まれる方が言うのとと頼む方が言うのとでは大違いなんだけど……。



ガキのころから現実をみせた方が本人のため!
夢や希望は元から断たねばダメ!
41巻「脱皮!の巻」

子ども向けの教育映画を勝手に「世の中金だ!」と吹き替えた両さん。タモリの「夢なんて無くなったって生きていけるんだ」や有吉弘行の「世の中、金があれば強く生きられる!」という言葉にも通じる両津理論だ。タモリと有吉の言葉は拙著『「がんばれ!」でがんばれない人のための“意外”な名言集』(ワニブックス)に採録させていただいております。



えらいやつってのは始めから
ワルなんかにならねえの!
正直で正しい人間がえらいにきまってるだろ!
こいつなんかわがままで 勉強もしないで やりたい事やって
それがやっとふつうのレベルにもどっただけだぞ
おまえなんかおまえの大好きなパンテーラに
あのやかましいバイクで正面衝突してフォーカスかざった方がよかったんだ
42巻「仕事さがし!の巻」

ネットで大人気の両さんの“名言”といえばこれ。更生しようとする不良少年を褒め称える部長と中川を前に、超ド級の正論をぶちかます。「おちるやつは最後までおちていいし
もどりたいやつは勝手にもどればいい 自分できめる事!」とも。



男なら俺たちといい仲間になれたのに
まったく!
女にうまれやがってドジなやつだよ
44巻「春の耐久レース!!の巻」

両さんの麗子に対する見方を端的に表した言葉。連載前半は麗子が両さんにほのかな恋心を抱いているという展開があったが、それに対するアンサーと考えてもいいだろう。最終回で両さんと麗子が結ばれたらいいと考えていた読者も(筆者を含めて)いたようだが、やはり難しかったようだ。

とにかく人間 最後に笑う者が勝ちだ
おまえはまだスタートラインにも並んでない!
まだ早い 学校をでて 社会にでた時がスタートだ
わかるな!
44巻「スターへの道!?の巻」

公開生放送で、いじめに悩む少年からの相談に(部長の目を気にしながら)答える両さん。勉強が得意なら勉強をしまくって日本一の学者になれ! スポーツが得意ならスポーツ選手に、絵が得意なら画家になれ! お金持ちや有名人になることが、いじめた奴を見返すことにつながっていく。学校の狭い教室が人生のすべてではない。いじめに悩むすべての少年少女に贈りたい言葉だ。

男はくやしさをエネルギーにして
前進してゆくのだ!!
わかるな
「今にみておれ」の根性を忘れちゃいかんぞ
がんばれ!
44巻「スターへの道!?の巻」

いじめに悩む少年への熱い回答のとどめがこの言葉。両さんに力強く励まされた少年は、いつの間にか握りこぶしをつくって「はい! お巡りさん!」と元気に返事をするようになっていた。いいこと言うなぁ、両さん。

ばかいっちゃいかん!
背をむけて生きちゃだめだ!
男は前むきに進むもんだ
グチなどいう前に
世の中 自分で変える気持ちが大事だ!
47巻「台風とふたり組の巻」

台風の夜、相手の素性を知らないまま、二人組の空き巣と酒を酌み交わす両さん。空き巣たちは酒の勢いで心を開き、「世の中不公平だね」「生活が全然よくなりゃしない」と愚痴をこぼすが、両さんはまっとうな言葉を投げ返す。両さんの言葉にショックを受けた空き巣たちは号泣し、翌朝両さんが眠っている間に自首した。

正面ばかりでなく
いろんな方向から物を見ないと
わからんでしょうが
真理というものは!!
趣味の広さは人間の豊かさになってくるのですよ
47巻「柔硬ちょうだい!?の巻」

麻雀、花札、競馬などのギャンブルが大好きな両さん。いつも部長に叱られてばかりいるが、あるときこう反撃して部長を納得させてしまった。たしかに、学校の勉強がよくできたり、金儲けが上手だったりしたからといって魅力的な人物とは限らない。いつもカラッケツだけど多趣味な両さんの方がよっぽど魅力的だ。



おまえが心配しすぎなんだよ!
すべて計算通りの人生なんて
おもしろくもなんともないだろ!
50巻「住めば豪邸の巻」

「想定内」ばかり繰り返す人生ほどつまらないものはない。いつ何が起こるかわからないから人生は面白い。そういえば『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしも「何が計画通りだ! 計画通り行かないから人生なんだ!」と叫んでいたっけ。

子どもたちの幸せもいいが
自分の幸せを大切にした方がいいよ!
50巻「恋の沖えらぶの巻」

鹿児島県の沖永良部(おきのえらぶ)島にやってきた両さんは、小さな島で小学校の教師として働くゆりこ先生に恋心を抱く。子どもたちのために身を粉にして働くゆりこ先生だが、実は離れた場所に恋人がいた。恋人の存在を察した両さんは即座に身を引いて、別れ際にこんな言葉をかける。自分の幸せが得られなければ、誰かを幸せにすることなんかできやしない。そんなことをさりげなく言える両さんは、やっぱり大人の男だ。



全200巻の4分の1にあたる1巻から50巻までの中から、両さんの名ゼリフをざっと30個選んでみた。実は100個ほど選んだ中から厳選した30個である。さすが『こち亀』、両さんの名ゼリフだけですごい質と量である。

残りの分は、来週以降にお届けしたい。集英社さん、せっかくだから『両さん名言集』出さないかなぁ……。

こちらの記事も参考に
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(大山くまお)