ごちそうカレーポークソテー(P.102)

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 「せっかく作ったのにどうして食べてないの!?」忙しい時間をやりくりして、なんとか用意しておいた晩ごはん。帰ってきたら副菜が冷蔵庫にそのまま残ってる……。食べものの恨みは怖いけど、食べないご飯を作らされた恨みはもっと怖い!? 疲れて帰ってきて早々にエネルギーの無駄遣いはしたくないですよね。

 今回ご紹介するのは双子の男の子を育てながら料理研究家として第一線で活躍を続けている上田淳子さんの最新作『るすめしレシピ』(自由国民社)。自身が働く母親として「作り手も、食べ手も、両者が無理なく笑っていられる食卓ってどうしたら作ることができるのだろう?」という気持ちを抱えながら試行錯誤を繰り返し生まれた、“留守番する家族”のためのレシピ本です。

 食育に関する活動をしたり、子どものためのレシピ本を手掛けてきた上田さんらしい面白い仕掛けもあります。第1章には電子レンジすら使わずに美味しく食べられる「冷蔵庫から取り出してすぐ食べられるおかず」が18品。第2章は「電子レンジであたためるおかずセット」が10組。第3章には「鍋ごとあたためて食べる簡単煮込みおかず」が10品、第4章には「留守番する人が仕上げの調理をするおかず」が10品紹介されています。電子レンジから熱々のお皿を出すのがまだちょっと心配な小学校低学年から、火を使えるようになる高学年〜中学生まで、留守番する家族の年齢にあわせた構成で、子どもたちは成長とともに「作って食べる人」になれるというわけです。

1、「混ぜないポテトサラダ」(P.30)

【つくる人】7mm幅の「いちょう切り」にしたじゃがいもをさっと水洗いして水けをきったら耐熱容器に入れ、フタをして電子レンジ(600W)で8分間加熱します。酢大さじ1と塩小さじ1/3、こしょう適量を混ぜ、加熱したじゃがいもとあえます。きゅうりは輪切りにして塩をふり、しばらく置いてから水けを絞ります。ゆで卵は粗く刻み、ハムは数枚重ねた状態で食べやすく切ります。水けをきったじゃがいもを保存容器に入れ、上にマヨネーズを絞り入れたら卵をのせ、無糖のギリシャヨーグルト(一晩水切りしたプレーンヨーグルトでもOK)大さじ5を数カ所にそえます。きゅうりをのせ、ハムを散らし、仕上げにお好みでマヨネーズを絞って完成です!

【食べる人】冷蔵庫からポテトサラダを取り出し器に盛り付け、バターロールといただきます。

 これは、第1章「冷蔵庫から取り出してすぐ食べられるおかず」のレシピです。買ってきたお惣菜みたいにマヨネーズ一色の味じゃないんです。まとまった味の中に爽やかでコクのあるサワークリームのようなヨーグルト、ごろごろ具材の食感がそれぞれいかされていてとっても美味しいです。そういえばポテトサラダや卵サンドを出されて食べない男の子を見たことがありません。そうか、がんばって留守番している上に晩ごはんが苦手な食べ物だったつらいですよね。好き嫌いの克服は家族揃った時にすればいいのではないでしょうか、という著者の主張に頷くばかりです。食べ手の笑顔を想像するって大事なんだなあ。

2、『バジル風味のトマトチキン』(P.66)

【つくる人】鶏肉を一口大に切り塩をすり込み、ズッキーニは輪切りにします。鍋にオリーブオイルとつぶしたにんにくを入れ中火で熱し、香りが立ってきたら鶏肉を入れる。軽く焼き色がついたらペーパータオルなどで脂をふき取り、トマト缶と水100ml、オリーブオイル大さじ2を加え火を弱めて8分煮ます。ズッキーニを加えてさらに約5分煮て、塩、こしょうで味を調えたらできあがり。

【食べる人】鍋を火にかけたら焦げ付かないよう時々鍋底をかき混ぜる。器によそい、食べる時には市販のバジルソースを加えていただきます。

 こちらは第3章の「鍋ごとあたためて食べる簡単煮込みおかず」より。鍋料理はどうしてもマンネリになりがちで、気が付いたらカレーばっかりなんてことも。大人も子どももよろこんで食べるガーリック+トマト+バジルの黄金タッグでこんなメニューはいかがでしょう。普通のカレーより短時間で作れてしまう上に4日間ほど冷蔵庫保存が可能なので、パスタソースにしたり、それこそ最終的にはカレーにしちゃったりとアレンジがきくのも魅力です。『るすめしレシピ』の料理には全て保存可能な期間が書いてあり心強いです。作りおきレシピとして使えるものも多いんですよ。

3、ごちそうカレーポークソテー(P.102)

【つくって食べる人】筋切りした豚ロース肉(とんかつ用)にカレー粉・サラダ油各大さじ1と塩小さじ1/2をまぶし、よく揉み込みます。保存袋に入れ、冷蔵庫で保存します。じゃがいもをラップに包み、電子レンジ(600W)で6分間加熱します。熱いうちに皮をむいてつぶし、同じく保存袋に入れ冷蔵庫で保管します。

【つくって食べる人】フライパンに油をひき、豚肉を並べます。フタをして中火で4分焼いたらフタを取り、肉を裏返しその上にマッシュポテトとチーズをのせてまたフタをする。3分加熱したら完成です。

 第4章の「留守番する人が仕上げの調理をするおかず」には、「肉を裏返してポテトやチーズをのせる時は熱いので一度火を止めるように伝えたほうが安心です」というように、お子さんが料理をする際に気をつけたいポイントが料理ごとに添えられています。また、実技面だけでなく、「あとから帰った人が食べる時には作った人への賞賛の言葉をかけるのを忘れずに」などの精神面でのアドバイスも的確です。

 温かい料理はやはり焼きたてをいただきたいもの。下味をつけた豚肉がフライパンの上でジューと焼ける音、熱した途端ふわっと香り立つカレースパイスは料理の楽しさを教えてくれます。そして「できた!」「疲れて帰ってきた家族がよろこんでくれた!」という喜びと達成感は何者にも代えがたい大切なもの。「つくる人」と「食べる人」のすれちがっていた思いを交差させ、お互いを労わる気持ちを思い出させてくれる『るすめしレシピ』はおすすめです!

文=OKO