ソウル市内にある『ガンダム・ベース』(著者撮影)

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韓国で注目を集めているバラエティ番組がある。毎週さまざまな分野の“オドック”(韓国のオタク)たちが自分の能力や知識を披露する『能力者たち』(MBC)という番組だ。

「日本特集一弾」と名付けられた8月25日放送分は、完全日本ロケで収録。3人の番組MCが8月7日から14日まで横浜みなとみらいエリアで開催されたイベント『ピカチュウ大量発生チュウ!』を堪能し、漫画『スラムダンク』の舞台となった鎌倉などを訪れつつ、日本のオタクたちが紹介された。非常に好評だったそうだ。

そういったテレビ番組を見てもわかる通り、韓国のオドックたちの多くは、日本コンテンツのオタクだと言っても過言ではないだろう。

例えば、ガンプラ。女優のイ・シヨンをはじめ、俳優のシム・ヒョンタクやパク・ヘジン、プロ野球選手のファン・ジェギュン、人気写真家のロタ(Rotta)など有名人たちが、無類のガンプラ好きを公言している。韓国にはガンプラオタクが意外と多いのだ。

とある人気テレビ番組では、ガンプラにハマった夫とその妻が紹介されたことも。「ガンダムはすべての男たちのロマンだ」と話す夫は、2年間で2000万ウォン(約200万円)もガンプラにお金を費やしたという。妻は「生きてきてガンダムに嫉妬するようになるとは想像もできなかった」などと語っていた。

映画『シン・ゴジラ』で高い評価を受ける庵野秀明監督の代表作『新世紀エヴァンゲリオン』も、人気コンテンツのひとつ。韓国でテレビ放送されたのは2004年だが、今でも「エヴァは日本サブカルの伝説であり神話」「日本アニメのバイブル」と称されている。

また韓国ではコスプレも人気で、プロチームが存在するほど。日本に比べて韓国のコスプレ文化は、個人で行うのではなく、集団的な性格が強いという特徴があるそうだ。プロコスプレチーム「Spiral Cats(スパイラル・キャッツ)」のリーダーのTASHA(ターシャ)などは、韓国を代表するコスプレ女王として海外でも人気だという。

同じく「スパイラル・キャッツ」に所属するDremi(ドレミ)などは、韓国におけるコスプレ文化がどれほど発達しているかを伺わせるほど、完成度が高くて美しい。

オンラインゲームなどを中心にしたコスプレが一つの業界となりつつ韓国では、今年1月に「韓国コスチュームプレイ協会」も発足されている。

それにしても、韓国のオドックたちは、なぜ日本や海外のコンテンツばかりを愛するのだろうか。

端的に言ってしまえば、自国のコンテンツにそれほど魅力がないからだ。特にアニメとなると日本の作品が圧倒的に人気で、韓国アニメは「ほとんど見る価値がない」と話す人も少なくない。それは、韓国アニメに日本作品のパクリや盗作と指摘を受けるさまざまな“黒歴史”があったことも関係しているのかもしれない。
(参考記事:韓国アニメ業界が直視したがらない“黒歴史”と呼ばれる3つのアニメ作品

いずれにせよ、オドックたちが確実に市民権を得ている最近の韓国。「何もかもが目まぐるしく過ぎてゆく時代だからこそ、何かに夢中になれることは素晴らしい」。そう考える人が増えた今、韓国のオドック化はますます加速していくのだろう。

(文=慎 武宏)