「BotsNew」は専用コントローラを使い、画面のように海を泳ぐ体験もできた

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 今年も日本最大のゲーム祭典「東京ゲームショウ(以下、TGS)」が開幕中だ。15、16日がメディア向けのビジネスデイで、17、18日が一般公開の日だが、今回取材した15日初日はビジネスデイにもかかわらず例年以上に混雑した日であった。スタートからプレス受付が激混み状態で、会場入りできたのは開場時間から1時間後だった。運営サイドに問題があるという指摘もあったが、あれほどスムーズに会場入りできなかった年も初めてだ。

 今年全体の大きな傾向と言えば、なんといってもVR(バーチャルリアリティ)。昨年も、PlayStation VRなどなどちらほらVRの展示はあったものの、今年はゲーム会社を中心にVR機器が主役になったTGSとなった。PlayStation VRも10月に発売を控え、いよいよVRが本格的に一般層に上陸してくる。

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 家庭用ゲームに関しては、新作タイトルこそ多くはなかったが、VRに乗り出した従来タイトルも多く出展され、体験ブースは常に行列状態(一部ではキャンセル待ちの列まで)。PlayStationの専用のVRゴーグルを身に着けることで、ゲームの世界への没入感がアップするというもの。VR版の『バイオハザード7』などはよりリアルに恐怖空間に入り込んでしまったような感覚になり、『イーグルフライト』は本当に空を飛んでいるかのような体験ができてしまう。長年、共にTGSを取材してきたゲームコラムニスト卯月鮎氏もVRへの期待感を語る。

「VRゲームは、よく『仮想空間に入り込める』と表現されますが、それ以上に『現実世界から切り離される』という効果が大きいと感じました。ゴーグルをかぶってヘッドホンを着けると、たとえそこがTGSのような騒がしい会場であっても、現実と切り離されてしまいます。これによって、視覚と聴覚と、ゲームによっては振動などの触覚が研ぎ澄まされて、普段の何倍も感情が揺さぶられるのです。日常生活ではあまり表面に顔を出さないような恐怖心や恋愛感情、好奇心といったものを題材にしたゲームジャンルは、VRによって大きく進化、もしくは変革するのではないでしょうか。ただ、ホラーゲームは怖すぎて人を選んでしまいそうですが(笑)」

 乙女ゲームのVR化など、男女やゲーマー問わずに、誰かの欲望を刺激するであろうタイトルもさまざま。さらに、誰もが入手しやすいのも普及しやすいポイントだろう。VRは大手ゲームメーカーだけではなく、PC用のVR機器やスマートフォンに取り付けて楽しめるVR機器、レンズなど豊富に出展。視点を合わせ操作するものから、コントローラを指にはめて操作するものまで、多種多様な機能のVRも大小メーカー問わずに出展されていたのが印象的だった。卯月氏も「性能、価格帯、コンセプトもさまざまなVRが展示されていて、VRの裾野が年末から来年にかけて一気に一般層にも広がる予感がしました」と感心しきり。

 実際、amazonで「VR」というキーワードで検索してみると、おびただしい量の商品が出てくることが分かる。多すぎてどれを買っていいのかわからない。値段も性能もさまざまだ。安ければ1000円以内でも手に入るし、より没入感を求めるなら数万円レベルのVR機器もある。遊び方によって選ぶのもいいし、付け心地で選んでみるのもいいだろう。ただ人によっては「手元が見えないストレス」「頭が重い」と感じる人もいても仕方はない。

 いずれにしても各社はこれだけVR一色で勝負をかけているのはわかった。今年のTGSはこれまでのメーカーの新作ゲームの発表の場という形とは変わってきたと卯月氏は言う。

「VRは実際に試してみないと面白さがわからないガジェットです。そのため、今年のTGSはどこか遊園地といった雰囲気で、各ブースにあるアトラクションを楽しもうと、来場者が長蛇の列を作っていましたね。VRゲームの体験試遊が増えることで、TGSの意味合いにも変化が出てきています。ただ、各ブースとも用意してあるVR機器の台数が少ないため、体験できなかったという人も多かったようです。出展する側が、そうした変化に対応し切れていない様子も見られました。いかにスムーズに多くの人に体験してもらうかが、今後もさらに遊園地化するであろうTGSのポイントとなるでしょう」

 一般公開は本日から。相当な混雑が予想されるので、VRを体験するなら、どのタイトルをプレイするか絞って挑むのがいいだろう。VR元年となる今年、間違いなく盛り上がるはずだ。 <文/日刊SPA!編集部、撮影/林紘輝>