先生に好かれる

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神聖なる“学校”という場所。先生の子どもに対するえこひいきなどは、もちろんあってならないのが常だが、先生もまた人間。親に対する感情がそのまま子どもにも影響を及ぼすことも…。そこで今回は、「先生に好かれる親」とはどんな親なのか…実録で紹介する。

●先生の批判は一切しない!

「Aさんはいつも明るくて、どんなママに対しても平等。あまり評判が良くないママにも優しく接する“ママの鏡”のような人なんです。彼女が人の悪口を言うのを誰も聞いたことがないし、そんなAさんに育てられているからか、子どもたちも優しくて思いやりがあって…。まさに理想の親子という感じですね」(Bさん 以下同)

埼玉県の公立中に子どもを通わせるBさん。AさんとBさんは小学校からのママ友であり、たいていのことは腹を割って話せる関係だという。

「Aさんがさらに素晴らしいと思うのは、先生に対する気の回し方。今は何かにつけてクレームをつけるモンスターペアレンツが多いですよね。でも彼女は、どんな先生の批判も一切せず、“ただで面倒を見て頂いているだけで十分ありがたい…”が口癖。ある日、クラス懇談会の席で、若い男性担任の悪口が大爆発したことがあったのですが、Aさんは正義感が強いので、ママたちの前で“先生だってまだ若いし未熟なんだから、みんなで理解して、親も先生も一緒に成長していける関係にした方が、子どもたちにとってもいいんじゃないの?”と発言したんですね。このひと言にみんなだんまり。“親と先生が争う姿を子どもたちが見ることこそ、最大の悪影響だ”と説いて見せたんです。Aさんは元々は自分も保育士だったんですね。先生側の気持ちも痛いくらいわかるし、いつも冷静に物事を見ているので、私も彼女を頼りにしていますし、知らずのうちに先生方からも頼られる存在になったみたいです」

Aさんの持論は他にもある。

「先生だって人間。感情があるんだから、親が口やかましくクレームをつければいい関係が築けなくなるし、逆に親が先生のいいところに目をつけるようにして、“先生のこんなところに救われた…”と一声かけてあげるだけで、教師としてのモチベーションも上がるはずだと。たしかにそうだと思いましたね。大切な子どもを預けているわけですから、親は例えどんな先生であってもある程度のことはグッと我慢して、先生のいいところに視点を持っていくべきなんだと。一番考えるべきは子どもの環境。親と先生がいがみあうなかで、子どもがいい成長を遂げるとは考えづらいですものね」

Aさんはクラス役員なども快く引き受けているが、出すぎず仕事はしっかりとやってのけ、若い先生たちに対するフォローも完璧だという。

「ある時、先生が、親から集めた懇談会の出席票を丸ごとなくしてしまったことがありました。本来は考えられないことですが、先生と手分けして、1軒1軒電話で出欠の確認をしたり、学芸会の衣装を作るお手伝いを率先して引き受けるなどしていましたね。彼女と出会って私自身も学んだことが多かったし、すぐにクレームをつけるのではなく、先生と風通しの良い関係を築くことで、たいていの問題が解決されることにも気づかされました。ただもちろん、彼女のことを陰で悪く言うママもいますよ。“先生におべんちゃらばっかり言って、なんなのあの人!”って…(笑)。ママ特有の嫉妬ですよね。でもそういうママは、たいていがモンペ。子ども自身の問題に気づかずに、ひたすらクレームをつける…そんなトラブルママが多いような気がします」

Aさんの素晴らしさはどこにあるのか…心理カウンセラーの沼田みえ子氏に分析してもらった。

「このAさんの素晴らしいところは以下の3点です。1つ目は“感謝の気持ちを持っている”こと。感謝とは人からの愛を受け取れている状態で、愛を受け取ってもらうと、人は嬉しさを感じます。2つ目は“先生を承認している”こと。多くの人は“自分の存在を認めてほしい。”自分の頑張りを評価してほしい“という承認欲求を持っていて、自分を承認してくれる人に好意を持ち、その好意を返したくなる傾向があります。3つ目は”批判ではなく協力している“こと。親と教師は立場が違いますが、決して敵ではなく、子どものよりよい成長を願うという点では双方同じものを目指しています。学校のことはすべて先生に丸投げではなく協力するということで、お互いの信頼関係を築いていく土壌ができます」

中学3年と言えば、高校受験に向けて、子どもの内申点も気になるところ。教師の欠点に目をつけるばかりでなく、教師のいいところに目を向けて、親が教師との関係をうまく育んでいけば、ひょっとすると、何かしらいい影響が得られるのかもしれない。

(取材・文/吉富慶子)